『スマブラSP』レベル9のCPUファイター全員に「何もせず」勝利していくプレイがシュール。立っているだけで敵が死んでいく

Image Credit : Omega Tyrant

『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(以下、スマブラSP)にて、レベル9のCPUを相手に、ルイージが“何もせず”勝利するプレイ映像がredditなどで話題を呼んでいる。『スマブラSP』のCPUレベル9は、場外まで追い打ちをかけてきたり、ステージギミックを巧みに利用したりと、史上最凶レベルのAIを持つ。そうしたレベル9のCPUファイター全員を相手に“何もせず”勝利するという、狂気じみた挑戦を試み、その映像を公開したユーザーがいるのだ。

30分にわたる映像のタイトルは「ルイージが、まったく何もせずレベル9のCPU全員に勝つ(Luigi wins against every level nine CPU by doing absolutely nothing)」というもの。そのタイトルに偽りなく、ルイージが立ち尽くしたままファイターたちに勝利する様子が映し出されている。その死因は、ほぼすべてが事故的な転落死だ。追撃しすぎて死ぬものもあれば、着地を見誤り転落するもの。勝手に水に落ちて溺れたり、ステージギミックに巻き込まれ死ぬものなどさまざま。まるで丸腰で、戦意をまったく見せないルイージを相手に負けていく姿はなかなかにシュール。ステージは、ファイターの特性を考えそれぞれ誘発しやすいものを選んでいるが、自滅狙いを70体以上のファイターに成功させるというのは驚異の挑戦である。
【UPDATE 2019/2/5 1:20】
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尋常ではない試みであるが、実はこのプレイを試みたユーザーはただものではない。Omega Tyrant氏は、アメリカのニューヨークを拠点とした競技プレイヤーなのだ。さまざまな大会に参加し、上位に進出する成績を残している。氏は同時に『スマブラ』における「AI研究」を進め、YouTubeに定期的に検証動画を投稿している。『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』においても、CPUレベル9を相手に倒すという挑戦を成功させていた。

『スマブラSP』のCPUのAIは状況認識に優れており、ステージの災害の回避などが可能になっているという。ただし場外の追撃やステージの災害の回避には“やりすぎ”なところがあり、これを利用しCPUを倒していったというわけだ。そのほか、『スマブラSP』は空中緊急回避の仕様が変化したことや、ステージ量が大幅増加したことも“プレイしやすかった理由”としてあげられている。こうした背景もあり、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』のプレイでも登場した、敵が自滅しやすいステージである75Mやオービタルゲート周域の採用はできるだけ避けたとのこと。ファイターとステージが同じ作品から選ばれているものが多いのも、そうしたこだわりなのだろう。

この映像の制作時間についてTyrant氏に尋ねたところ、「1月はほぼずっとこれをしていた」という。何かをしている間もずっとルイージを放置し続けたほか、氏が何もできない間は婚約者がこのチャレンジをしていたとのこと。氏は時間の目安ともいえる「ルイージ最下位数」の画像がTwitterにて公開済み。7795回負けたというデータから、少なくともそれ以上の回数チャレンジされたことがわかるだろう。具体的な時間は不明であるが、膨大な時間が捧げられたようだ。

“何もせず”倒す上でもっとも時間がかかった敵ファイターはヨッシーであったようだが、それはあくまで氏が、倒すステージを選別したからだという。たとえば、さまざまなステージで挑戦した結果、ヨッシーを「マリオブラザーズ」にて倒したが、「スカイロフト」などではもっと速く倒すことができたとのこと。そのほか、ガオガエンはステージを選べばすぐに倒せるが、あえて事故の少ない「カロスポケモンリーグ」を選ぶなど、こだわりがあったとも語ってくれた。

ちなみに、ルイージを使用する理由としては、ネットミーム「ルイージが何もせず勝利する(Luigi wins by doing absolutely nothing)」に基づいたものであるとのこと。このネットミームは、『マリオパーティー2』にて、何もしないルイージがミニゲームで勝利し続ける動画から火がついたミームである。ルイージが突っ立っているだけで勝利するというシュールな構図が人気を呼んだ(Know Your Meme)。氏は単にこのネタを由来してルイージを使用していたが、結果的には体重が平均以上で落下速度の遅いルイージは、この戦い方にあったキャラクターであるようだ。“何もせず”対戦に相性の良いキャラクターとしては、さらに重く落下速度の遅いヨッシーや、サイズが小さく落下速度が極めて遅いプリンが、最適になると話してくれた。

競技シーンを含めて、さまざまな楽しみ方が許容されている『スマブラSP』。「レベル9のCPU7体を倒す」という狂ったチャレンジを成功させたユーザーも存在しているので、Tyrant氏のように自分なりの遊び方や研究を掘り下げてみるのもいいだろう。