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あの世でも“ガチ労働”冥界経営シム『Hundred Nights: DIFU』開発者が目指す「AAAとは違うアプローチ」。経営シムにぴったりな中国の死生観を、物語に乗せて
デジタル盆栽のような、比較的ライトでカジュアルなゲームを作りたいと考えています。プレイヤーに金策で頭を悩ませるようなことはさせません。

先日開催された「Bilibili Game First Look」にて、PixelsCove Gamesは中国の「冥界(地府)」を舞台とした経営シミュレーションゲーム『Hundred Nights: DIFU(百夜地府)』を出展した。本作は中国の死生観を題材としながらも軽快かつユーモラスなタッチで描かれる経営シムとなっていた(弊誌プレイ感想記事)。
本作は現在、開発開始から約5か月が経過しており、今回展示されたプレイアブルデモは基本的な経営シミュレーションのシステムのみを体験できるものであった。試遊後、弊誌を含むメディアは、本作のプロデューサーでありPixelsCove Gamesの代表でもある范力方氏(以下范氏)に合同インタビューを実施した。ゲームのデザインや今後の製品版に向けた構想など、多岐にわたるトピックについて語っていただいたので、その詳細をお届けする。

まず前提として『Hundred Nights: DIFU』について軽く紹介しておこう。本作の舞台となる「冥界(地府)」は「陰間」とも呼ばれ、中国の伝統神話や道教文化において、人が死んだ後に魂が辿り着く空間を指し、現実世界である「陽間」と対をなす概念だ。本作の物語は、冥界が「ある猴王」によって破壊され、三界を揺るがす大事件が起きたところから始まる。陰陽のバランスを守るため、冥界は一刻も早く機能を取り戻す必要があり、プレイヤーは新たな管理者として冥界の運営をおこなっていく。
なお中国の伝統的な死生観では、人は死後すぐに転生するわけではない。陰間にも「陰寿」と呼ばれる寿命が存在する。この期間中、魂は生前と同じように生活し、陰寿が尽きた時にようやく転生の順番が回ってくるのだ。しかし転生する前には、すべての魂が審判を受けなければならない。そうした転生までの「審判」「懲戒」「転生」というプロセスを、さまざまな施設を建設し、役人「冥吏」たちを雇って管理していくことになる。
——本作は中国の陰間や冥界(地府)を背景としています。外国人どころか、中国人の中にもこれらの概念や用語をよく理解していない人がいるかもしれません。ゲーム内に、これらの文化的な背景をプレイヤーに理解させるような導線は用意されますか?
范氏:
もちろん用意します。文化の輸出は我々がずっとやりたかったことでもありますから。具体的な形式としては、長々と世界観を説明したり、特定のオブジェクトを解説したりはしません。プレイヤーがゲームを遊ぶことで、ちょっとしたストーリーや図鑑を通じて少しずつ理解していけるようにしたいと考えています。例えば、ある魂が叶えたい願いを持っていて、そこから小さな物語が始まり、特定のアイテムへと派生していく、といった具合です。このような形式であれば、国内外のプレイヤーを問わず、事物の背景にある文化や歴史に対する受容度や理解度もより高まるでしょう。単なるテキストだけで味気なく提示することは避けたいと思っています。
——文化と歴史についてですが、事前の紹介では「真仮美猴王」や「白起と王翦」といった歴史・神話の要素が登場すると言及されていました。これらはどのような形式で表現されるのでしょうか?
范氏:
基本的には経営シミュレーションの視点からこれらの物語を描写し、AAAタイトルのようなCGや大掛かりなカットシーン演出は行いません。我々にできることとして、経営シミュレーションの環境下で、プレイヤーが建設した施設を利用してストーリーの連動と表現を行います。表現の形式としては、プレイ中にプレイヤーがランダムなイベントやタスクに遭遇するというものです。例えば、「石蓮花」という施設があるのですが、これが開花すると「地蔵菩薩」が見にやって来るかもしれません。そしてそれに関連して、本物と偽物の孫悟空がやって来た時に地蔵菩薩が不在であれば、何らかの問題が発生するかもしれない、といった形です。これらのストーリー間には、いくつかの連動要素が存在します。
——本作では立体的な地形の構築が可能ですが、鎖橋で繋いで移動させると魂の怨念が高まってしまいますよね。効率を重視するプレイヤーであれば、連続した広大な平地を作ることを選ぶかもしれません。ゲーム内には、プレイヤーに立体的な建設を促すようなメカニクスはあるのでしょうか?
范氏:
マップ内の環境物理要素はすべて密接に関連しています。例えば、火鉢を置けば銅柱を赤く熱することができ、銅柱による懲戒の効率が上昇します。また、デモ版でずっと風を送り続けている「呼呼参宝」というキャラクターがいたかと思います。こうした風や気流、高温といった要素の中には、垂直に上昇するものがあります。例えば「蒸籠地獄」では蒸気が発生し、高温が上方に立ち上ります。もしその高温を利用したいのであれば、上方にプラットフォームを設置し、そこに高温を必要とする施設を建設しなければなりません。そのため、効率を追求するプレイヤーであっても、実質的な効率アップを図るためには立体的な建設を行う必要があります。ただの広大な平地にしてしまうと、これらの物理的特徴をうまく活用できず、かえって非効率になってしまうこともあるのです。
——事前の紹介で、冥界以外にも陽間(現世)を舞台としたライトなローグライト要素が含まれるとのお話がありました。このローグライト要素とは、具体的にどのようなものになるのでしょうか?
范氏:
このローグライト要素は、それほどヘビーなものにはなりません。例えば『デイヴ・ザ・ダイバー』では魚捕りがメインの遊びであり、店舗経営はライトなサイクルのコンテンツとして存在していますよね。私たちの作品では明らかに経営シミュレーションがメインの遊びであるため、ローグライト部分は非常にライトなものになる予定です。イメージとしては『ツーポイントミュージアム』の探検・宝探しに近いですが、そこに少しだけアクション操作が加わる、といった程度です。ゲーム内に一度に多くの要素を詰め込みすぎることはしません。

——転生に送られる魂以外に、「陰寿」が残っている魂もいることに気づきました。これらの魂は、経営においてどのような違いや変化をもたらすのでしょうか?
范氏:
ゲームの後半では、「酆都城」と呼ばれる場所に足を踏み入れることになります。ここは魂たちが生活する場所です。罰を受け終わってすぐに転生する魂もいれば、陰寿がまだ尽きておらず酆都城で生活を続ける魂もいます。ここでは魂たちの行動は比較的自由で、食事や睡眠、娯楽といった独自のニーズを持っています。生活するにつれてこれらのニーズが高まっていくため、プレイヤーは関連する生活施設を建設してあげる必要があります。デモ版でお見せした「戯台」や「棋盤テーブル」などがこれに該当します。
——多くのゲームは、基本的に四角形のグリッドをベースに空間が設計されています。しかし『Hundred Nights: DIFU』は円形の構造を採用しています。なぜこのような設計を採用したのでしょうか?また、この設計はプレイヤーにどのようなゲーム体験をもたらしますか?
范氏:
現在のデモ版で最初からある台地が円形に近い形状をしているため、そういった印象を持たれたのかもしれません。浮遊島といえば、頭に浮かぶ第一印象がそうした円形に近い構造だからです。しかし実際のゲームでは、プレイヤーは崖や岩山、台地、洞窟などさまざまな地形を簡単に生成し、美しい景観を作り出すことができるため、決して円形に限定されるわけではありません。また、建物の配置は完全に自由であり、システム面におけるいわゆるグリッド設計は根底には存在しません。とはいえ、システム層でのスナップ機能やグリッドの表示も提供し、プレイヤーがより遊びやすいようにはしています。もしシステム設計の根底からグリッド化してしまうと、景観を作り込みたいプレイヤーにとって障害になってしまいます。グリッド環境下では角度や位置の微調整ができないからです。そのため、我々は根本的な設計においてプレイヤーに十分な自由度を与え、その上でオプションとしての体験最適化を行っています。

——ステージの区画については最大「100x100x100メートル」の様子ですが、なぜこの範囲に制限されているのでしょうか?
范氏:
100x100x100メートルというのは、それでも非常に挑戦的なサイズです。我々はいくつかテストを行い、技術的なボトルネックとプレイヤー体験の間でいかに良いバランスを取るかを研究しました。また、数字が不自然にならないようにも配慮し、最終的にこの範囲に決定しました。この範囲内であれば、質の高いプロシージャル生成体験を提供しつつ、パフォーマンスを適切に制御できる自信があります。これ以上大きくなると、パフォーマンスの問題が発生する可能性があります。また、我々は『タウンスケイパー』から部分的なインスピレーションを受けています。あの作品はプロシージャル生成が非常によく出来たゲームで、簡単な操作で美しい情景を作り出すことができます。我々はその基盤の上でさらに一歩進み、より良いものを作ろうと試みています。
——本作の建設システムは非常に拡張性が高く、中国の題材に留まらないように見えますが、将来的には西洋の地獄といった題材へ展開する可能性はありますか?
范氏:
西洋の地獄という題材については、現時点では中国の冥界のコンテンツ制作に注力しています。もし将来的に良いアイデアがあれば、DLCや小規模なコラボレーションという形で検討するかもしれませんが、ゲームの主体はあくまで中国の冥界であり続けます。
——製品版では、ユニークなアニメーションやナンセンスなギャグ要素なども追加されるのでしょうか?また、採用した「冥吏(役人)」には育成システムはありますか?
范氏:
ユーモア要素の表現については間違いなく実装されますし、我々のアピールポイントの一つでもあります。ただ、現在のデモ版にはまだそれほど組み込めていません。現時点では判官のアニメーションがいくつか作られており、例えば机の上に立って魂の鼻先を指差して罵倒したり、平手打ちを食らわせたりする動作があります。他にも、冥吏が「孟婆湯」を煮込んでいる時にたまにミスをして、はしごから落ちてしまうといったこともあります。これはキャラクターの機能性にも影響し、ミスをしやすい霊差は給料が安くなります。
冥吏の育成要素も存在しますが、こちらもまだ実装されていません。現在でも冥吏には給料の設定があることが確認できるかと思いますが、将来的には彼らがより多くのスキルを学び、昇進や昇給を要求してくるようになります。また、冥吏にはスタミナゲージの設定があり、連続して働くことはできず休憩が必要です。冥吏の管理と育成は重要なシステムとなるため、将来的には必ず実装します。
——現在のデモ版では、魂を刑に処すことでしかお金(冥幣)を稼げないようです。製品版ではより多くの金策手段が用意されるのでしょうか?
范氏:
現在のデモ版では、完全な経済モデルがまだ構築されていません。今後のゲーム内における収入源は、刑罰以外にも、いくつかのチャレンジやタスクを達成することで冥幣を獲得できるようになります。その他の部分については現在まだ設計・議論の段階です。例えば、先ほど挙げた酆都城の娯楽施設から冥幣を生み出せないか?といったことも構想中です。我々の目標は、全体の数値的なサイクルをスムーズにしつつ、複雑にしすぎないことです。我々自身、デジタル盆栽のような、比較的ライトでカジュアルなゲームを作りたいと考えています。プレイヤーに金策で頭を悩ませるようなことはさせません。

——現在、開発チームは中国重慶に拠点を置かれているのですよね?最近、成都や重慶にはこうした新興のスタジオが多いように見受けられますが、どのような理由が彼らを惹きつけ、現地でのスタジオ設立に至っているとお考えですか?
范氏:
あくまで個人的な視点であり、すべてを網羅しているわけではないかもしれませんが、私自身、重慶生まれの重慶育ちです。現地の文化的な気質に対する私の理解は、おそらく外部からの印象とそれほど変わらず、「比較的リラックスしていて、独自のリズムを持っている」というものです。北京・上海・広州・深センといった大都市と比較すると、生活のプレッシャーや生活のペースが相対的に緩やかです。そういった環境の中では、自分が表現したいものをより自然に表現し、より快適に創作活動を行うことができるのでしょう。もちろん、内陸都市は全体的にコストが比較的低いという、より現実的な理由もありますが。
──ありがとうございました。
『Hundred Nights: DIFU(百夜地府)』はPC(Steam)向けに開発中だ。
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