「Steam旧正月セール(2018)」AUTOMATONライターが選ぶおすすめゲーム13選

 

Valveは現在、PCゲーム配信プラットフォームSteamにて旧正月セールを実施中だ。期日は日本時間の2018年2月20日まで。ウィンターセールと比較すると短期間ながらも、2016年以来の旧正月セールを楽しんでいる人も多いだろう。今回は2018年旧正月セールにおける各ライターのおすすめゲームをこちらにまとめたので、ぜひ検討の対象としてほしい。

 

Turmoil

490円(980円、50%オフ、日本語なし) (Steamストアリンク)

『Turmoil』は要約すれば、油井を建ててパイプを伸ばし石油を掘って高値で売る、というゲームだ。ステージが進むにつれて、ダイヤモンドや天然ガスを掘り出すこともできるが、基本は変わらずにひたすら掘って高値で売ることを繰り返す。単純な内容だけれどもこの繰り返しが癖になる。ただし、パズルゲームのようにただ掘る・売るだけではない。ステージの前後には油井のパイプをより太くすることや、石油の輸送に使う馬車等をアップグレードすることができる。このアップグレードは高価で、見境なしに改良するわけにはいかない。1度に得た利益の大部分が要求されるのだ。なので、どの改良が必要なのか優先順位を意識する必要がある。

この判断に挟まれる、掘って売るという単純作業が疲れた脳みそを癒してくれる。まず石油がどこにあるのか探しだして当座の金をつくる。次に買取価格が高値になった時のため備蓄できる設備を整える。そして価格が上昇しないか虎視眈々と見続ける。価格が最高潮に達し、いざ売り出した瞬間、ものすごい早さで金が膨らむ。この瞬間が快感だ。価格が下降すると共に備蓄は少なくなる。手持ちを売り切れば、また地中の石油を探す。地中に石油を一滴たりとも残さず、全て売った時には達成感も一押しだ。

by Takuya Ashikawa

 

12 is Better Than 6

147円(980円、85%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク

『12 is Better Than 6』は、白いノートにペンで描いたようなアートスタイルが特徴のトップダウンシューターだ。物語の舞台は1873年のメキシコ。5年以上前の記憶がなく囚人であるということがすべてであった主人公は、自由を求めて脱獄しアメリカ・テキサスへ向かう。ゲームプレイは『Hotline Miami』風、と言えば分かりやすいかもしれない。場面ごとに指示される目標をこなし、マップ内のどこかにあるゴールを目指すステージクリア制だ。目標とは言っても、基本的には敵を皆殺しにすれば片はつく。

初期の武器はリボルバーとナイフだ。銃を撃つと敵がわらわらと集まってくるので、背中を向けていたり、居眠りしている敵にはナイフで静かに葬るステルスプレイが重要となる。とはいえ、銃を抜かねばならない時は必ず来る。本作のリボルバーは撃鉄を起こしてから引き金を引かないと弾は出ず、1発撃つのに2つの操作が必要になる。またいずれの銃も、リロードするには弾倉を抜いて1発ずつ弾を込めなければならない。敵との激しい銃撃戦の中では冷静かつ的確な操作が求められ、これが本作の難しさであり、また楽しさにも繋がっているのだ。

by Taijiro Yamanaka

 

Tiny and Big: Grandpa’s Leftovers

98円(980円、90%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク

100円玉一枚で買えるゲームからチョイス。盗まれた爺ちゃんのアンティークなパンツを取り戻すために奮闘する少年を描いた、サンドボックス・アクションパズル・アドベンチャー。トゥーンレンダリングで描かれたコミック風のフィールドを駆け回り、グラップリングロープやロケット、レーザーメスを駆使してステージクリアを目指そう。

このゲームの特徴はなんといってもゲーム攻略の自由度だろう。意外なほど広々としたステージのなかで、プレイヤーは立ちはだかる巨石をレーザーで斬り裂いたり、グラップリングロープで引っ張ったり、はたまたロケットを打ち込んで吹き飛ばしたり、時には地味に手で押してみたりしながら、目的地をめざして進んでいくことになる。巨石をカットする角度や設置した場所によっては、ジャンプして飛び移る距離も難易度も違ってくる。やり方次第では予想外のショートカットを発見することもあるだろう。落ちているカセットテープを収集し、荒野をさすらうのにぴったりな音楽を聴くのも楽しい。

 

And Yet It Moves

98円(980円、90%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク

ちぎった紙をコラージュしてつくられた世界を回転させながら主人公をゴールへ導くアクションパズル。本作でプレイヤーは主人公を左右にスクロールさせると同時に、ステージ全体を回転させる操作を行うことになる。ゲームは日本語に対応しているうえ、操作方法は直感的に理解できるので、戸惑うことはないだろう。

ステージを回転させることで目の前の絶壁がなだらかな下り坂になったり、となりにあった岩が主人公を押しつぶしてしまうのが醍醐味。紙でできているだけあって主人公は極めてもろく、ちょっとした落下でも砕け散ってしまうので、操作には細心の注意が必要。砕け散った主人公は、ステージに複数存在するチェックポイントに即座に復活するので、ロード待ちのストレスはない。トライ&エラーと試行錯誤が苦にならない人にはお勧め。100円玉一枚で買えるパズルゲームの佳作。

by Masahiro Yonehara

 

Stories Untold

490円(980円、50%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク

ハードコアなアクションやFPSなどを取り扱うDevolver Digital ブランドの中でも少なくなくアドベンチャーゲームが取り扱われるのだが、『Stories Untold』はその中でも実験的なアプローチとホラーのエンターテインメント性を両立させた稀有な作品である。

基本は往年のInfocomのテキストアドベンチャーとポイント&クリックアドベンチャーの複合したジャンルの作品となっており、全4話で構成されている。プレイヤーはとある場所に置かれたパソコンや何らかの研究室を調べていくうちに、この場所がどういう場所で、何が起こっているかを理解していく。室内のディスプレイに表示される文章を読み、その状況に合わせて直接コマンドをキーボードで打ち込んで進めていくうちに、やがて文章の内容と現実がクロスし始めていく。だんだんと現実が侵食されていく独特の体験が魅力的だ。第一話をプレイしているとき、必ず一度は後ろを振り向くはず。

 

Fumiko!

558円(698円、20%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク

1998年にリリースされた『Serial experiments lain』(以下、『lain』)はネットワークを舞台に、主人公玲音を巡る謎めいたストーリーテリングが魅力の作品だった。その影響は日本国内にもとどまらず、諸海外にも広がっていた。『Fumiko!』はまさに『lain』のネットワークの中に人格が溶け出していく描写に影響を受けたことを公言した作品だ。

しかしながら一方で、『Fumiko!』のジャンルはアドベンチャーではなく、アクションである。本作ではワイアードな空間を飛び回るジャンプアクションであり、ローポリゴンで描かれた電脳世界のなかで、何が本当のことで何が嘘なのかがわからない中、真実は何かを探り出す冒険をする。独特の形で『lain』に応えた一作。

 

Anarcute

888円(1480円、20%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク

アナーキーとキュートの単語を混ぜ合わせたタイトル通り、かわいいうさぎやワニのキャラクターが集団になり反政府活動を行うという作品。基本は『ピクミン』系のアクションゲームであり、町中に散らばっていたり、投獄されている仲間たちを救い出して一大勢力を結成して闘っていく。

仲間を見つけ暴徒の集団を拡大させていくことでアクションが増えていくのだが、そのかわいい見た目に反してでたらめである。まだ4、5人くらいで遠くから石を投げていた頃は穏やかなものだった。数十人を超える群衆がまとめて向かってくるときのパワーはめちゃくちゃであり、官憲を見つければ車を投げ込み混乱しているところを全員で囲んで叩きのめす。そうしてさらに群衆を拡大させるとついにはビルまで破壊していくのだ。最初は東京だけを舞台に暴れていたものの、やがて世界に飛び出していき…変な爽快感のある体験になるだろう。

by Hajime Kasai

 

Hellblade: Senua’s Sacrifice

2086円(2980円、30%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク

ここが地獄か。これが狂気か。北欧神話における死者の世界「ヘルヘイム」へと愛する者の魂を簒奪すべく訪れた女戦士セヌアの物語を描いた傑作『Hellblade: Senua’s Sacrifice』。
目的を達成すべく心を狂気に染め上げた彼女の視界には幻覚と妄想が介入し、あらゆる方向から発せられる正体不明の声が耳元で死の危険を囁く。この演出によって、HUDを無くしたことで殊更美しさが強調された神話の世界が恐怖と不安の培養装置へと瞬く間に変化する。物語が進むに連れて何が真実で何が幻なのかプレイヤーですらわからなくなっていく。シンプルながら大味な戦闘はセヌアの命だけではなく常にセーブデータ消失の危険性を孕んでおり気が抜けず、ゲームへの没入感をより一層なものにする。

精神病患者をテーマに取り扱ったこの作品はゲームプレイを通じて常にプレイヤーに向けて語りかける。「私たちは世界を見て、聞いて、感じているのでは無い。あくまで外部から取り入れた情報を脳内で処理しているだけなのだ。そしてその情報は、世界はいとも簡単に歪んでしまう。あなたの足元が突然に崩れ去るという経験はなにも特別なものではないのである。」音響、映像美、卓越した役者の演技が全て揃うインディーゲームの限界を越えたこの作品が今なら2000円強。大きなモニターと良質なオーディオを用意し、一部メディアでは昨年のGOTYにも選ばれた傑作を、この機会にぜひ堪能して欲しい。

 

Hob

1485円(1980円、25%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク

機械の腕が手にするものは、幾万の富でも、勝利の栄光でもない。『Hob』は失った左腕を授けてくれたゴーレムを探すため、大自然とスチームパンクが融合した世界を旅する謎解きアクションアドベンチャー。物語はテキストの類を一切用いないノンバーバル方式で進行し、ゴーレムそして自らのルーツを探る冒険がいつの間にか謎の侵食から世界を救う壮大なものへとそのスケールを拡大していく。

主に日本の『ワンダと巨像』や『ICO』、『ゼルダの伝説』シリーズから多大な影響を受けていることが見て取れ、特に謎解きの舞台となるダンジョンのスケールの大きさには圧倒されることだろう。古びた城塞にはツタが生い茂り、宙に浮く銅の足場からは青い光が漏れ出し、ひとたび仕掛けを作動すれば大地がせり上がり機械の心臓部が露出する。機関が蒸気を発する姿はゲームが持つ雰囲気と相まってまるで世界が呼吸しているかのようだ。謎解きそのものは難しくなくシンプルなものが多いが、その解答によって生み出される結果のスケールがいちいち派手なものであるためプレイヤーにやりがいを感じさせてくれる。いわゆる雰囲気を重視したゲームが大好きな人は間違いなくこの作品に惚れ込むことになるだろう。

by Takayuki Sawahata

 

GoNNER

294円(980円、70%オフ、日本語あり)(Steamストアページ

絵本のようなビジュアルが、攻撃のコンボを重ねるごとにどんどんサイケデリックに変化していく、キュートで高難度な自動生成2Dアクションゲーム。銃を撃ってガンガン先に進みたいところだけど、主人公「Ikk」は攻撃を受けると頭がもげてしまう。ころころ転がる頭を回収する前にもう一度被弾するとゲームオーバー。スタート地点からやり直しとなる。ダメージ覚悟のゴリ押しでは突破できないつくりになっているのだ。

だからといって慎重に進めるだけではジリ貧。コンボが長引くほど敵の弾薬ドロップ率が高まり、通貨アイテムの獲得量が増える。テンポよく進めないと、ハードな後半戦に備えることができない。ダンジョンを制覇するためには、繰り返しプレイして敵の攻撃パターンやボス戦攻略のコツを学ぶ必要がある。コンボに酔いしれサイケデリックな世界を疾走する、ミニマルながら過激さを覗かせたインディー作品だ。

 

Klang

296円(1480円、80%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク

右手と左手で異なるジャンルのゲームをプレイする、ノルウェー発の2Dリズムアクションゲーム。コントローラの右スティックでリズムを取り、左スティックでキャラクターを動かし、ジャンプ&スライディングでステージを飛び回るという激しい操作が求められる。ネオンブルーに輝く世界で電子音楽に浸り、リズムゲームと2Dアクションを同時にこなす異色のハイブリッド作品である。

両ジャンルとも瞬時の判断と正確な操作が求められるという性質は同じ。リズムに合わせて飛んでくる敵の攻撃をタイミングよくはじき返しながら、レーザートラップや足場の落下から逃れるトリッキーなマルチタスク。そこに順応できるかどうかがカギとなる。複数ジャンルの融合が成功しているのか判断しづらいところではあるが、その実験的な試みには一見の価値がある。北欧発の冷たいエレクトロサウンドが鳴り響くサントラも80%オフ(159円)のセール中だ。

 

Maize

495円(1980円、75%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク

しゃべるトウモロコシと毒舌テディベアが活躍する、コミカルな一人称視点アドベンチャーゲーム。米国の田舎町で細々と研究活動を進めていた科学者二人が、政府から送られてきた通達書を読み間違えてトウモロコシに意識を宿す実験を成功させる。するとそのうちの一株がトウモロコシの女王として予想外の進化を遂げ……という脱力感満載のコメディ作品である。

アドベンチャーゲームというのはテキスト量が膨大になりがちで、本作ではそうしたジャンルの特性をオーバーに表現することで笑いを誘っている。収集アイテムは石ころ・ゴミ袋・水道管など物語とは無縁のガラクタばかり。アイテム説明文は「この石は本当に石なのだろうか。石に見えるスポンジなのかもしれない」といった全く中身のない文章となっている。ゲームプレイの中心となるパズルも、プレイヤーの思考力を試すというより、パズルの荒唐無稽っぷりが目立つ。ジャンルの定式を崩したシュールな笑いで溢れているのだ。なおプレイヤーが操作する主人公の素性は終盤まで明かされず、「この奇妙なシチュエーションに置かれた自分は何者なのか」を探るミステリーにもなっている。

 

Last Day of June

1188円(1980円、40%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク

交通事故で亡くなった恋人を救うため、過去に遡り未来を改変する水墨画タッチの3Dアドベンチャーゲーム。主人公は事故に関わった人々の視点から過去を追体験し、彼らの行動を変えることで事故の原因を取り除いていく。ただし誰か一人の行動を変えても、また別の原因で事故が再発してしまう。過去をどう分岐させれば悲劇から逃れられるのか、パズルを解くようにして運命に抗う主人公。はたして愛する人を救うことはできるのだろうか。

喪失の否認から怒り、抑うつ、受容までを短いプレイ時間の中で丁寧に、それも言葉を使わず映像演出と音楽の力だけで表現している本作。Steve Wilson氏の「Drive Home」という曲およびミュージックビデオ(動画リンク)から着想を得てスタートしたプロジェクトであり、「元ネタを知っていると結末が分かってしまうのでは?」という懸念が残るかもしれないが、喪失と受容というテーマはそのままに、異なる切り口から物語が展開されるのでご安心を。

by Ryuki Ishii