パブリッシャーのHeadupおよびBeep Japanは4月30日、Bleakmillが手がける『INDUSTRIA 2』をリリースした。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)。ゲーム内は日本語表示に対応している。

『INDUSTRIA 2』は、FPSアドベンチャーゲームだ。2021年10月1日にリリースされた『INDUSTRIA』の続編であり、その後の物語が描かれる。一人称視点で探索や戦闘をこなしつつ、『Half-Life』シリーズを思わせるナラティブ重視の設計も特徴だ。荒廃した並行次元を舞台に、クラフトやステルスといった要素も導入されている。

本作をプレイするなかで最も印象的だったのは、“孤独感”が生み出す恐怖だった。高精細に描かれるスチームパンクとSFが融合したビジュアルや、静寂の中に響く機械音、そして未知なる空間を一人進んでいく状況そのものが、孤独感をより際立たせている。一方で、道中で仲間と出会うことで孤立がやわらぎ、わずかな“安心感”が生まれる場面も描かれていた。今回は、そうした舞台づくりとゲームプレイの紹介を通じて、本作の魅力をお伝えしていく。

なお、本稿には前作『INDUSTRIA』の結末に触れる内容が含まれるため、未プレイの方はご注意いただきたい。加えてリリース前にプレイした内容に基づくため、製品版とは一部仕様が異なる可能性がある点には留意されたい。

前作の結末から数年後、ノラはなおも並行次元に取り残される

前作『INDUSTRIA』

まずは前作『INDUSTRIA』のシナリオをおさらいしていこう。1989年、ベルリンの壁崩壊の夜。主人公である科学者「ノラ」は、失踪した同僚「ウォルター」を追い、転送装置を通じて並行次元へと足を踏み入れるが、そこは人工知能「ATLAS」の支配によって荒廃した世界だった。ノラはロボット群との戦いをくぐり抜けながら、その中核へ迫っていく。やがてウォルターと再会するも、彼が肉体を捨て機械と融合し、内側からATLASと戦っていることを知る。さらにノラは元の世界へ戻れないまま、ATLASに支配された世界へ取り残され、物語は幕を閉じたのだった。

それから数年後を描くのが本作『INDUSTRIA 2』だ。並行次元に閉じ込められたノラは、人気のないアパートでひとり生き延びていた。そんなある日、目を覚ますと遠くで銃声が鳴り響き、夜空には照明弾が上がっている。静まり返っていた世界に何かが起きている。そう感じたノラは、状況を確かめるため、ふもとを目指して歩き出すのだった。なおそうした導入部は、冒頭で語られるため前作を未プレイでも問題なくプレイ可能だ。何なら筆者は前作をなまじ知っているがゆえに、「ガチホラー化」した本作に不意打ち的な恐怖を叩きこまれてしまった。

景色は綺麗、でも誰もいない。

こうして本作のプレイが始まったわけだが、まず驚いたのはそのグラフィックだ。本作は廃れた漁村からスタートするのだが、月の光に照らされる岩盤や波打つ海など、そのすべてが鮮明に描かれている。海は思わず引き込まれるような存在感を放ち、闇夜に包まれた漁村はその先に待ち受けるであろう恐怖を強調している。そうした描写は単なる映像美にとどまらず、この世界にひとり取り残された感覚そのものを強めていた。自分以外誰もいない並行次元に閉じ込められたノラの状況が、高精細なビジュアルに加え、風や波の音といった環境音によって立体的に表現されているのだ。思わず息をのみつつ、歩を進める。

古びた建物内部を進んでいくと、血のような液体が壁に飛び散っていたり、怪しげな緑の光が差していたりと、不穏さはますます強まっていく。環境そのものがじわじわ恐怖をあおってくる感じだ。そんな道中、セーブポイントを発見し、ようやくセーブができた。本作はオートセーブに加え、各所に存在する録音テープを使用することで手動セーブも可能。もちろんオートセーブは便利だが、確実にセーブできた手ごたえを感じられる手動セーブが筆者は好きだ。

銃なし、殺人ロボットあり、ツルハシあり

手動セーブに喜びつつ奥へ進むと、鳴き声のようなものと足音が聞こえ、一気に緊張が高まる。先を見ると、二足歩行のロボットらしき物体が、赤い光を放ちつつ闊歩しているではないか。こちらに背を向けて立つ個体にバックアタックでも仕掛けてやりたいが、残念ながら武器がない。どうしたものかと逡巡しているとヒントが表示され、瓶を投げて注意をそらせることが判明する。なるほど、本作にはステルス要素もあるようだ。

敵を誘導しつつ扉を開くと、ようやく最初の武器であるツルハシを入手できた。思いのほか武骨だし、できれば銃が欲しかったが文句は言えまい。ツルハシ片手に探索を続けると、いかにも戦闘が起きそうな区間へ。今度こそバックアタックのチャンスだろう。そう思って敵に近づいたその時、「カランコロン」という音が。足元の空き缶を蹴とばしてしまったのだ。気づいたロボットが光を放ちつつ襲い掛かってくる。ホラーゲームが大の苦手な筆者は半狂乱でツルハシを振り回し、なんとか撃退できた。

撃退して分かったが、この敵自体はそこまで強くないようだ。殴れば相手はひるむため、連続して数発攻撃すればKOできる。ただ、本作にはスタミナゲージが存在し、ダッシュや攻撃で消耗してしまう。今回は事なきを得たが、敵が複数現れた際は、がむしゃらに武器を振り回していたらタコ殴りに遭うだろう。また前作から圧倒的に進化したグラフィックは廃墟の不気味さに全振りされており、常に恐怖を掻き立てられる。

人がいるってありがたい、第一村人発見

そうしてさまよっていると、ロボットに襲われている女性の姿が。声をかけようと思ったのも束の間、こちらに気づいた奴らが標的を変えて向かってきた。必死で応戦したものの、倒しても倒してもどこからか現れるロボットたち。もうダメかと思ったその時、シャッターがわずかに開き、先ほどの女性に助けられた。ここまで一人で孤独と緊張にさらされていただけに、この救助は思わず泣きそうになるほどうれしかった。敵から逃れられた安心感だけでなく、誰かと出会えたことそのものが救いとして感じられたのだ。

会話を通じて彼女の名前が「マリーン」であると判明した。マリーンはノラとウォルターを救出するためにやってきた彼女は現実世界へ戻る手掛かりも握っているようで、1〜2日ほど歩いた先に「FKEノードヴォルド基地」のセンターがあることを教えてくれた。どうやら次の目的地はそこになるようだ。

ピストルもらって意気揚々、でもやっぱり一人はNO

さらにマリーンは、ピストルとバッグを与えてくれた。包帯や武器といったアイテムはこのバッグで管理する仕組みのようだ。保管スロットとアクティブスロットに分かれており、ホルスターを模したアクティブスロットに装備することでプレイ中に使用できる。右上には心拍数が表示されており、なんともワクワク感を高めるUIだ。

準備を整え、マリーンの案内で崖をのぼり、古い缶詰工場を抜けて基地を目指す。工場内は配管や機械設備が入り組んでおり、そこかしこで「火薬」や「布」といった素材を発見できた。本作にはクラフトシステムがあり、弾薬や回復アイテムは自作する必要がある。手間はかかるものの、本作のエリアは全体的に入り組んでいるため、その先で素材を発見できるとすごくうれしい。探索そのものが報酬につながっている感覚がある。

アイテムを嬉々として漁っているうち、最深部へたどり着く。道は黒い有機物のような壁にふさがれていたが、「ペトリコール・モジュレーター」という液体を入手すれば道を開けられるらしい。目的が見えたところで、戦闘が苦手なマリーンにはその場で待ってもらい、ノラ単独でペトリコール探しに向かうことになった。心細すぎるからついてきてほしかったのだが……。

ペトリコール捜索の途中、外へ出る場面もあった。今までとは違って日の光が差し込み、ようやく一息つけた気がする。同時にそれまで無意識に呼吸が浅くなっていたことにも気づかされた。それだけ本作全体には緊張感が張りつめており、筆者も知らず知らずのうちに緊張に飲み込まれていたのだろう。

体液をすするな、怖いから

建物の上階でようやくペトリコール・モジュレーターを見つけた。しかしその瞬間、これまでとは違う素早い動きのユニットが現れた。別ユニットの死体をすすり、ペトリコールを飲み干している。まるでゾンビのようなその敵は「Surgeers」という名前らしく、工場内部を複数うろついている。指がかじかむような緊張のなか、瓶投げで誘導しつつなんとか突破できた。ようやくペトリコール・モジュレーターを手に入れ、一安心だ。

マリーンのもとへ戻り、ふさがれていた扉を開く。その先に広がっていたのは、今度は森のようなエリアだった。閉鎖的な工場とはまた違う、不気味さをまとった空間だ。ここまでも十分怖かったが、この先にはまた別種の脅威が待っていそうな気配もある。再度気を引き締めて、ノラとマリーンは森の奥へ歩みを進めていくのだった。

誰もいない“孤独感”と、誰かがいる“安心感”

以上が『INDUSTRIA 2』の冒頭体験記だ。やはり本作で印象的だったのは、孤独感が生み出す恐怖だろう。無機質で嫌悪感を誘う敵ユニット、だれもいない廃墟や工場に漂うリミナルスペース的な不気味さ、そして並行次元へ一人取り残された状況そのものが、精神的な圧迫を生み出していた。さらにはステルス要素が加わったゲームプレイもそうした緊張感を高めており、グラフィックの向上と相まって、「ガチホラー」としての本作の進化を感じさせる。

孤独感を恐怖として描く空間づくり、恐怖と美しさを併せ持つ並行世界、そしてマリーンとの出会いによって生まれる安心感。そのひとつひとつから、本作が目指す体験の輪郭はしっかり伝わってきて、続きが気になって先に進みたくなる作品であった。ホラーゲームが大の苦手な筆者としては、本作は正直かなり怖い。それでも、恐怖に押しつぶされそうな体験を経てこそ、人との触れ合いに安心する感覚が味わえることがわかった。本作は荒削りな部分が指摘されているが、筆者としては恐怖と安堵を行き来する体験に確かに惹きつけられた。

なお本稿では孤独感による恐怖に着目したが、本作にはほかにも独特の世界観や敵ユニットの造形美など、魅力的な要素が複数存在する。興味を持った方はデモ版を試してみてはいかがだろうか。

『INDUSTRIA 2』はPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)向けに配信中。ゲーム内は日本語表示に対応しており、日本語表示に未対応なデモ版が配信中。

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