テンセント・ホールディングスとGuillemot BrothersがUbisoftの買収を検討しているようだ。海外メディアBloombergが報じている。
テンセント・ホールディングスは中国・深圳に本拠を置く、大手IT企業だ。『League of Legends』『VALORANT』開発元のRiot Gamesや、『Conan Exiles』のFuncom、『Warframe』のDigital Extremesを抱えるLeyouなどを傘下にもつ。また世界中の数多くのメーカーに出資しており、Epic GamesやActivision Blizzard、Ubisoftなどがその対象となっている。
またGuillemot Brothersは、UbisoftのCEO兼共同創設者であるYves Guillemot氏を含めた、Guillemot家のオーナー企業だ。同社に関しては、テンセントが2022年に株式49.9%と議決権5%を取得しつつ、3億ユーロ(約490億円)の出資をおこなったことなどが発表されていた(関連記事)。
今回Bloombergによって、そんなテンセントとGuillemot BrothersがUbisoftを買収する可能性がある、との報道がなされた。匿名の情報筋からの情報として、テンセントとGuillemot Brothers は、Ubisoftの安定化および価値向上の方法を模索しているといい、その対応策のひとつとして、株式非公開化のための買収が検討されているとのこと。
株式非公開化については、Ubisoftの株を保有するヘッジファンドAJ Investmentsが発表した声明にて言及。Ubisoftの戦略の転換や構造改革を求め、人員の最適化や「選択と集中」に並んで、適正な価格での非公開会社化を要請していた(関連記事)。
こうした要請は、Ubisoftの株価暴落が影響しているものと思われる。Ubisoftの株価は、『スター・ウォーズ 無法者たち』の苦戦や『エックスディファイアント』の伸び悩みなどを理由としてか株価の下落傾向が続いていた。そして9月3日には、10年ぶりとなる15.50ユーロ(約2530円)まで下落(関連記事)。加えて10月に入ってからは11ユーロ(約1800円)付近で推移し、過去10年における最低水準となっていたわけだ。同社の苦境において、戦略的および構造的な変革、そして現状の打開が求められていたかたちだ。
そんな中、現地時間10月4日におこなわれた、今回のBloombergによる報道を受け、Ubisoftの株価はにわかに上昇を始めた。株価は同日午後3時から上昇を始め14ユーロ(約2300円)台に到達。現在も上昇傾向が続いている。
なおテンセントおよびGuillemot Brothers、そしてUbisoftは、本稿執筆時点ではまだ今回の報道についての公式声明を寄せていない。そのため現実に株式の非公開化がおこなわれるかは不明。仮に非公開化がおこなわれるとしても、関係者から実行する時期などについての情報は明かされていない。しかしながら現状打破の動きを予感させる報道を受けてか、投資家たちによる買い注文が集まったのかもしれない。