『スマブラSP』の「みんなの投稿」実装初日は、多くの創作アイデアとすこしの混沌で盛り上がる

 

任天堂は4月19日、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』のバージョン3.0.0アップデートを配信開始した。もっとも大きな目玉は『ペルソナ5』から登場するDLCファイターのジョーカーの実装であるが、さまざまな新コンテンツが導入されていることも見逃せない。「ステージ作り」や「動画編集機能」に「みんなの投稿」、そしてそれにあわせたスマホアプリNintendo Switch Online向けコンテンツ「スマプラス」との連携など、ユーザー作成とその共有機能の充実がはかられたのだ。こうしたユーザー主導のコンテンツは盛り上がりを見せていたが、一方でちょっとした課題をのぞかせていた。

共有コンテンツにおいては、リプレイや動画および大観戦、カスタムしたMiiファイターなどはシェアできるが、特に人気が集まっているのは「ステージ作り」だろう。ステージ作りは『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』の自由度の高い土台をベースしながら、機能の充実やギミック追加がはかられているほか、「上から見る」ことでステージの素材に奥行きを設定可能になり、背景が作りやすくなった。タッチパネル操作もより直感的になり、作りやすさも向上している。

ステージ作成もオンライン共有も過去作で存在していた機能であるものの、それらを洗練させつつ気軽に利用できることもあり、すでに大量に作品が投稿されている。アイデアのジャンルは多彩で、食べ物や生活に関するもの。任天堂キャラクターをモチーフにしたものから、任天堂ゲームの世界観をあらためて再構築するもの、ネットミームまで幅広い。これらを見られるだけでなく、すぐに試せてダウンロードできる点も、ひとつの魅力であるだろう。

特に多いのは『マインクラフト』のステージで、その人気の高さがうかがえる。バイオームごとの特色を出したりなど、こだわられた構図のステージも多い印象だ。日本にまつわるものも多く、たとえば新元号の令和を題材にしたり、日本列島をテーマとしたものを筆頭に、身近な文化がうまくステージ作りに落とし込まれている。「みんなの投稿」のキュレーション以外のSNS、たとえばTwitterなどでもクオリティの高い数々の作品が確認できる。

ただ一方で、下品なコンテンツが大量に投稿されている。海外メディアEurogamerなどは、記事投稿時点で男性器を彷彿とさせるステージが多く投稿されていると報告している。さらにそれらが「スマプラス」でも連動して公開される関係で、スマートフォンでも公序良俗に反するコンテンツ表示されることが確認されている。その他海外メディアでも大々的に、下品なコンテンツの投稿が存在していたことが報告されている。

とはいえ 、それらは海外時間早朝(日本の夕方)での出来事で、夜以降はそうしたコンテンツを確認したという声が減少してきている。実際に「みんなの投稿」を見ても、下品なコンテンツはそうそう見つからないだろう。仕組みとしては、ステージ名にはテキストによるフィルターが存在するようだが、ステージ作りはある意味ではアートであり自由度が高いので、そうしたユーザーがステージ投稿する時点では、悪質なステージ投稿を抑止することは難しい。おそらく、管理側は手動で削除していく必要があるのだろう。ニンテンドーeショップと『スマブラSP』のネットワークが昨日、緊急でサーバーメンテナンスになったのと同様に、「みんなの投稿」に運営側の予想を上回る人気があり、こうした混沌を御しきれなかった時間が存在したのかもしれない。

しかしながら、現在でも「dick」などのワードで検索をかけると、見るに堪えないステージが表示されるのも事実。そして依然として時折こうした下品な投稿を見かけることもある。ユーザーによる通報機能(投稿者に対する通報機能)も備わっているので、まずは通報し様子見をするのがよさそうだ。こうした創作的なユーザーコミュニティは、発売から時間が経つにつれて洗練されていく傾向にあるため、ステージ投稿のレベルは今後さらに上がっていくことだろう。またアップデートの熱気が落ち着けば、悪質なステージ投稿も減っていくと予想される。こうした側面を踏まえても、さまざまな点で改善されていくだろう。『スマブラSP』の「ステージ作り」は、昨日実装されたばかりなのだから。