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インディーゲーム開発者にお金は出して口は出さない、支援集団COREBLAZERが日本の開発者パートナーを探しているらしい。何が狙い?どういうリスクがある?訊いた
COREBLAZERは、日本での活動も熱心だ。たとえばCOREBLAZER GAME FEST 2026ではroom6をはじめいくつかの日本のパブリッシャーが参加したり、日本の開発者の作品が出展される。なぜCOREBLAZERは日本での活動に熱心なのか?

COREBLAZERは7月25日および26日に、COREBLAZER GAME FEST 2026を開催した。COREBLAZERは、『アークナイツ』『アークナイツ:エンドフィールド』を手がけるHypergryphが立ち上げた、ゲーム開発支援チーム。パブリッシャーや制作受託会社とは異なる立ち位置から、開発チームに資金面や事業面、中国市場に関する知見などでサポートをおこなっている。
COREBLAZERは、日本での活動も熱心だ。たとえばCOREBLAZER GAME FEST 2026ではroom6をはじめいくつかの日本のパブリッシャーが参加したり、日本の開発者の作品が出展される。なぜCOREBLAZERは日本での活動に熱心なのか?そもそもCoreblazerは何で、どのような支援をしているのか?戦略投資ディレクターである郭晋炎氏に話を訊いた。
──自己紹介をお願いいたします。
郭晋炎(以下、郭)氏:
COREBLAZERで、中国と日本における投資関係の事業を担当している郭と申します。COREBLAZERは『アークナイツ』『アークナイツ:エンドフィールド』を生み出したHypergryphの傘下で、ゲームに特化した投資ブランドになります。特にPCとコンソール向けのゲームを作るクリエイターや、開発者チームを支援しています。
『アークナイツ』が多くの方に受け入れてもらえた大きな理由のひとつは、やはりコンテンツそのものの力だと思います。自分自身が良いコンテンツによって成長してきたからこそ、ゲーム業界で長期的な価値を生むのは最終的に作品とそれを作り続ける人たちだと信じています。……なのでCOREBLAZERを単純に投資会社とだけ説明するのは少し違うかもしれません。
──ではCOREBLAZERは具体的にどのような事業をされているのでしょうか?
郭氏:
投資はあくまで手段ですね。私たちが本当に支援したいのは、クリエイターが1作品だけで終わらず、2作目、3作目と継続してゲームを作っていける環境です。その開発資金を提供するだけではなく、必要に応じていろんな事業面でのサポートや、開発中の相談、パブリッシャーとプラットフォーム、外部の制作会社とマーケティングパートナーといった、外部のパートナーとの接続などもおこなっています。
その一方で、COREBLAZERはパプリッシャーではありません。出資を理由に制作の方向性をコントロールしたり、 IPとパプリッシング権を取得したりすることは前提にしていません。
──単なる投資だけではなく、開発者への直接的なサポートもしていると。
郭氏:
投資を受けた後に、開発者の選択肢が増える状態を作りたいんですね。目的としては、より多くのコンテンツクリエイターと繋がって、ともに価値を生み出していくことです。ここでいう価値ですが、売上と利益だけではなくて、作品投資の価値、IPとして育っていく価値、またチームが成長する価値、そして将来また一緒に新しいものを作れる関係性も大切な価値だと考えています。
ビジネスとしては、まず投資のサイクルを作ります。まずは優れたクリエイターや開発チームを見つけて、資金を出して、出資を通してプロジェクトの実現を支援します。その後は、開発資金や事業のサポートなど、市場の知見とネットワークを組み合わせて、継続的に開発できる環境を作ります。そこから生まれたリターンを、また次のクリエイターやプロジェクトに投資していく、というサイクルですね。感覚としては種をまくことに近いかもしれません。それぞれの開発チームが自分たちのペースで成長をして、数年後に新しいゲームやIPが生まれます。その中から得られたものを使って、また新しい種をまいていく。その間に、最初に蒔いた種のいくつかは実り始めていて、その成果によってまたさらに新しい種をまくこともできます。
COREBLAZERからの支援を受けるにはどうすればいいか?
──COREBLAZERから出資やサポートを受けたいゲーム開発者は、どのように関係を始めればいいんでしょうか。
郭氏:
一般的には二つのルートがありまして、一つ目がゲーム開発者さんから、私たちとコンタクトをとることです。外部の開発者たちや、COREBLAZERのHPに載せてあるメールアドレスを経由してご連絡をいただくパターンですね。
もう一つのルートとしては、COREBLAZERから主体的に連絡をすることです。これまでの投資したケースから見ると、ゲーム開発者さん側から連絡がきたケースは約30%〜40%ぐらいです。つまり、COREBLAZERから連絡をすることも多いです。
──私が開発者であるとして、今作っているゲームがプロトタイプで、今後COREBLAZERから支援をしてもらえるとして、どのようなサポートを受けられるのでしょうか?
郭氏:
一番わかりやすいのは、やはり開発資金ですね。生活のために別の仕事をしながら開発をするのではなく、できるだけゲーム開発に集中できる時間を作ることが、最も大きな効果のあるところだと思います。もちろん仕事をしながら副業として開発をする形もあると思います。ただ、開発をしていくには集中できる時間が多いほうが効率も高いですし、いろんな市場の観察だったりを並行してできるようになっていきます。開発資金でそれを支えていきたいと思っています。
プロトタイプの場合ですと、まだ量産の段階には入ってなくて、これからどうなるか誰にも分からない状況ですよね。ちゃんと完成できるかどうかとか、量産する前に技術の問題やテックの問題は全部解決できたのか、ゲームのコアとなる体験はどうやって設計していくのか、ボリュームの増やし方はもう決めたのか……事前にちゃんと決めないといけません。そういった部分は、これまで大規模なタイトルや開発チームを見てきた経験を活用して、一緒に見ていくこともあります。
ゲーム開発では、延期することはあります。でも延期が失敗だとは考えていないです。まず理由を確認して、それまでの開発状況や開発チームの実行力も踏まえて、追加収支が必要かどうかも判断します。公表前の案件も含めて、これまで4チームほど追加収支をおこなっています。もちろんこれらの支援によって成功を保証できるわけではなく、やはり最終的にゲームを作るのは開発者自身になります。COREBLAZERの役割は、開発者たちがゲーム以外の問題で力を失わずに進める環境を作ることだと思っています。開発というのは、会社としての一部の仕事に過ぎません。なので、開発以外の部分はたくさんの支援とサポートを提供したいと思います。
──資金提供以外のサポートは、どういうサポートなのでしょうか?
郭氏:
まず、資金と同じぐらい重要なのは、開発チームの開発以外の負担を軽減することですね。特に経験がなくて立ち上げたばかりの開発チームの場合は、ゲームを作る力はあっても会社を作るのは初めてですし、予算を管理するのも初めてです。特にパブリッシャーとかプラットフォームとの契約や、知的財産について考えることに関しては、経験がない開発者も少なくないです。
たとえば、財務管理の経験がまったくない開発チームには、外部の専門パートナーと一緒に帳簿管理や予算管理を基礎から学べる環境を作ります。IPの権力関係や知的財産の保護、契約書上のリスクについても、専門家による定期的なチェックや勉強会などもおこなっています。
ここで注意したいのは、COREBLAZERは恒久的にそうした問題をかわりに対応することではなくて、将来的に会社や開発チーム自身が、「あっここは注意すべきだ」とか「これはその専門家に相談した方がいい」と判断できるようになって欲しいんですね。ビジネス面では、財務管理とか進捗管理以外にも、たとえばピッチテックを一緒に整理したりとか、トレーラーやローカル版など、パブリッシャーとの話に必要なものを一緒に準備することもあります。
また、開発のマイルストーンを見ながら「そろそろパブリッシャーと話し始めた方がいい」とか「今からプロモーションの準備をしないと間に合わないですよ」とか、そういったこともお伝えします。まだパブリッシャーが決まってない段階でも、先にどこを伝えるべきか、どのイベントに参加できるのか、また今の段階でどんなプレイヤーに見てもらうべきなのかを一緒に考えたりはしています。
また、グローバルなパブリッシャーと投資先の開発チームをつなぐこともしています。ただ、すべての開発チームが英語でのビジネス交渉に慣れているわけではありません。そのため、投資先チームの英語でのコミュニケーションや交渉をサポートし、ビジネス面からも助言を行う外部パートナーとも、継続的に協力しています。開発面では、定期的にビルトをプレイするなどをして、いつも開発チームと意見交換をしていますね。ただし、こちらからのフィードバックは命令ではなくて、なぜそこが気になってるのかを説明した上で、直すかどうか、またどのように直すかは開発者が決めます。実際に私たちが想像していたよりもずっといい解決方法を、そのチームが見つけてくれることもすごく多いです。
──COREBLAZERは開発にどのくらい干渉してくるのでしょうか?
郭氏:
ゲームそのものの設計やデザインなどは、全部その会社に任せています。ゲーム関係や開発関係の仕事にはすべて介入しないです。もし介入してしまったら、それは本末転倒だと思います。この開発者がいいなと思って、今開発されてるタイトルにポテンシャルがあると信じているからこそ投資するんですよね。こちらから教えるより開発者自身の個性をちゃんと生かして、COREBLAZERの人生経験や開発の経験を精一杯活用してもらうのが重要なことだと思います。なので、開発にはほぼ干渉しないです。
ただ致命的な問題があれば違います。たとえば財務管理の問題で、投資した金額は2年間の開発資金をカバーできるように提供していたけれど、1年半になってもまだデモがない。それはさすがに危ないと思いまして。その前に進捗管理や、マイルストーンを確認したり、実際に今のビルドを試遊するなどをして、開発状況をちゃんと把握しますね。そこまで致命的な問題がなければあんまり言葉に出すことはないです。その代わり「あ、これ危ないぞ」と思ったら注意はしています。もちろん、相談いただければいろいろとアドバイスはさせていただきますよ。
──COREBLAZERは3〜4年ほど活動されていますが、最近サポートした具体的なタイトルを紹介していただけますか。
郭氏:
やはり最初にお伝えしたい例としては『RACCOIN: Coin Pusher Roguelike』ですね。「多くのプレイヤーに支持され、売上面でも良い成果を上げた作品です。多く売上まして、商業的にも成功したゲームです。開発者たちと初めて出会った時、メンバーは大学生でした。卒業作品を見た後、『RACCOIN: Coin Pusher Roguelike』の初期段階であるプロトタイプも見せてもらいました。そして彼らが卒業後にスタジオを立ち上げ、フルタイムで開発することを決めた段階から、開発資金や会社の運営など、プロジェクト面での支援を始めています。

『RACCOIN: Coin Pusher Roguelike』の開発者はほぼ毎月、新しいビルドを提出してくれて、継続的にプレイしながらゲーム全体の方向性や、アセントについても話し合いました。またパブリッシャーや海外の市場についても積極的に情報を共有して、どのようなパートナーと組むことがこの先一番いいのかを、開発チームと検討してきました。単に連絡先を繋ぐだけではなくて、そのパブリッシャーにどのようにゲームの魅力を伝えるのか、どの段階で何を共有するのか、また条件や役割分担についてどのように話し合うか、そういう部分についてもこれまでの経験を元に、チームのサポートをしてきました。そうしたやり取りを重ねた結果、(RACCOINのパブリッシャーの)Playstackとの正式的なパートナーシップにつながりました。
また『Eternights』というゲームもあります。中国市場で展開した際に、最初の価格設定やストアページの情報などが、中国のプレイヤーの購買習慣や情報の受け取り方へ十分にあっていないという問題がありました。そこでCOREBLAZERは、中国市場の特徴やプレイヤーの反応について具体的な情報を共有したり、価格設定やストアページを見直すためのサポートをおこないました。その結果、中国のプレイヤーにもより適切な形で魅力が伝わるようになりましたし、最終的には一定のプレイヤーを獲得することもできました。

あとは『CATO: Buttered Cat』ですね。実際にそのゲームをプレイして、開発者と直接話しをする中で、開発者自身に非常に大きな可能性があると感じました。そのため比較的早い段階で投資を決めまして、開発チームが生活や資金への不安を抱えずにフルタイムで開発に集中できる環境を作りました。また、会社を立ち上げたばかりの開発者たちにとっては、契約や社内管理など、開発以外の仕事も大きな負担になります。そこでCOREBLAZERは必要な知識や経験を共有しながら、業務を安定して進められる体制作りをサポートしました。

そして『メカニマル・オアシス』です。開発者の彼らを知ったのは大学生の時期です。最初の出会いはゲーム開発コンテストの作品でしたが、そのゲームを見てすごく魅力があると、絶対にポテンシャルがあると確信していました。大学生である開発者の5人は、就職をするのか、自分たちの会社を作って企業するのか、いろいろ迷う時期もありましたが、結果的に彼らは起業をしました。なので起業が決まったとの情報を聞いて、すぐに投資の話になりました。

『メカニマル・オアシス』の開発チームは、同作を完成・発売した後も新作の開発を進めており、現在はその新作も完成に近づいています。私たちはその新作についても、開発途中から継続的にビルドをプレイし、開発者と何度もフィードバックを重ねてきました。
こうした長期的な伴走を通じて、私たちも作品の特徴や魅力、どのようなプレイヤーに届く可能性があるのかについて、理解を深めてきました。だからこそ、単に知名度のある会社を紹介するのではなく、その作品の特性に本当に合うパブリッシャーを探し、早い段階からコミュニケーションを取ることができます。
COREBLAZERは、現在まで約30の開発チームに投資をしていますが、そのうち6つのチームが海外の開発チームで、今は欧米のチームが中心となっています。日本のチームへの投資はこれからだと思っています。
COREBLAZER側は何を得られるのか?
──少し意地悪な質問になってしまうのですが、開発者側にこれほどのサポートをおこなうことで、COREBLAZER側が得られるメリットとは何でしょうか?その背景が見えないと、少し怖さも感じます。
郭氏:
確かに、その質問はとてもよくわかります。私たちは開発者を助けたいだけですと言いながら、どうやって利益を得るのかを説明しない会社であれば、むしろ何か隠れた条件があるのではないかと感じてしまいますよね。
──警戒します。
郭氏:
そうですね(笑)まずお伝えしたいのは、COREBLAZERはチャリティー団体ではないということですね。やっぱり私たちは投資家ですので、当然リターンを得る必要があります。基本的に会社への出資であれば、会社に成長してもらって、将来的に企業の価値が高まることでリターンを得ます。たとえば、1000万円を投資して10%のエクイティ(資本)をもらいますね。もしこの会社がちゃんと成長して、2作目、3作目の面白いゲームを作って大成功すれば、COREBLAZERが所持している10%のエクイティの価値は上がっていきます。また、プロジェクトへの投資であれば、その作品が売り上げた際に、事前に合意した条件に基づいて、収益の一部を受け取ります。
つまり、利益とは開発者から先に何かを取り上げることで生まれるのではなくて、チームとその作品が成長した先に生まれるものです。このゲームが成功して、そのチームが次の作品を作って、会社として長期的に成長していくことが私たちにとってもっとも大きな利益になります。だからこそ、投資した後は契約書だけを置いてありますとかではなくて、開発中のビルドをプレイしたり、開発運営の人材採用やパブリッシャーとの交渉、海外への展開など、いろいろと一緒に考えたり手伝ったりすることが、COREBLAZERが存在する意義になると思います。作品の成功率を上げることが、結果として私たちのリターンにもつながるからです。
──サポートをしっかりできると考えると、COREBLAZERがパブリッシャーになることもありえるのではないでしょうか。なんなら投資よりもそちらのほうが旨味があるのでは?
郭氏:
私たち自身がパブリッシャーになることは基本的に考えてないです。開発者にとって最も合うパブリッシャーがいるのであれば、その会社と出会えるようにサポートします。私たちの中ですべてを取り込むよりは、適切な専門家と組んだ方が、作品が成功する可能性も高くなりますし、その方が投資家である私たちにとっては合理的です。もちろんすべての投資が必ず成功するわけではないです。ゲームの開発には大きな不確実性がありますし、期待した売上に届かない場合も結構あります。そのリスクを受け入れた上で、早い段階から資金を提供するのが投資家としての役割だと思います。
COREBLAZERが重視しているのは、ひとつの作品で短期的に最大限の利益を得ることではなく、良いと判断した開発チームと、1作目、2作目のその先まで長く一緒に成長していくことです。それは、開発者と投資家の利益が完全に同じになることではなくて、少なくともゲームが成功すること、またそのチームが成長するという大きな方向性を持ち、できる限り同じ側に立てる投資の形を作ることだと考えています。
──あくまで投資家であり、そのうえで新しい投資の形を作っていくということですね。投資の形といえば、エクイティ投資とプロジェクト投資がありますが、投資の比率はどのくらいになるのでしょうか?
郭氏:
これまでの投資のケースから見れば約95%がエクイティ出資です。つまり、特別なプロジェクトではなくて会社に投資しています。一方で、日本ではより柔軟な形も検討しています。日本では、人々が会社の株式を渡すことに慎重で、かつ特定のプロジェクトについては開発資金が必要となるシーンもあるからです。その場合はプロジェクト投資として、事前に合意したプロジェクト収益からリターンを得る方法もあります。ただ、プロジェクト投資と言っても、クリエイターやその会社の未来を一緒に見たいという気持ちは変わらずに持って、投資をしています。
──となると、COREBLAZERは開発者がパブリッシャーを持つことを推奨しているのでしょうか?
郭氏:
開発者の状況次第ですね。基本的にはまったくパブリッシングをした経験がなく、特にインディーのプロモーション経験がないチームに関しては、パブリッシャーと連携することをおすすめします。でも単に任せるだけではなく、自分たちでもちゃんと勉強していかなければならないと思います。開発者として勉強力があるかどうかがここに表れますね。勉強力は、自分にパブリッシングできる可能性があるのかどうかにもつながります。ちゃんと観察して勉強する、そういった意欲が高い会社は、パブリッシャーにどういう仕事を担当してもらってるのか、どういう部分で、どういう段階で何をしてきて、自分のゲームのプロモーションにどういう役割を果たしてきたのかを、いろいろと観察して自分の経験にしていきます。
「学ぶ意欲の高いチームは、パブリッシャーとの協業を通じて、どの市場に注目しているのか、どのタイミングで情報を発信するのか、また、ストアページ、イベント、メディア、コミュニティといった各チャネルをどのように組み合わせて活用するのかを吸収していきます。
そうすることで、単にパブリッシャーから求められた素材を提出するだけではなく、なぜその素材が必要なのか、どのようなプレイヤーに何を伝えたいのかを理解したうえで、より効果的に協業へ参加できるようになります。
一方で、プロモーションやプレイヤーとのコミュニケーションにどの程度関わりたいかは、開発者によって異なります。開発そのものに集中したいチームもあれば、プレイヤーと直接交流し、コミュニティの反応を見ながら情報発信にも関わりたいチームもあります。どちらか一方が正しいということではありません。
大切なのは、チームがどこまで関わりたいのか、何を得意としているのか、そしてパブリッシャーに何を担ってほしいのかを、早い段階で整理し、共有しておくことです。良い協業とは、すべてを相手に任せることでも、すべてを自分たちで抱え込むことでもありません。互いの専門性を理解し、それぞれが最も価値を生み出せる役割を見つけることが重要だと考えています。
開発者側に学ぶ力があれば、パブリッシャーが提供できる価値をより深く理解できるようになりますし、パブリッシャー側も、そのチームや作品に合った提案をしやすくなります。こうした相互理解が、最終的にはより良いプロモーション成果にもつながると考えています。
──こうしたお話を訊くと「COREBLAZERがこんなにサポートしてくれるならパブリッシャーいらないかも」なんて思う開発者も出てくるのでは。つまりCOREBLAZERをパブリッシャーとして頼りにされるケースが出てくる可能性があり、そうなるとCOREBLAZERは困るのでは。
郭氏:
そういったケースは、まだないですね。COREBLAZERは最初からパブリッシングはしないということが前提としてありますし、そのうえで交渉や相談はしてきました。なので開発者には最初から、COREBLAZERがパブリッシング部分を担当してくれるという期待をもってもらっていません。あくまでCOREBLAZERは投資の専門家ですので。
そもそも我々は、パブリッシング関係の経験についてはある程度の基本的な知識はあるんですけど、具体的にやっていくとなるといろんな細かいところまでの経験はなくて。これは経験がないと絶対にいい結果にはならないんじゃないかと思っています。投資家としての専門性を尊重してくれることが一番ありがたいです。逆に言うと、パブリッシングの経験がないので、パブリッシャーの専門性を尊重して連携を推奨したりとか、専門的な仕事は専門的な人に担当してもらっています。
──なるほど。直近で、この仕事をしていて良かったなとか、うまくいってるなと手ごたえを感じたことがあれば教えてください。
郭氏:
最近一番強く手応えを感じたのは、やっぱり『RACCOIN: Coin Pusher Roguelike』をサポートできたことですね。大学生の彼らと会った際に卒業後も独立してゲームを作りたいのかを聞いたところ、卒業後、お二人はそれぞれ良い就職や留学の機会を得ていましたが、最終的には自分たちのスタジオを立ち上げ、オリジナルゲームの開発を続ける道を選びました。それでも彼らは最終的に自分たちでスタジオを作って、オリジナルゲームを開発する道を選びました。

ただ、情熱的な話に見えますが、現実的にはそれほどロマンチックではないです。大学を卒業したばかりの若いチームが、初めてフルタイムの仕事で、収入であったり、会社の経営とか管理とか、本当に売れるかどうかの不安などを同時に考えることになります。でもCOREBLAZERがサポートをして、結果的にチームはいい成績を出してくれました。私が感じた手ごたえとしては、COREBLAZERがゲームを成功させたということではなくて、若いチームが最も支援を必要としていた時期に、フルタイムで開発をして、自分たちの力で証明できる機会を作れたことだと思いますね。
また、学生チームだから絶対成功できないとか、経験がないと良い作品は作れないといったアイデアが、間違いだと証明できたところです。若いチームや、経験がないチームだといっても、ちゃんとゲームを作る情熱があって、自分がこれからやりたいことがはっきりしているチームも存在します。あとは支援だけが必要となっている時期に、適切なサポートを受けられたら良い成果も出せるということです。
なぜ日本なのか?
──日本のゲームクリエイターや開発チームとの投資・協業に力を入れているそうですが、なぜでしょうか?
郭氏:
一番大きな理由として、日本のゲーム開発者には、独自の表現やものづくりを大切にする、強いクリエイター文化があるからです。開発チームの規模が大きくなくても、ビジュアルやキャラクター、物語や世界観の表現がはっきりしている作品がたくさんあります。COREBLAZERが最も大切にしてる部分もそこだと思いますね。こうした作品の価値は短期的に予算を増やしただけでは作れないと思います。同時に、日本のインディー開発チームやPCゲーム、コンソールゲームの環境も変化していまして、Steamなどの市場を意識するクリエイターも増えています。
一方で、開発資金や海外パブリッシャーの情報、ローカライズや主に中国の市場に対する理解など、新しい課題も日本ではそれなりに生まれているんじゃないかと思いますね。その中には、私たちがこれまで蓄積してきた経験を活用できる部分もあるんじゃないかなと思います。ただ、日本に来た目的はIPを取得することではなくて、日本のすべてのIPを中国に持っていきたいと考えています。また、中国市場は大きな可能性を持つ選択肢の一つだと考えています。だからこそ、より多くの日本の開発者を支援し、彼らが生み出した優れた作品を中国のプレイヤーにも届け、実際に遊んでもらい、好きになってもらえるようにしたいと考えています。
また、良いコンテンツを作れるクリエイターを探したい、一緒に価値を作りたいという思いも強くあります。先述した通り、COREBLAZERの投資サイクルは、まず開発者やチームを見つけて、投資や事業のサポートをして、最終的に開発者が作品を完成させて成功する可能性を上げていくことでリターンをもらえるという形です。中国の場合、このサイクルはもう検証されています。
今後は、日本の開発チームとの取り組みにおいても、同じようなサイクルが成立するかを検証していきたいと考えています。その可能性を確認しながら、日本でも継続的に開発チームやクリエイターとの接点を広げていく予定です。まずはこのサイクルが成立すると分かった上で、同じように日本でも開発者を探していこうと考えています。
日本で開発者を探すにあたって、エクイティ出資なのか、プロジェクト出資なのか、またリソース面での協力なのかを、先に決めたくはありません。まずは実際に開発されているゲームをプレイして、私たち自身が驚いたりとか、ここのデザインが面白いと感じたりするゲームに出会いたいですね。そのうえで開発者が本当に必要としてるものは何か、COREBLAZERが資金や中国市場の情報、パブリッシャーとの接続などで実際に役に立てるかどうかを考えます。エクイティ出資なのか、プロジェクト出資なのか、ケースバイケースで柔軟に考えていきたいと思います。
ただ、柔軟であるといっても、クリエイターの独立性を尊重して、IPやパブリッシング権の取得を前提とせずに、条件を明確で透明化する必要があると考えています。こういった原則を持ち、信頼関係を築くことができればいいんじゃないかなと思っています。信頼関係を築くことができたら、最初はプロジェクト投資やリソース協力であっても、また次の作品を支援することで、より長期的な関係に発展する可能性もあります。それが一番理想的だと思っています。
──ちなみに、ほかのインキュベーターやコンテストからのサポートを受けていても、COREBLAZERからのサポートを受けることは可能でしょうか。
郭氏:
もちろん可能です。事前にほかのインキュベーターに参加していたり、出資をしてもらっているということは、むしろ心強い話ですよね。私たちと同じようにその会社と作品を認めている、ポテンシャルを感じているパートナーがいることは大事だと思いますね。あとは日本のタイトルだったら、もっと日本のローカル的な視点で見なきゃいけないなと最近感じています。なので日本のパートナーがちゃんとその作品を認めてくれているということは、本当に心強い話ですよ。
──なるほど。ではCOREBLAZERは権利の独占といったことはあまり関心がないと。
郭氏:
全然ないです!一番重要なのは、自分ができる範囲で尽力していくことだと思います。COREBLAZERは投資に関する専門的な事業をやってきましたので、投資の事業に集中したいです。投資の範囲だったらもちろん専門性もありますし、別の専門性を持っているパートナーが存在してくれれば、作品をもっと一緒に支えていけるじゃないですか。多くのパートナーが存在することで、成功の確率をぐっと上げられるんじゃないかなと思っています。なので協力関係は警戒するより大歓迎ですよ。COREBLAZERも自分が投資家である立場を理解したうえで、たとえばパブリッシングなど、別の専門領域に手を出すこともなく、新しい関係を築けていけたらと思いますね。
──それぞれの専門家が協力して開発者を支えていく、ほかのプログラムにはない強みですね。ありがとうございました。
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