『LawBreakers』開発陣がバトルロイヤル市場に参戦。開発期間5か月、F2Pの「エクストリーム早期アクセス」タイトルとして4月10日配信へ

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【UPDATE2 2018/4/11 9:50】
Steamストアページの対応言語から日本語が削除されたため、原文の該当箇所を修正。

【UPDATE 2018/4/10 14:40】
Boss Key Productionsは4月10日、本作の「Founder’s Pack」から「10%キャッシュブースト」を削除することを発表した。Pay-to-Winと見なされかねない課金要素を取り除くためとしている。

【原文 2018/4/10 11:07】
Boss Key Productionsは4月9日、F2P(基本プレイ無料)のバトルロイヤルゲーム『Radical Heights(ラディカル・ハイツ)』を発表した。Steamの早期アクセスタイトルとして現地時間の4月10日より配信が開始される。

プレイヤーは近未来の米国で放送されているゲームショーの参加者として、番組用に建設された大掛かりなセット「SoCalドーム」で大勢のライバル達と死闘を繰り広げる。武器・賞金・衣類を集め、マッチ中にランダムで発生するゲームショー・イベントに参加しつつ、最後の一人になるまで戦い続けるのだ。

80年代テーマのバトルロイヤル

公式サイトやSteamストアページにて「Cash is King」と謳われているように、本作はマッチに勝利することだけでなく、お金を集めてリッチになることも目標のひとつとなっている。キャッシュと呼ばれる無償ゲーム内通貨は、プレイ中に拾ったり敵から奪うことで増やせる。集めたキャッシュは、コスメティックアイテムのアンロックや、マッチ中の武器購入・カスタマイズに使用。貯蓄に余裕があれば、マップ上にあるATMからキャッシュを引き出し、序盤から武器・防具を揃えることができる。「Cash is King」。金が物を言うバトルロイヤルゲームなのだ。

ビジュアルとしては、80年代の米国カリフォルニア州を意識した街並みや服装が目立つ。アナウンス・トレイラーに映っているアーケードゲームや、いかにもアメリカンなバーガーショップがその一例だろう。BMX用の自転車に乗って華麗なトリックを決める様子や、トランポリンを使ったジャンプ撃ち、ロープスライダーを使った長距離移動など、明るいコメディタッチの対戦ゲームとなりそうだ。

マッチ中に死亡すると獲得したキャッシュの一部を失う。見事勝利すると2倍に増える

バトルロイヤルゲームでは時間経過と共にプレイエリアが縮小するというのが定番だが、本作では円形のプレイエリアが徐々に狭まっていく形式を取っていない。マップが四角のグリッドで分けられており、グリッド単位で禁止エリアが追加されていく。残りのグリッドがひとつになると照明が消され(本作の戦場はテレビ番組のセットという設定)、生き残っているプレイヤーにスポットライトが当てられる。最終決戦の演出というわけだ。またマッチ中にランダムで発生するゲームショー・イベントに参加すると賞金が手に入る。詳細は不明ながら、他のバトルロイヤルゲームとの差別化を図る上でひとつのポイントとなりそうだ。

F2Pのタイトルということで気になるのがマネタイズ手段。公式サイトの記載によると、有償ゲーム内通貨で購入できるのはコスメティックアイテムのみで、Pay-to-Winにはならないとのこと。別途販売予定の「Founder’s Pack」には、 80年代のアクション映画にインスパイアされた20品以上のコスメティックアイテム、有償ゲーム内通貨1200「Rad Gems」、無期限の10%キャッシュブーストが含まれている。キャッシュブーストには、コスメティックアイテムのアンロックやマッチ中の武器購入に必要なキャッシュの獲得量を増やす効果がある。これがPay-to-Winに当たらないかは、配信後の確認を要するだろう。

「Founder’s Pack」は14.99ドルで販売予定

『LawBreakers』の失敗から学ぶ

Cliffy Bことクリフ・ブレジンスキー氏が率いるBoss Key Productionsは、『LawBreakers』の失敗について4月5日に声明を出したばかり。当作では開発を継続するだけの収益を得られず、F2P化による仕切り直しも、リソースの割り当てやパブリッシャーとの調整を要することから断念。現状のままゲームをサポートし続けるが、今後は別プロジェクトに専念することを発表していた。2017年8月に発売された『LawBreakers』は初週からセールスが伸び悩み、2018年2月にシーズン1が終了してからというもの、Steam版の同時接続ユーザ数は10人を超えるのがやっとの状態が続いている(SteamChartsによると、平均プレイヤー数は2018年2月に4.2人まで低下)。

上述した声明文にて、次回作について「我々が全てをコントロールできるパッションプロジェクト」と記載されているように、『Radical Heights』はBoss Key Productionsのセルフパブリッシュ作品となっている(『LawBreakers』はNexonがパブリッシングを担当)。またクリエイティブ・ディレクターはブレジンスキー氏ではなく、これまで同社でシニア・アニメーターを務めてきたZach Lowery氏にバトンタッチ。Lowery氏は公式ブログにて、『LawBreakers』から学んだこととして「アクセシビリティの大切さ」を挙げている。というのも、ゲームプレイ第一を意識して開発された『LawBreakers』はアクセシビリティを軽視したばかりに、プレイヤーがゲームの楽しみ方を理解しづらくなっていたと振り返っている。そうした過去の経験を踏まえ、『Radical Heights』ではシンプルかつ分かりやすいゲームメカニックを心がけているという。

飽和状態にあるシューター市場で苦戦し続けた『LawBreakers』

プロジェクトが始動してからわずか5か月という開発の初期段階にあること、そしてBMXといったエクストリームスポーツを取り入れていることを掛けて、開発陣は『Radical Heights』の状態を「エクストリーム早期アクセス」と呼んでいる。『LawBreakers』で使われた「対戦FPSの『ダークソウル』」という表現のように、Boss Key Productionsらしいキャッチーなフレーズは健在だ。

ただ、『LawBreakers』が飽和状態のヒーローシューター市場で苦戦したように、F2Pバトルロイヤルゲームの市場には『フォートナイト バトルロイヤル』『H1Z1』という、知名度・完成度ともに高いタイトルが並んでいる(将来的には『Paladins』のバトルロイヤルモード『Realm Royale』も参戦する)。一方の『Radical Heights』は配信前のマーケティング期間がわずか1日。自ら「エクストリーム早期アクセス」と名乗っているように完成には時間を要する(早期アクセス期間は1年を予定)。地盤を固めた有力タイトルがひしめくバトルロイヤル市場にて、新規参入タイトル『Radical Heights』はプレイヤーを集めることができるのか。『LawBreakers』の失敗から学び、再スタートを切ったBoss Key Productionsの行方に注目したい。

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