『Heroes of the Storm』公式トーナメントでのZeratul使用禁止、パッチ修正に伴い撤回

 

半年のオープンベータテストを経て、今年6月に正式リリースされたBlizzard EntertainmentのMOBA(Multiplayer Online Battle Arena)『Heroes of the Storm』。『Warcraft』『Diablo』『StarCraft』といった同社のシリーズ作品から歴代のヒーローたちが集結したオールスターバトルで、新たなe-Sports競技の一つとしても数々のプロシーンで脚光を浴びている。

そんな中、今年11月のBlizzConで開催予定の『Heroes of the Storm』ワールドチャンピオンシップ前哨戦となるEUオープンを目前に、人気キャラクターの一人「Zeratul」の使用が公式トーナメントで禁止されたことが話題を集めていた。The Daily DotKotakuをはじめ、複数の海外メディアが、活躍中のプロチームが被る影響やBlizzardの決定に対する賛否を報じている。しかし、本日当てられた最新の修正パッチによりルール変更は撤回された。

事の発端は先日、中国深セン市で行われたESL(Electronic Sports League)主催の大会「IEM Shenzhen 2015」決勝戦、韓国のプロチームMVP BlackとロシアのVirtus.proの試合。MVP Blackの選手が「Zeratul」のアビリティー「Shadow Assault」を使用した際に事件は起きた。「Shadow Assault」は本来、射程内のターゲットを一定時間追尾しながら連撃を加えるというアビリティーだが、攻撃がヒットする前にターゲットを変更することで通常ではあり得ないスピードでマップを移動できるという不具合があったのだ。

バグを利用した裏ワザとしてこのテクニックを故意に活用したのかは定かではないが、結果MVP Blackは圧倒的な差をつけ勝利を収めた。問題のシーンは動画の13分31秒、19分55秒、21分33秒で顕著に確認できる。この「Shadow Assault」バグはたちまちフォーラムサイトRedditでも議論の的になり、Twitchでの大会実況で有名なThomas “Khaldor” Kilian氏も自身のチャンネルで賛否についての見解を述べている。事態を深刻にとらえたBlizzardは、ワールドチャンピオンシップ出場権を決めるEUオープンの初日を数時間後に控える中、突如ルールの変更を決定。『StarCraft』のダークテンプラー「Zeratul」は公式にBANされた。

ユーザーによる「Shadow Assault」バグのデモンストレーション

公式トーナメントでの「Zeratul」使用禁止という直前のルール変更は、欧州リーグで現在トップの座に君臨する優勝候補、Team Liquidをはじめ、同キャラクターの強みを前面に出した強気の戦術で活躍するプロゲーマーたちに大きな懸念を抱かせていた。しかし本日、Blizzardは「Shadow Assault」バグを含めた複数の不具合を修正する最新パッチを配布。その後、Kotakuの問い合わせに対して、「Zeratul」の使用禁止はあくまで一時的な処置であり、以降の試合では再び使用を認めると説明。渦中のルール変更は事実上撤回された。多くの懸念が渦巻いた「Zeratul」の使用禁止はEUオープン初日のみに留まった。