武侠“スパイ”アクション『A Whisper of Fall: Jinyiwei』は、常に“見極めながら”の死闘が病みつきになる。試遊で感じた、見切りと苛烈な攻防の美学

『A Whisper of Fall: Jinyiwei』はハイスピードで繰り広げられる駆け引き、そして死闘が癖になる。

Googleでお気に入り登録

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のインディーゲーム支援プログラム「China Hero Project」第3期への選出に先駆け、当時はまだ『代号:錦衣衛』と呼ばれていた本作は、1本のゲームプレイ映像によって一躍その名を轟かせた。明朝末期の諜報戦を描く独自の世界観、そして「時間遡行による推論」と「スピーディな技の応酬」を核としたゲームシステムを引っさげ、『一盞秋声:錦衣衛』(A Whisper of Fall: Jinyiwei)は既存の枠組みにとらわれない独自の道を歩み始めている。

ChinaJoy 2026のPlayStationブースにて、筆者は本作の最新PS5版デモをプレイする機会を得た。あらためて本作が持つ鋭利なアクションの魅力を体感することができた。

なお、開発元である離憂氏のチームは、今回の出展機会に合わせ、短期間でPS5向けビルドを叩き上げたとのこと。それにもかかわらず、プレイ中に最適化不足を感じる場面は一切なく、その開発力には脱帽するばかりだ。

主人公は、明朝末期に生きる「時間遡行」の異能を持った錦衣衛。表向きは朝廷に仕えつつも、その実体は江湖勢力のスパイである。プレイヤーはこの能力を駆使して箱庭風のステージを攻略し、遡行するたびに新たな手がかりを集めていく。これは単なるストーリー演出にとどまらず、過去のプレイで得た知見をもとに新たなショートカットを開放するといった、レベルデザインの核心にも組み込まれている。ただし能力は無限ではなく、遡行のたびに「脳力」を消費するほか、過去から持ち帰れるアイテム数にも制限が存在する。

今回の試遊デモは全5ステップで構成されていた。前半2つはチュートリアルとザコ戦。その後、中ボスの「総旗・李怒」「百戸・曹忠」を撃破し、最後は本デモの最奥で待ち受ける「叛逃千戸・鄧陽」およびその第2形態である「火刀太歳」に挑むこととなる。

「真気」を巡るハイスピードな駆け引き。力押しを許さない攻防のロジック

今回のデモでは、「太初帰玄剣」と「千秋刀法」という2つの流派が用意されており、プレイ中は「L2+□/○ボタン」でシームレスに切り替えることができた。流派ごとに攻撃モーションや絶技が異なり、時間の都合上、今回は主に「太初帰玄剣」を中心にプレイした。

本作の戦闘はハイスピードな「剣戟」を重視した設計となっている。基本アクションは通常攻撃、ガード、回避、パリィ、ジャンプといった直感的な構成で、アクションゲーム経験者であればすんなりと馴染めるはずだ。そこに組み合わせ入力による「スキル攻撃」や「絶技」が加わり、立ち回りの幅が広がっていく。そして、すべての戦闘の根幹をなすのが「真気」システムである。

戦闘におけるあらゆるアクションは、スタミナだけでなく真気の蓄積と消費に密接に関わっている。攻撃をヒットさせると真気が溜まり、スキル発動には真気を消費。真気が最大まで溜まるとド派手な絶技を放てるほか、一定量の真気を消費して体力を回復することも可能だ。

このシステムの存在により、プレイヤーは常に「いかに効率よく敵を追い詰めるか」を思考しながら戦うこととなる。ハイスピードなバトルの最中、ゴリ押しで突破できるほど甘くはない。試遊版の時点でザコ敵すら積極的にガードや連続攻撃を仕掛けてくるため、敵の挙動を見極め、いかに素早く敵の真気を削り切るかが鍵となる。

たとえば「太初帰玄剣」の場合、敵の大技に対してタイミングよく技を合わせることで「技の打ち消し」を狙ったり、攻撃の発生前に割り込んで中断させたりすることができる。さらに背後に回って隙を突けば、敵の真気を大幅に削り取ることが可能だ。一見すると回避と通常攻撃の繰り返しでも戦えなくはないが、戦闘が長引くだけでなく、その後に控えるボス戦で間違いなく手詰まりとなるだろう。

猛攻を凌ぎ切れるか。強敵「鄧陽」との死闘と、癖になるアクションの手触り

大ボスとなる「叛逃千戸・鄧陽」との戦いは2段階に分かれている。第1形態の時点で攻撃力が高く、横薙ぎの攻撃範囲も広大。多彩なコンボに加え、素早い移動からの不意打ちや、炎を纏った刀撃を繰り出してきた。攻撃の予兆自体は比較的見やすいものの、一瞬の油断が命取りとなる。

第2形態の「火刀太歳」に突入すると攻撃欲望がさらに苛烈さを増し、特に遠距離からの衝撃波攻撃が頻繁に飛んでくるようになる。距離を取って安全に隙を待つ立ち回りはむしろ危険となり、プレイヤーのアクション精度が強く試されるバランスとなっていた。この激闘を制した時点で、今回の試遊デモは終了となる。

こうした「ハイスピードな見切りと攻防の応酬」を特長とするアクションシステムは、たしかに既存の幾つかの名作アクションゲームを彷彿とさせる。とりわけ「高所から飛び降りて□ボタンで一撃必殺を叩き込む」アクションなどは、思わずニヤリとしてしまう既視感があった。

しかし、『一盞秋声:錦衣衛』のモーションやコンボの繋がりは非常に鋭く洗練されており、技と技がシームレスに繋がっていくスピード感は、一度波に乗ると病みつきになる中毒性を秘めている。一方で、テンポが早すぎるゆえに一部モーションの繋ぎ目にやや不自然さが残っていたり、攻撃がヒットした際の手触りが少し軽めに感じられる部分もあり、このあたりは今後の調整に期待したいポイントだ。

職人技が光る演出面と、今後への期待

グラフィックや演出面においても高い完成度を見せていた。特にリアルタイムレンダリングによるカットシーンのクオリティは高く、カメラワークの切り替えからキャラクターの演技に至るまで、そのまま映画として鑑賞できるほどの臨場感がある。世界観を表現する空気感の作り込みも見事だ。

また、箱庭スタイルのステージでありながら高低差を活かした立体的な構造が組み込まれており、製品版でこのレベルデザインがどのように展開されるのか非常に楽しみである。

2022年の初公開から着実に磨き上げられてきた『一盞秋声:錦衣衛』。過去の名作へのリスペクトを感じさせつつも、独自の戦闘システムと「時間遡行」という魅力的な物語のギミックを確立しつつある。本作が見せてくれた確かな手応えは、発売を待つゲーマーの期待を裏切らないものとなるはずだ。

『一盞秋声:錦衣衛』は、PS5およびPC(Steam/Epic Gamesストア)向けに発売予定。発売時期の続報を楽しみに待ちたい。

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

Googleでお気に入り登録
Nep333
Nep333

AUTOMATON中国語版編集長。

記事本文: 12