「Steamオータムセール(2017)」インディークリエイターらが選ぶオススメゲーム13選


今月11月23日より、Steamオータムセールが開催中だ。大型タイトルから小粒のインディータイトルまでお安く買える絶好の機会となっている。こうしたシーズンに胸躍るのはユーザーだけではない。普段ゲームを作る、発売する業界人たちもまた一端のゲーマーなのだ。そこで、デベロッパー・パブリッシャーの両方を含む業界で活躍するインディークリエイターたちに選んでもらった、Steamでのオススメゲームをピックアップする。なお、今回のアンケートでは自社タイトル以外のものをおすすめしてもらうようにお願いしているので、その点は留意してほしい。なお、一部Steamセールの対象にはなっていないタイトルもあるが、そこはウィンターセールでの値下げに期待するということでご理解いただきたい。

Drool

『Thumper』

Droolは韓国に暮らすMarc Flury氏と、アメリカに暮らすBrian Gibson氏のインディー開発者チーム。2016年に『Thumper』をPC/PS4向けに発売。今年にはニンテンドースイッチ/Xbox One版もリリースした。重いビートが響く中、悪夢のような宇宙空間を貫くレール上を疾走するリズム・バイオレンスゲームである。Steam版『Thumper』は現在40%オフの1199円で購入可能。

Marc Flury氏のオススメタイトル
Fidel Dungeon Rescue』(値引きなし、898円)『Hyperun』(50%オフ、490円)

『Hyperun』

気に入っているゲームを二つ挙げるなら、まずは『Fidel Dungeon Rescue』だね。これはパズル・アクション・ローグライクゲームで、ゲームデザインが素晴らしい。プレイヤーにとって挑戦しがいがあると共に、驚きも感じられる。僕は最初のワールドをクリアするのに5時間くらいかかったけど、まだまだ学んだり発見すべきものが残っているのではないかと感じているよ。

もう1本は『Hyperun』だけど、もし君が『Thumper』のようなスピード感のあるハードなアクションゲームが好みなら、これは気に入るんじゃないかな。個人的にはまだ少ししかプレイできてないんだけど、とてもシンプルでありながら病みつきになる楽しさがあるゲームだね。

 

Giant Sparrow

『What Remains of Edith Finch』

『The Unfinished Swan』で一躍脚光を浴びたインディースタジオ。今年はADVゲーム『What Remains of Edith Finch(フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと)』を発売。歴史ある一族の最後の生き残りである主人公が、一族の人間それぞれの最期の日を追体験する(弊誌レビュー)。『What Remains of Edith Finch』は33%オフの1326円となっている。

Ian Dallas氏のオススメタイトル
Everything』(45%オフ、814円)

『Everything』

今年プレイした中でもっとも印象に残っているゲーム体験は『Everything』ですね。このゲームでは、プレイ中に目にしたどんなものにでもなれる。犬やシマウマ、樹木、山、とにかくすべてです。気に入ったのは、たとえばシマウマであれば歩いたり駆けたりせずに、クルクルと転がるようにして進むというような変な決まり事があって、それがゲームをより奇妙なものにしていること。プレイヤーはこの独特の世界に招き入れられるのですが、探索し続けるための動機付けは必要最低限に抑えられています。具体的には、哲学者Alan Wattsのとても思慮深い語りが物事を繋ぎ合わせる役目を果たしていて、チェックリストなど存在しなくてもまったく飽きることがない。30分だけプレイしようが数時間プレイしようが、彷徨い歩くことをただ楽しいものにしているのです。

 

No Goblin

『100ft Robot Golf』

数々の著名ゲームに携わってきたDan Teasdale氏とPanzer氏を中心とするインディースタジオ。回転し続けるリムジンを運転してお客を届ける『Roundabout』や、超巨大ロボットでゴルフをする『100ft Robot Golf』を発売しており、常にユニークなアイデアで楽しませてくれる。現在『Roundabout』は80%オフの196円、『100ft Robot Golf』は69%オフの614円となっている。

Dan Teasdale氏のオススメタイトル
Opus Magnum』(10%オフ、1845円)『Heat Signature』(20%オフ、1184円)

『Heat Signature』

ちょうどいま、『Opus Magnum』にハマっているんだ。Zachtronics(注:難解なパズルゲームを手がけることで知られる)の最新作でプログラミングマシンを扱うんだが、今回はコーディングではなく錬金術と元素をテーマにしている。個人的にはこの点が良かったよ。なぜなら、いつもゲームのプログラミングをしているのに、休日にまでプログラミング漬けなんてごめんだからね!

Heat Signature』も面白かった。『Gunpoint』の開発者が手がけたアクション・ステルスゲームで(『Gunpoint』も素晴らしいゲームなのでチェックしてほしい)、自動生成でランダムに生み出される宇宙船に潜入するところが魅力だ。また、フレンドが発見した武器を自分のプレイ中に偶然見つけることができたり、ミッションに失敗して捕らえられたフレンドのキャラクターに出会うこともあって、Steamの仕組みを上手く活かしているのも素晴らしいね。

 

Thunder Lotus Games

『Sundered』

10人ほどのスタッフからなるカナダのインディースタジオ。2015年に北欧神話をテーマにしたアクションADV『Jotun』を発売。今年はメトロイドヴァニアACT『Sundered』をリリースしており、どちらも手描きアートによる美しいアニメーションや、巨大なボスとの迫力あるバトルが特徴である。現在『Jotun』は67%オフの488円、『Sundered』は15%オフの1683円で購入可能。

Thunder Lotus Gamesスタッフのオススメタイトル
Dead Cells』(25%オフ、1260円)『Cuphead』(値引きなし、1980円)

『Dead Cells』

今年はPCゲームにとって特に強力な年だったので、どれが2017年のベストタイトルであるかチーム内で意見をまとめるのはとても難しかったよ。注目すべきタイトルとして一致したのは、まずはMotion Twinが開発した『Dead Cells』だ。メトロイドヴァニアジャンルとして素晴らしい方向性を見出していて、とても楽しいうえに中毒性も高い。さらに、現在早期アクセス中なので日々進化していっている。チームのほとんどがプレイしていて、全員を合わせると50時間以上は費やしているはずだ。

もう1本はStudioMDHRの『Cuphead』。今年、いやどの年であろうが絶対にプレイすべきゲームだろう。彼らのビジュアルスタイルはユニークで誰にも真似できないし、ピクセルの一つひとつから個性が溢れ出している。それと我々は難しいゲームが大好きだが、『Cuphead』は今年発売されたインディーゲームの中で一二を争うほどの強烈な難易度だったことは間違いない。こちらも数十時間は遊んだよ。

 

tinyBuild Games

『Streets of Rogue』

ユニークかつ野心的なインディーゲームをリリースするパブリッシャー。オバカさ一転突破のアクション・レースゲーム『Guts and Glory』は70%オフの245円、見下ろし視点で裏通りを生き残る『Streets of Rogue』は半額の740円で購入できる。列車を介して荒廃した世界を探索する『The Final Station』も70%オフの444円で買うことができるのでこちらもチェックしてほしい。

Yulia Vakhrusheva氏のオススメタイトル
オリとくらやみの森(Definitive Edition)』(50%オフ、1000円)『Samorost 3』(70%オフ、600円)

『オリとくらやみの森』

まず『オリとくらやみの森』をおすすめします。グラフィックはとても美しいですし、レベルデザインはとても練られていて心に響くストーリーがあります。音楽も素晴らしいですよね。間違いなく私にとって大好きな横スクロールのゲームです。それとAmanita Designの『Samorost』を遊んでほしいですね。手書きの独特のアート、複雑なパズルと、とても豊かな空想の世界。一度ゲームに引き込まれると戻れませんし、心に残り続けるゲームですよね。基本的には感情をうまく動かす知的なゲームが好きです。私に「ストーリーテリング」をしてくれることで、そのクリエイターの世界が見えてくるのがとても好きです。RPGやクエストゲーム、ストラテジーも好きですね!

 

Sukeban Games

『VA-11 Hall-A』

ベネズエラ人クリエイターChristopher Ortiz氏とFernando Damas氏からなるインディースタジオ。荒廃した近未来が舞台のバーが舞台のアドベンチャーゲーム『VA-11 Hall-A』をリリースし、一躍世界にその存在を知らしめた。日本のアニメやゲーム、文化に対して強い愛情を抱いていることを弊誌の対談にて明かしている。同作でも日本の文化を意識したパロディが多数登場。

Christopher Ortiz氏のオススメタイトル
シルバー事件』(51%、970円)『ザナドゥ・ネクスト』(50%オフ、990円)

『シルバー事件』

シルバー事件』だね。めちゃくちゃクールなアドベンチャーゲームだ。僕は最初遊び方をちょっと間違えたっぽいけど、「トランスミッター」と「プラシーボ」を交互にプレイすべき。遊び始めてから寝ずにずっと遊び続けたほど魅力のあるゲーム。まだ遊んでないけど、『OneShot』と『ゆめにっき』はゲームの評価について信頼できる友人が勧めてくるので早く遊びたい。ああ、最近では『ザナドゥ・ネクスト』を遊んでてこれもオススメしたい。Diablo的なオールドスクールRPG。素晴らしいゲームだし、大好き。ちょっと昔のゲームだけど、今遊んでも楽しいゲーム。

 

PLAYISM

『2064:Read Only Memories』

弊社アクティブゲーミングメディアが運営するゲーム・パブリッシャー。多岐にわたるインディーゲームを発売しており、最近では前出のSukeban Gamesによる『VA-11 Hall-A』と、同じくサイバーパンクなアドベンチャー『2064:Read Only Memories』の日本語版を発売した。『VA-11 Hall-A』は残念ながら値引きされていないものの、『2064:Read Only Memories』は15%オフの1683円で販売中。

Shunji Mizutani氏のオススメタイトル
ルセッティア』(80%、396円)『ラストレムナント』(値引きなし、1080円)

『ラストレムナント』

ルセッティア』はおそらくですが、日本で最初にSteamに登場した同人ゲーム。結構な本数が売れて当時話題になったが、それはSteamストアで同人ゲームが出たのが初めてでとても目立ったから……ではない。まあ、それも多少はあるかもしれないが、このゲームはそもそも本当に面白い。ダンジョンに潜り、アイテムを集め、期日までに金を稼ぐために村人たちに売りつけるというサイクルに緊張感があり、飽きさせない。ついつい遊び続けてしまう。発売から7年経ったけど未だに全同人ゲームの中でもトップクラスに面白いと思う。

インディーパブリッシャーという立場故、紹介する機会があまりないので『ラストレムナント』はぜひ今回お勧めしたい。『ラストレムナント』は、まぎれもなくサガである。サガの系譜のひとつの到達点である。ゲームシステムを理解し尽くしたものだけが、戦場をねじ伏せることができる。PC版はコンソールの問題点を解消した完全版でありながら、これが定価1080円で売っている。お得すぎる。インディーゲームの値付けを考えるたびに、『ラストレムナント』が毎回頭をよぎる。