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“レトロ系”に終わらない愛の2DドットRPG『Undertale』レビュー、あなたが「現実」から「ビデオゲーム」へと帰るとき
本作のトレイラーなどを見て『MOTHER』を思い浮かべたのなら、その直感は正しくもあり、間違いでもある。今回のレビューでは単純な「レトロ系RPG」に終わらない『Undertale』の魅力を読み解いていこう。
「鍵屋」とはなんなのか、「キーの売買」に違法性はないのか。業界大手の業者「G2A.COM」にインタビューで様々な問題と事件を聞く
利用するユーザーも多い一方で、様々な問題点や違法性が指摘されている通称「鍵屋」。AUTOMATONでは今回、過去に起きた事件や指摘されてきた問題点について、鍵の売買を仲介する「G2A.COM」へとインタビューを敢行した。
NSA職員となり“スノーデン事件”を追え、「メール」でプレイするリアルタイムなアドベンチャーゲーム『Top Secret』が開発中
発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第186回目は、アドベンチャーゲーム『Top Secret』をピックアップする。
『P.T.』の精神的続編を目指すホラーゲーム『Allison Road』が本格始動、PS4/Xbox Oneでの発売も検討中
英国のスタジオLilithは、一人称視点ホラーゲーム『Allison Road』のKickstarterキャンペーンをスタートした。目標額は25万英ポンド(約4650万円)で、支援の受付は現地時間の10月22日に終了予定となっている。
『THE KING OF FIGHTERS XIV』が正式発表。リリースは2016年、対象プラットフォームはPS4に
SNK Playmoreは、シリーズ最新作『THE KING OF FIGHTERS XIV』を正式発表した。リリースは2016年を予定、対象プラットフォームはPlayStation4。SCEJAのプレスカンファレンスでは、ほんの数秒ばかりのゲームプレイ映像が披露されただけだが、グラフィックが3Dになっていることが確認できる。唯一表示されているキーワード「Burn to Fight」がどのような意味を持つのか、気になるところだ。
「なつかしい」の一言で終わらない『Cuckoo Castle』、GameBoy Jam生まれの横スクアクション
第8回Free Game Saturdayでは、GameBoy Jam 4から『Cuckoo Castle』と『Pirate Pop』、Ludum Dare 33から『Delicious Cortex』と『underworld siege』を紹介する。
『MGS V: TPP』ゲーム内通貨「MBコイン」の価格が判明、課金システムに批判殺到で前線基地大炎上
『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』の課金要素であるゲーム内通貨「Mother Base Coin」(MBコイン)の販売価格が、オンラインストアから明らかになった。
WHO KILLED VIDEO GAME – 記録に残らないゲームたち
読者諸兄の皆様は「ビデオゲームの歴史」というキーワードから、何を連想するだろうか? 陽の当たる場所に影があるように、コインに表裏があるように、当然ながらビデオゲームの歴史、その市場においても影の部分がある。
『Her Story』 レビュー 「ストーリー」がもたらす無二の体験
『Her Story』のレビューをお届けする。プレイヤーはレトロなデータベース端末を模した画面を操作して、夫が行方不明になったというある女性の物語を追ってゆく。『Her Story』の目的は「彼女」の証言を聞くこと。ストーリーテリングこそが目的なのである。
PC版『D4: Dark Dreams Don’t Die』レビュー「遊べる海外ドラマ」はなぜ面白いのか?
アクセスゲームズは、PC版『D4: Dark Dreams Don’t Die』を6月6日にSteamおよびPLAYISMにてリリースする。価格は1480円。PLAYISMでは無料の体験版も配信されている。本作は特に海外で高い評価を浴びた『Red Seeds Profile』(国外での名は『Deadly Premonition』)の開発者SWERY氏による最新作だ。
“まったく同じアイディアのビデオゲーム”を先に発表されてしまった開発スタジオの再挑戦
Tiny Bull Studiosは、イタリアに位置するコアメンバー4人の小さなインディーデベロッパーだ。Tiny Bullは1年以上前から『Blind』というゲームを開発していたが、同作のとそっくりのゲームコンセプトが先にKickstarterで発表され、そちらのほうが国内外のメディアから大きく注目されてしまった。
SFストラテジー最新作『XCOM 2』が正式発表、地形の自動生成はプレイ要素の拡張をもたらすか?
2K GamesとFiraxis Gamesは、SFストラテジーシリーズ最新作『XCOM 2』を正式発表した。リリースは2015年11月を予定、対応プラットフォームは現時点ではPCのみとされている。海外メディアIGNが独占報道したのち、2K Gamesが国内外でトレイラーやプレスリリースを配信した。
アクセスゲームズSWERY、PC版『D4』発売インタビュー[前編]
PLAYISMは、2015年6月5日にPC版『D4: Dark Dreams Don’t Die -Season One-』を発売する。『D4』はどのようにして生まれたのか、そしてPC版が発売された経緯は?あらためてSWERY氏に、本作へ込められたテーマや開発背景をお聞きした。
VRヘッドセット「Oculus Rift」のOculus VR社がE3 2015に合わせプレスイベントを実施へ
VRヘッドセット「Oculus Rift」を開発するOculus VR社は、E3 2015に合わせたプレスイベントを開催する。サンフランシスコにて現地時間6月11日に実施され、一部の報道関係者のみが招待される予定だ。Oculus VR社は、「Step into the Rift(Riftの中へ入ろう)」のキーワードが記された招待状を、IGNを含む一部メディアに配布している。
3Dアクションアドベンチャー『Little Devil Inside』がKickstarterで資金調達を開始
韓国のデベロッパーNeoStreamは、3Dアクションアドベンチャー『Little Devil Inside』の資金調達をKickstarterにて開始した。目標額は25万オーストラリアドル、期日は現地時間の5月26日に設定されている。『Little Devil Inside』は先週末Steam Greenlightに登場し、すでに1900件以上のコメントを獲得しており、国内外の多数のメディアにも取り上げられるなど注目を浴びている。
Kickstarterページでは、『Little Devil Inside』に関するディテールも一部掲載されている。本作では、プレイヤーである主人公の男性と、超自然現象を調査している大学の教授の物語が描かれるという。
「このゲームはアークデーモンを殺して世界を救うだけの作品じゃない。雰囲気にひたって、非現実的な世界で本当に生きているかのような生活を送る作品なんだ。モンスター狩りみたいな独特の仕事をやっている人々の物語、彼らが日々体験していることを伝えるゲームだよ」
このほか最新のスクリーンショットからは、60fpsでの動作やスチーム・パンク、ヴィクトリア朝風といったキーワードも確認できる。
「ミニマリズム、ただ真の意味のミニマリズムではない(minimalism but not minimalism per se)」が、このゲームのコンセプトだ。『The Elder Scrolls V: Skyrim』や『The Witcher 3: Wild Hunt』など、昨今のRPGが豪華絢爛なビジュアルで開発される中で、本作はプレイヤーが物語を想起できるだけの、比較的シンプルなアートスタイルを目指している。
なおKickstarterのクラウドファンディングでは、25オーストラリアドル以上を支払うと、ローンチ時にゲームを手に入れることが可能。55オーストラリアドル以上を支払うと早期アクセス版が与えられる。現時点でゲームのリリース時期は2016年1月に設定されている。
参考: シンプル3Dビジュアルで冒険を感じる、"非豪華主義"なアクションRPG『Little Devil Inside』
スクウェア・エニックスが発表を進めるプロジェクト「Project CKP」の正体は?
先週末、北米や欧州のスクウェア・エニックス(以下、スクエニ)は、新規プロジェクト「Project CKP」が進行中であることを明らかにした。このプロジェクトの詳細は、現地時間の4月6日(月)より、3日間にわたってTwitchにて配信されている。
「AUTOMATON」ライター・校正編集者を募集中 意見を誠実に伝えるビデオゲームWebメディア
株式会社アクティブ・ゲーミング・メディア下にて運営されているビデオゲームWebメディア「AUTOMATON」は、さらなる発展に向け、同サイトへ参加するゲームライターと校正編集アルバイトを募集しています。
AUTOMATONとは
みなさんは「AUTOMATON」をご存知でしょうか。知らない?それも当然でしょう。AUTOMATONは現在、1日に2本の記事を投稿しているだけの、とても小さなWebメディアです。編集者はたった2人だけですし、うち1人はお馬鹿なことが大好きなグローバル版の担当者です。実質、編集を担当している私と、AUTOMATONを気に入ってくれているライター数人たち、さらに兼任で働いてくれているAGMのシステム担当者や外部の協力者たちによって、日本版AUTOMATONは動いています。昨年6月にスタートしましたが、まだソフトローンチ段階に等しく、生まれたばかりの赤子のようです。
ただ半年が過ぎ、そろそろAUTOMATONも、本格的に動き始めなければなりません。せめてハイハイぐらいは出来るようになりたいものです。
AUTOMATONは、"意見"を"誠実"に伝えることを目指すビデオゲームWebメディアです。TwitterやFacebookなど、SNSの普及により、ジャンルを問わず、ニュースは瞬く間に拡散されるようになりました。かつてフリーライターとして活動していた私も、140文字のなかに、いかに心に響くキーワードを散りばめ、読者らを誘導するかに、執念していました。また、最新の情報を得るために、朝の6時からRSSやTwitterで文字の羅列を睨み続けていました。ただ、安いスナック菓子のようにゲームのネタを日々消費してゆくなかで、「このニュースに関して独自の考えを書けないだろうか?」、あるいは「もっと深く掘り下げて伝えることができるんじゃないのか?」と、疑問を持つようにもなりました。
Welcome to AUTOMATON。この気持ちが、私がAUTOMATONに参加した最大の理由です。AUTOMATONはニュースを消費するのではなく、そこにライターの意見を載せ、さらに誠実に伝えることを目指しています。速報性よりも、その内容やクオリティ、さらに正確であるか、真実であるか(Veracity in Gaming)を重視するのです。その分、読者の皆様に"最新の情報"を知らせることはできませんが、変わりに読み応えのある記事で"最高の情報"を伝えたいと思っています。そして、日本のビデオゲームの関係者や読者たちが、速報ニュースよりもAUTOMATONや他メディアのそういった情報をほんの少しでも好きになったのなら、私たちはとても嬉しく思います。
AUTOMATONは、"意見"を"誠実"に伝えることを目指すビデオゲームWebメディアです。現在我々は、ライターや校正編集者を募集しています。年齢、学歴、国籍は不問です。ふるってご応募ください。
記事ライターの募集要項
業務内容
ビデオゲームWebメディア「AUTOMATON」に掲載する記事を執筆してもらいます。自身の得意ジャンルをベースとした企画立案から、インタビューや取材案件なども担当して頂く予定です。
採用予定数
若干名。
雇用形態
基本在宅となり、記事1本ごとの業務委託契約となります。完全歩合制。
報酬制度はライター全員一律ですが、過去に相応の執筆経験や経歴がある方は応相談。
週に数本から半年に1本など、執筆ペースはライター様自身に決定していただくことが可能です。
必須条件
・Webメディアや雑誌媒体で記事を執筆した経験がある。
・あるいは自身のブログなどでゲームに関する記事を書いたことがある。
歓迎条件
・国内外のニュースを日々追っており、ある程度コンスタントに意見ある記事を書くことができる。
・インタビューやイベントレポートなどの取材経験がある。
・写真や動画撮影に関するスキルが豊富にある。
・特定のゲームジャンルにて、知識量に関しては誰にも負けないという自信がある。
・家庭用ハードゲームや、国内のゲームニュース事情に詳しい。
・『League of Legends』など、e-Sports関連のニュースを追っている。
採用方法
こちらか応募用メールアドレスより、下記の情報を記し、タイトルに【記事執筆ライター応募】と入力してご応募ください。
二次選考ではテスト記事を執筆して頂くほか、Skype等を利用した面接も実施させて頂く予定です。
・名前:
・年齢:
・メールアドレス:
・住所(都道府県):
・作業可能なペース:
・志望動機:
・自己PR:
※送付して頂いた個人情報は、社内で厳重に保管し、今回の募集が終了した後にすべて破棄させて頂きます。
採用者の選考以外で使用は致しません。
※2015年3月11日(水)をもって、募集は締め切らせて頂きました。
校正編集アルバイトの募集要項
業務内容
ビデオゲームWebメディア「AUTOMATON」に掲載される記事の校正やチェック、さらには編集業務を中心に担当して頂きます。記事のライティングや、ライターと連携しての企画立案、取材やインタビューなど、スキルや経験に応じてほかの業務も担当して頂く予定です。
採用予定数
1名。
勤務時間
・9:30から18:30まで(休憩1時間)
・月曜日から金曜日までの週5日出勤。
・完全週休2日制。祝日休み。
・ただしイベントや取材による休日出勤アリ。
勤務地
アクティブ・ゲーミング・メディア本社
550-0004 大阪府大阪市西区靭本町 1-12-6 オカザキビル 4F
東京勤務や在宅での作業も応相談
給与
・時給1000円以上、能力や経験により応相談
・社会保険制度、交通費支給アリ
・相応の経験や能力などがある場合は、トライアル期間を経ての契約社員、正社員登用アリ
必須条件
・校正の仕事をした経験がある。
・あるいは相応の校正能力がある。
・ビデオゲームに関し、幅広い知識がある。
・英語の読解能力がある。英字新聞が理解できる。
歓迎条件
・責任感を持って日々の業務を進めることができる。
・コミュニケーション能力があり、ライターと円滑に案件を進行できる。
・自分から積極的にニュースを集め、その真相を追うことができる。
・新たな企画立案など、新メディア立ち上げに意欲を持って協力できる。
採用方法
こちらか応募用メールアドレスより、下記の情報を記し、タイトルに【校正編集者応募】と入力してご応募ください。
書類選考と面接を経て採用者を決定させて頂きます。
・名前:
・年齢:
・メールアドレス:
・住所(都道府県):
・作業可能なペース:
・志望動機:
・自己PR:
※送付して頂いた個人情報は、社内で厳重に保管し、今回の募集が終了した後にすべて破棄させて頂きます。
採用者の選考以外で使用は致しません。
想像力が答えを導き、邪魔をする。影絵パズル『Shadowmatic』
第16回は、横スクロールアクション『Gunslugs 2』、迷える子羊をゴールへ誘導する『Flockers』、道順組み立てパズル『Socioball』、影絵パズル『Shadowmatic』を紹介する。
任天堂の生活改善事業 まずは「睡眠と疲労の見える化」
任天堂は、QOL事業で最初にあつかう主軸の健康テーマとして、「睡眠と疲労の見える化」を発表した。QOLとは「Quality of Life」、個々の人間にある生活の質を指す。任天堂はまず睡眠を可視化することで、人々の生活クオリティ向上を狙う。
今回のテーマは、岩田聡社長が10月30日の第2四半期決算説明会にて発表した。QOL事業の始動は今年1月の説明会ですでに報告されていたが、具体的な内容は今回初めて明らかとなった。睡眠の可視化には「QOLセンサー」と呼ばれるデバイスを使用する。枕元に置いて寝ると、マイクロ波の非接触センサーがユーザーの身体の動きや呼吸、心拍数などを計測する。
1月の説明会にて出た「ノンウェアラブル」のキーワードは、新たなテーマ「Five "Non" Sensing」へと繋がっている。QOLセンサーにおいて、ユーザーはデバイスを身につけるどころか、デバイスを毎晩操作したり初期設定する必要もない。ただ枕元に置いておくだけで睡眠に関するデータが収集され、自動的にクラウドサーバーへ蓄積される。データ分析によってユーザーの睡眠状態と疲労状態が評価され、それにもとづき運動や食事といったQOLを改善するための個別サービスが提供される。
岩田社長が説明会にて「睡眠状態を測定するさまざまな手段はすでに存在しています」と伝えているように、実は同様の「睡眠計測器」はすでに販売されている。睡眠状態を測定し最適なアラーム時間を設定する腕時計型のSleepTrackerや、睡眠もふくめた総合的な健康度を測定するエプソンのPULSENSE。それにOMRONのHSLシリーズは、任天堂のデバイスと同じ据え置き型だ。ただ大きく違うのは、今回発表された「Five "Non" Sensing」だろう。ライバルたちと違い、QOLセンサーは寝る時に腕にデバイスを巻くことも、起動ボタンを押すことすらも強要しない。
「娯楽の再定義」として進められているQOL事業の登場は、ゲーマーたちにとってなにを意味するのだろうか。岩田社長はQOL事業を中心に据えた、プラットフォームの定義拡大にも乗りだしている。具体的にはQOLセンサーで収集した情報の確認、また個別サービスの提供に、スマートデバイスとビデオゲームハードを利用する。QOLセンサーから集めた情報を見つつ、『Wii Fit U』をプレイする様子は容易に想像できるだろう。2015年のQOL事業始動以降、任天堂がQOLデータと連動するゲームソフトにスポットライトを当てる可能性はある。
書評『家庭用ゲーム機興亡史』 コンシューマゲームハードの始まりから現在まで
昨年2013年はファミリーコンピュータ発売30周年記念の年であった。そのためファミコン関連のイベントが企画されたり、書籍が刊行されたりと、これまでの家庭用ゲーム機の歴史をふりかえる試みがいくつもなされた。2014年5月の刊行ではあるが、本書もそういった時流に乗ったものであろう。
著者の前田尋之氏は1972年生まれのテクニカルライター。徳間書店インターメディアでパソコンゲーム誌の編集に関わり、のちにコナミなどを経て、現在はコンサルタントもつとめている。
ファミコン30周年のタイミングで刊行された書籍や雑誌には様々なタイプがある。子供時代のノスタルジーを強調した思い出話、ゲームハードやソフトの網羅的なカタログ、当事者の証言から描かれる歴史本等など。そういった中では本書はゲーム産業に焦点をあてたものである。特に時代ごとの家庭用ゲーム機のシェア争いを専門用語などをなるべく使わずにわかりやすく解説している。
本書の歴史記述はファミコン登場前夜から現在のハードまでカバーしている。基本的にどの章も中心となるハードの紹介、そのバリエーションと周辺機器の紹介、シェア争いの結果という構成で書かれている。ファミコンの覇権、プレイステーションの躍進、セガの家庭用ゲーム機撤退とその多くはゲーマーなら当然知っている部分が多い。そのため今回はそういった有名な事件は適宜省略しつつ本書を紹介したい。
ファミコン前夜と家庭用ゲーム機市場の成立
歴史はファミコン登場前夜から描かれる。現在は家庭用ゲーム機の普及率が高い日本だが、その歴史が始まったのはアメリカからだ。本書では1975年に発売されたAtariのHOME-PONGが、初の家庭用ゲーム機として紹介されている。実際には1972年に発売されたMagnavoxのOdysseyが家庭用ゲーム機としては先んじているのだが、本書では触れられていない。当時の家庭用ゲーム機は、アナログ回路を利用したものでハードごとに遊べるゲームは限られていた。国産のものも多く製作され、任天堂からはテレビゲーム6やテレビゲーム15、他にもエポック社、バンダイ、トミーなどからも発売している。
しかしながら、現在の家庭用ゲーム機の直接の祖先となるのはAtari VCS(2600)であろう。画期的であったのはソフトウェアとハードウェアを分離していたことだ。世界初のROMカートリッジ式ゲーム機としてはFairchild Channel Fが先んじていた。だが、Atari VCSの功績は単なるハードウェアとしての革新性だけではない。ゲームソフト開発自体を自立的な産業として育てたことが、のちのゲーム産業にとって決定的となった。本書ではAtariを退職した人々が創設したActivisionの他、BrøderbundやElectronic ArtsといったPCゲームの最古参のソフトメーカーが紹介されている。
このように家庭用ゲーム機市場は北米で誕生した。だが、この市場はそれほど長続きせず、1982年から1985年にかけてもろくも崩れさった。周知のとおり、アタリショックの影響だ。日本ではこの現象をサードパーティによるソフトの粗製乱造によって引き起こったバブルの崩壊として語られることが多い。しかしながら、現在ではこの見方は一面的なものとされる。いわゆる"クソゲー"が乱発されたことは事実だが、この北米ゲーム産業の崩壊は市場飽和や供給過剰、安価なホビーパソコンの登場、専門メディアの未成熟など多面的な出来事が影響して起こった現象である。本書ではそれらについて詳細には触れられていないが、そもそもゲーム市場が形成される前の一時的なブームが終焉したに過ぎないと結論づけている。つまり、真の家庭用ゲーム機市場の成立を観測するには、ファミコンの登場を待たなければいけないということだ。
日本には直接の影響が少なかったアタリショックだが、ファミリーコンピュータの開発にはかなりの影響をあたえている。というのも任天堂は当時の海外産家庭用ゲーム機とホビーパソコンを研究することで、本機の基本コンセプトをつくっていったのである。ゲームに特化したハードでありながら「ファミリーコンピュータ」という商品名を採用する。プログラミング用周辺機器であるファミリーベーシックを発売する。現在から見れば、矛盾した施策のようである。だが当時の任天堂はアタリショックへの懸念とホビーパソコンブームにうまく乗るために、ファミコンがゲーム機ではなくコンピュータであることを強調したのである。本来的にはゲーム機であるものをなにか別ものとしてアピールする戦略は、のちの任天堂の在り方にも通じるところがあり興味深い。
さて当時のファミコンのライバルは、セガのハードであった。ホビーパソコンSC-3000の後継機であるセガマークIIIは、ゲームに特化することでファミコンを上回る性能を持っていた。さらに『ファンタジーゾーン』、『スペースハリアー』、『アフターバーナー』といったセガが得意なアーケードゲームを移植することで消費者にアピールすることができた。しかしながら、ハドソン、コナミ、ナムコといった有力なサードパーティをいち早く取り込んだファミコン側がソフトラインナップの点で優位に立ち、セガはファミコンの牙城を崩すことはできなかった。ただしセガマークIIIはMaster Systemとして国外で普及、海外市場だけで900万台の販売台数を記録している。
ポストファミコン争奪戦
ファミコンが覇権をにぎった80年代後半、各社の目標はアーケードゲームを忠実に移植することに移っていった。最初に動いたのはファミコンの開発に参加し、任天堂と蜜月関係にあったハドソンだ。ハドソンはアーケードゲームの進化に対してファミコンが旧式化してきたことを危惧して、独自規格のゲーム機の開発を模索しはじめた。結果的にNECホームエレクトロニクスとPCエンジンの共同開発へこぎつけた。
当時はナムコやコナミといった他のメーカーも独自ハードを模索していたという。しかしながら、家庭用ゲーム機のビジネスはたんなる製造業ではなく、ユーザーサポート、流通、デベロッパーの取り込みといったノウハウも必要である。そのため、ほとんどのメーカーは試作機やソフト開発キットを開発するも、途中で断念することになった。そのようななか、ハドソンはNECという強力な味方をつけることで1987年にPCエンジン発売へいたった。
PCエンジンに続いたのはセガであった。メガドライブは1988年にセガマークIIIの後継機として発売された。16ビットCPUであるMC68000を搭載しているのが特徴であり、当時としてはかなり高価な部品であった。100万個単位でチップを注文されたMotorolaは軍事利用を警戒したというエピソードが残っている。またPCに利用されていたチップであったため、テクノソフトの『サンダーフォースII MD』などPCゲームの移植も比較的容易であった。
任天堂のスーパーファミコンはこれらのライバル機からかなり遅れた1990年に発売された。発売が遅れたおもな理由は、ファミコンとの互換性を検討していたためとされている。またスーパーファミコンはライバル機と比べるとCPUの性能は高くなく、そのぶんグラフィックスにリソースを集中していた。この設計思想は当時人気のあったRPGを重視したためではないかと本書は推測している。この戦略は『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』シリーズがヒットすることで、結果的に功を奏する。だが、爽快感を求めるアクションゲームやシューティングゲームはPCエンジンやメガドライブに奪われたため、ファミコン時代ほどにはシェアを独占することができなかったとも本章は分析している。
光記録媒体の新技術
第4章は他の章とは異なり、ゲーム機そのものよりも記録メディアの移行について語られている。通常の家庭用ゲーム機の歴史では埋もれがちなCD-ROM2やメガCDに多くの紙面が割かれており、個人的にはとくに面白かった。
家庭用ゲーム機において初めて光ディスクを採用したのは、1988年に発売されたPCエンジンの周辺機器CD-ROM2システムである。CD-ROM自体はすでにPCやワープロなどで利用されていたが、当時の光学ドライブの価格は40万円以上という大変高価なものであった。また電話帳や住所録といった用途にしか使われていなかったため、CD-ROM2におけるゲームのメディアとしての利用は画期的であったのだ。
しかしながら、CD-ROM2に対する消費者の反応はいまいちであった。それもそのはず、ローンチタイトルは『ストリートファイター』の家庭用版である『ファイティングストリート』と小川範子のボイスが楽しめるデートシム『No・Ri・Ko』の2本だけであった。だが少しずつ対応ソフトは増え、アニメ調デモとCD音源によるBGMとボイスにおいてCD-ROMの真価が発揮されることになった。本章では『イースI・II』と『天外魔境II 卍MARU』が高く評価されている。
PCエンジンに続き、1991年にセガはメガドライブ用のメガCDを発売。メガCDは本体にもCPUやメモリが搭載された高性能なマシンであったが、対応ソフトは少なかった。それでも日本テレネット、ウルフチーム、ゲームアーツといったサードパーティがメガCDを牽引、特にゲームアーツは高い技術力を示す『シルフィード』や実験的なアドベンチャー『ゆみみみっくす』といった作品をリリースしている。
またCD-ROMの利用はゲームに限った話ではなかった。本書ではカラオケと体験版の配布を例としてあげている。CD-ROMはCD音源を再生することが可能であるため、家庭でカラオケとして利用することができる。CD音源を再生しながら静止画を流す「CD Graphics」という規格もあったそうだ。実際にCD-ROM2にもメガCDにもカラオケができる周辺機器がリリースされている。体験版はいまでこそ一般的だが、高価なROMカートリッジ時代ではできなかったことだ。ゲーム雑誌の付録やイベントの特典として、CD-ROMに収録された体験版が配布されていた。
このように各社が周辺機器によってCD-ROMを採用していった80年末から90年代前半だが、ここでゲーム史を大きく揺るがす事件が起こる。ソニーの家庭用ゲーム機事業参入である。もともと任天堂のサウンドチップを開発していたソニーだが、スーパーファミコン用のCD-ROMドライブアタプタを計画していた。しかし破談の結果、独自の家庭用ゲーム機開発を模索することになる。これらのプレイステーション誕生秘話は何度も語られてきたので、ここでは繰り返さない。いずれにせよ、覇権をにぎるプレイステーションがCD-ROMドライブの開発から始まったことは強調すべきだろう。時代の流れはROMカートリッジからCD-ROMへと大きく変化していたのである。
セガの撤退とゲーム離れの兆し
90年代中頃からはCD-ROMへの移行だけではなく、ビデオゲームの表現も2Dから3Dへと大きくシフトしていった。1994年は日本ゲーム史の節目の年ともいわれる。プレイステーション、セガサターン、3DO REAL、PC-FX、ネオジオCDなど多くのハードが発売された。現在では当たり前になった「次世代ゲーム機戦争」といった言葉もこの時代から使われるようになった。任天堂はこの戦いに遅れること2年、96年にNINTENDO64を発売する。しかしながら、発売の遅れとともに有力なサードパーティに離脱され、過去に築いたシェアを切り崩されることになった。結果、このシェア争いはプレイステーションが制することになった。
つぎの節目は2000年前後である。最初に動いたのはセガが1998年に発売したのドリームキャスト。シンプルで高性能な設計、ヤマハと共同開発した独自メディアGD-ROM、携帯ゲーム機としても利用できる記憶メディアのビジュアルメモリといった様々な特徴を備えていた。またモデムを内蔵したハードでもあり、セガはプロバイダ事業も開始することになった。結果として『ファンタシースターオンライン』といった国産初のオンラインゲームといった先進的な試みが実現した。さらにドリームキャストに関してはその広告戦略も有名だろう。秋元康を社外取締役として招き、湯川専務を起用した自虐的なCMを放映。130億円という大規模な広告費が投じられた。
しかしながら、NEC製のグラフィックスチップの生産が遅れ、開発機材も本体の生産も遅れるという失態を犯すことになった。『バーチャファイター3tb』、『ソニックアドベンチャー』、『ファンタシースターオンライン』といった良質なソフトに恵まれるにもかかわらず、セガは家庭用ゲーム機事業から撤退することになる。当時のセガ社長大川功はXboxにドリームキャストの互換性を実装することを直談判したが、これも破断となった。
2000年にはプレイステーション2が発売される。初代のコンセプトを継承してグラフィックスとサウンドの向上を目指している。デザインは現在のプレイステーションにも採用されている縦横どちらでも置けるスタイルとなり、メディアとしてDVDを採用した。しかし、なによりもの強みは上位互換性であり、プレイステーションのソフトラインナップをアピールできた。さらに初年度の発売タイトルは120本にものぼり、物量で他を圧倒した。
任天堂からは2001年に光ディスクを採用したゲームキューブがリリースされる。この光ディスクは松下電器との共同開発の独自メディアだが、とくに名前が存在しない。NINTENDO64と変わってスペックよりも開発のしやすさが重視され、『バイオハザード』、『メタルギアソリッド ザ・ツインスネークス』といったサードパーティ製の大作リメイクにも恵まれた。さらに『ピクミン』、『ゼルダの伝説 風のタクト』といった自社の名作がゲームキューブを牽引した。
さらにMicrosoftのXboxは日本では2002年に発売された。Xboxの構成自体はPC/AT互換機を流用した内容であった。ビル・ゲイツが『笑っていいとも』に出演するなど大規模なプロモーションがなされたが、ユーザーサポートや日本人向けソフトラインナップが不足したことでふるわなかった。
この世代のシェア争いは大方の予想通り、プレイステーション2が圧勝することになった。プレイステーション2は歴代ハードの中でもっとも出荷台数が多いハードとなったが、じつはソフト累計販売本数自体は初代プレイステーションより減少しているそうだ。ゲーム機は買ったもののソフトは買わないというユーザー層が生まれつつあるとして、本書ではこれを現在のゲーム離れの始まりではないかと指摘している。
しかしながら、昔に比べてゲームタイトルが重厚長大なものになったため、ソフトの購入数が減ったという理由も考えられるだろう。いずれにせよ、現代のビデオゲームはテレビ、映画、インターネットといった様々な娯楽と時間を奪い合うことになっているのはたしかである。そしてこの世代の多くのハードがDVDプレイヤーやインターネット接続といったゲーム以外の機能を持っていたことは事実である。
ゲームプラットフォームの多様化
2000年代後半にさしかかると前世代機にあたるXbox 360、プレイステーション3、Wiiの争いがはじまる。本書によればキーワードはインターネットの利用である。確かにそれぞれのハードはインターネットを利用したシステムアップデート、スコアランキング、ダウンロード販売といった機能を取り入れるようになった。もちろんハードごとにサービス内容や品質は様々であったわけだが、本書では詳しく触れられていない。
Xbox 360は2005年12月10日に発売された。メディアとしてDVDを採用するも、プレイステーション3のブルーレイ対応に対抗して、別売りのプレイヤーでHD DVD対応することになった。フルハイビジョン対応、インターネットサービスであるXbox Live、新しいコントローラーであるKinectなどが特徴となる。一方、プレイステーション3は2006年11月11日に発売。ブルーレイ、フルハイビジョン対応、 HDMI接続、リモートプレイなどが特徴であった。CPUはソニー、IBM、東芝が共同開発したCELLを搭載している。
Xbox 360とプレイステーション3が美麗なグラフィックスと高音質なサウンドをアピールする一方、2006年12月2日に発売されたWiiは独特なコントローラーによって家族みんなで楽しめることを強調した。またインターネットサービスであるWiiチャンネルもテレビに似せたUIを採用することで、お茶の間に溶け込むことを狙っている。ハード性能自体はゲームキューブとほぼ同等であり、より小型で省電力化された。小型化はかなり力を入れており、当初はDVDトールケース2枚分の体積を目指していたそうだ。
この世代のシェア争いは結果として国内ではWiiが55%と勝利したが、それぞれに課題を残すことになった。Xbox360は国内のサードパーティをうまく取り入れることができず、 海外ソフト中心のゲーマー向けハードとなった。プレイステーション3は独自の設計を採用したため開発が難しく、ソフトラインナップを集めるのに時間がかかった。Wiiは開発しやすさゆえに初期には多くのサードパーティが集まったが、後半はスペック不足から失速していくことになった。本書ではそれぞれのハードが痛み分けをする結果になったと結論づけている。
最終章は現在進行中のWii U、プレイステーション4、Xbox Oneのシェア争いが描かれる。それぞれの仕様や設計思想は、ここでは割愛させていただく。出荷台数は本書ではWii Uが586万台、プレイステーション4が600万台、Xbox One300万台となっているが、本書の発売時にXbox...
AUTOMATON vs. 小清水史 大阪のピグミースタジオに妖精が集う (後編)
ピグミースタジオに在籍している開発関連のスタッフは何名?ピグミースタジオが求める人材は「モノを創りたい人」?AUTOMATON vs. ピグミースタジオ小清水史氏。後編です。
コンソールで加速する『Minecraft』、『大鷲のトリコ』元スタッフらが作る新スタジオ
先週1週間のインディーゲーム関連ニュースと最前線で奮闘するインディータイトルたちを月曜日に振り返る週間連載、Indie of the Week。梅雨入りを果たすも6月は終わろうとしている第36回目は2014年6月第4週(6月23日から6月29日)。今週は相変わらず快進撃を続ける『Minecraft』のセールスデータと、『大鷲のトリコ』などの元スタッフが設立した新規スタジオFriend & Foeが注目を集めました。