受託ゲーム開発会社大手のトーセ、“ゲーム開発案件の複数中止”により大幅赤字。下請けゲーム会社も冬の時代

トーセは7月4日、2024年8月期の第3四半期の連結決算を発表した。ゲームソフト関連で複数の案件が中止となったことなどにより、デジタルエンターテイメント事業で大幅な減収となったことが伝えられている。

株式会社トーセは7月4日、2024年8月期の第3四半期の連結決算を発表した。ゲームソフト関連で複数の案件が中止となったことなどにより、デジタルエンターテイメント事業で大幅な減収となったことが伝えられている。

トーセは国内のゲーム会社だ。受託ゲーム会社としては歴史も古く大手ともいえる存在。非公開案件も多いほか、代表的なものでいえば『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズなどの開発にも携わってきた。またバンダイナムコゲームス開発の『SCARLET NEXUS』に開発参加するなど、とにかく数多くの幅広い作品に関わっている。

『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』

今回トーセは、2024年8月期の第3四半期決算を発表した。売上高は32億4300万円で前年同期比27.6%減。営業損益は5億9900万円の赤字、経常損益は5億8000万円の赤字、最終損益は3億6700万円の赤字となった。

大幅な赤字を招いたのは、デジタルエンタテインメント事業における。売上高は29億7800万円で前年同期比29.2%減となっている。この背景として、ゲームソフト関連では顧客の方針転換等により、開発案件の中止が複数件発生したことが伝えられている。一部案件では顧客からの引き合いに基づき、当連結会計年度の期初から制作が進められていたものの、中止により進めていた部分の売上が見込めず大きな損失を招いたとのこと。

またトーセは第2四半期決算短信において、ある案件の開発終盤に顧客とともにゲームの品質向上に取り組むなかで、開発要件の大幅な増加によって作業が急増し開発期間が延びていたことを伝えていた。今回の決算短信では、顧客との交渉の結果、作業増加の一部分を今後のレベニューシェアにより回収したことも報告されている。

なお2023年8月期の後半に立ち上がった複数案件の開発活動が本格化し、売上・利益への貢献は高まっているとのこと。ただ、ゲームソフト関連での売上高は18億77百万円(前年同期比33.6%減)となったそうだ。

こうしたデジタルエンタテインメント事業の売上減少が大きな痛手となり、大幅な減収となったようだ。一方で、家庭用カラオケ楽曲配信事業については安定して高水準な収益を維持しているとのこと。

またトーセは今年4月に発表されていた通期業績予想の修正を実施。前回発表予想では売上高55億2000万円となっていたところを、48億3000万円に下方修正している。2025 年8月期以降も、顧客における事業の方針転換等の影響による、受注や開発進行がこれまでよりも不透明な状況が一部継続することが見込まれているとのこと。プロジェクト管理ルールの強化と徹底に取り組んでおり、現在予定している案件を着実に立ち上げ、業績を回復させていくとしている。

昨今ではゲーム業界はどこも決算で減益減収が報告されている。これを受けてプロジェクトの開発や外注とりやめを進める大手の動きも出てきている。それを裏付けるように受託ゲーム会社大手のトーセがプロジェクトキャンセルや受注に苦しんでいることから、下請けとなるデベロッパーにとっても経済的に苦しい時代がきているようである。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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