『アークナイツ:エンドフィールド』新実装のあの豪華演出ボスはどういう考えのもと作られたか、開発者明かす。ボス戦も4人編成戦略考案も今後さらに頑張りたい

『アークナイツ:エンドフィールド』の新たなボス「ネファリス」がどのように制作されたかについてのインタビューを公開した。

メディアIGNは4月24日、HypergryphおよびGRYPHLINEが運営中の『アークナイツ:エンドフィールド』の新たなボス「ネファリス」がどのように制作されたかについてのインタビューを公開した。

『アークナイツ:エンドフィールド』は、『アークナイツ』を手がけるHypergryphの新作ゲームである。『アークナイツ』が2Dタワーディフェンスゲームであったの対し、本作は3Dリアルタイム戦略RPGとなっており、ゲームとしてはがらりと姿を変えた。舞台となるのは巨大ガス惑星タロスの衛星「タロII」。プレイヤーは高い技術力を持つエンドフィールド工業の伝説的存在「管理人」として、この星を巡るさまざまな脅威や陰謀に立ち向かうことになる。

なお、以下の部分にはバージョン「春の暁、訪れし時」のメインストーリーのネタバレを含んでいる。まだクリアしていない方は注意されたい。

ネファリスは、プレイヤーが最初に訪れることになるエリア「四号谷地」で出会う敵の首魁である。プレイヤーは仲間たちとの協力のもとネファリスの思惑を辛くも阻止するものの、当の本人を取り逃してしまう。その後に訪れることになるエリア「武陵」にて、プレイヤーは再びネファリスと相まみえ、ネファリス自身との決戦を迎えることになる。ネファリスは物語上で非常に重要な敵キャラクターとして描写されており、その演出にあたってはさまざまな工夫が凝らされているようだ。

このたびは、IGNがHypergryphの開発チームであるレベルデザイナーのRUA氏にインタビューを実施した。関係者各位から許諾を得て、そんなネファリスのデザインに関するインタビューの日本語版をお届けする。

――さて、ネファリス戦を終えたところで、このボス戦が『アークナイツ:エンドフィールド』のボスデザインへのアプローチ全体とどのようにつながっているのか、それから戦闘がどのように進化し続けているのかを掘り下げていきたいと思います。

本作のプレイヤーは過去にネファリスと遭遇したことがあるものの、戦ったことはありません。今回のボス戦が初めてのバトルということになり、ストーリー的にもゲームプレイ的にも大きな意味を持ちます。そのため新しい仕様も取り入れたとのことですが、プレイヤーにどのような体験を提供したかったのか、少しお話いただけるでしょうか。

RUA氏:
もちろんです。プレイヤーはネファリスと対峙したことがありますが、直接戦うのは今回が初めてです。物語としてはひとつのクライマックスになります。我々はそれを2つの観点から検討しました。1つはストーリー上のネファリスの描写、もう1つは戦闘の仕組みやゲームプレイでの表現です。

まずストーリーの観点からですが、ネファリスは物語のクライマックスを担う存在であるため、ボス戦全体を通して壮大さや叙事詩的な雰囲気を演出したいと考えました。そこでネファリスにはいくつもの象徴的なスキルを持たせることにしました。たとえば、彼女は“心像空間”と呼ばれる時間を止める能力を持っています。

最初に作られたのは、この能力を使ってネファリスが奇襲攻撃を仕掛けてくるスキルでした。プレイヤーは限られたフレーム内で素早く回避しなければなりません。他にもいくつかのスキルが作られており、スキルの妨害に失敗した場合に時間を止め、巨大な剣をプレイヤーの身体に突き刺し、それから宙に放り投げるといったものもあります。とても印象的な演出だと考えており、我々もそのスキルを本当に気に入っています。

そして物語のクライマックスのためのスキルとして、味方全員の動きが止められてしまうスキルも作りました。プレイヤーは味方を1人ずつ救出しなければなりません。このスキル全体を通じて強い緊張感が漂い、ネファリス戦の最高潮に相応しいものになったと感じています。

そしてゲームプレイの仕組みについてですが、まず最初に我々はネファリスを他のボスとは一線を画す存在にしたいと思っていました。ただネファリスに近づき、攻撃し続けるだけで勝てるようなバトルにはしたくなかったんですね。そこで最初はネファリスが高い場所にいて、何度もジャンプを繰り返してようやく攻撃できるという案を考えました。しかし実際に作ってテストプレイしてみると、全体的な体験としてはかなりテンポが悪く、おもしろくありませんでした。

そこで改めてアイデア出しをおこない、まったく新しい案にたどり着きました。そもそもネファリスと戦うことになる場所は、ストーリー上でもう1人のメインキャラクターと言えるゾアン・ファンイと密接に関わっています。戦場全体がネファリスを招くための罠なのです。

ですからゾアン・ファンイの助けで高くジャンプする能力を使えるようにし、それから急降下攻撃することによってボスの攻撃を妨害してはどうかと考えたのです。このアイデアはとてもシンプルなものに思えますが、実際に試してみたところかなり爽快で満足のいくものになったと感じています。

――たくさんの新しいことをしているのはわかりました。が、もっとも重要だと思われる変身能力についてはまだ触れていませんね。戦闘の途中でネファリスは第二形態へと姿を変えます。その際の学習曲線や、プレイヤーにどのように対処してほしいと考えていたか教えていただけますか?

RUA氏:
ボス戦の仕組みが優れていると判断されるには、おそらく2つの点を満たさなければなりません。1つ目は仕組みが直感的で理解しやすいということです。我々はプレイヤーがボス戦をプレイする前にいくつもの複雑なルールを学び、覚えておかなければならない状況を避けたいと考えています。

2つ目は非常に重要なことで、ボス戦の仕組みが単純なものから段階的に複雑なものへと変化していくべきだと考えています。例えば、先ほど紹介した大ジャンプと急降下攻撃では、まずバトルを開始してすぐに必ずその操作をしなければならないようにしました。次に、ボスが似たスキルを使ってくる時には、スキルを妨害可能な時間であることを示す赤い円を表示して、プレイヤーの判断で大ジャンプしてスキルを妨害するように仕向けました。

第二形態ではもう少し難度を上げていきます。例を上げると、第二形態ではネファリスは咆哮でプレイヤーを押し出すようになるため、近づくのが難しくなります。それから第二形態でネファリスは空を飛び、何度も前後に往復してブレス攻撃を仕掛けてきます。この段階でもプレイヤーは大ジャンプからの急降下攻撃で妨害してネファリスをダウンさせることが可能ですが、それまでよりもタイミングが難しく、先読みも必要になります。

こうして戦闘の仕組みを作った後は、何度もテストを繰り返してゲーム体験を最適化していきました。たとえば第二形態のブレス攻撃で前後に往復すると言いましたが、最初は一度だけブレス攻撃をしてすぐに終了していました。ところが、ブレス攻撃が1度だけだと、多くのプレイヤーが妨害のタイミングを逃してしまうことがわかりました。そこでブレス攻撃を往復して何度もおこなうことにしたのです。これはネファリスの攻撃から感じる迫力を増すこともでき、プレイヤーが妨害するチャンスを増やすことにもつながりました。

このようにしてボス戦全体のデザインの体験を洗練させていったのです。

――なるほど。ではネファリス以外についても教えていただけるでしょうか。開発チームは全体としてボス戦をどのように考え、プレイヤー体験はどうあるべきと考えているのか、教えてください。

RUA氏:
我々はさまざまなボス戦のそれぞれで、プレイヤーに完全にユニークで多様な体験をお届けしたいと心から願っています。実際のデザインについての考え方は、大きく3つの側面から成り立っています。

まず1つ目はプレイヤーからは見落とされがちですが、非常に重要である“外見”です。ボスが大きいのか小さいのか、人型かモンスター系か機械系かという外見の要素は、本当に重要です。なぜなら、外見はプレイヤーとボスがどのように接することになるかに大きく影響してきます。

たとえばプロローグに登場するボスですが、非常に大きいためプレイヤーとボスが接する部位は限られています。一方、ボスが非常に小さい場合を考えてみましょう。その場合はプレイヤーの操作するキャラクターたちに埋もれないようにしたり、動きがわかりにくくなったりしないような工夫が必要となります。そういうわけで外見は最初から考慮すべき重要な要素のひとつです。

2つ目に重要だと考えているのは、ストーリーにおけるボスの本質的な“表現”です。これはボスの動き、視覚効果、音響デザインなど、多くの側面を含んでいます。当たり前のことですが、なんだかダサいボスと戦いたいと思うプレイヤーはいないでしょう。そのため、すべてのボスのデザインではストーリー上の描写や能力について、何が真の魅力たりうるかを常に追求しなければなりません。

以前、白亜アンゲロミラというボスがいました。これは四肢のすべてを多様な武器に変化させるという非常にユニークな能力を持っています。そこで戦闘アニメーションや視覚効果では、さまざまなスキルや動きでいろいろな武器を使用して攻撃してくる点を強調することにしました。

別の例としてはネファリスの時間停止能力が挙げられるでしょう。我々はこの能力と強く結びついたスキルや視覚効果をデザインしました。こうした作業はボスのユニークさを際立たせ、プレイヤーに壮大な感覚を味わってもらうことを狙っています。

それからようやく3つ目の側面、つまりゲームとしての“メカニクス”のレベルにたどり着くことができます。これはボスの動きや演出からプレイヤーが十分な挑戦心を見出すことができるかどうか、そしてそれがおもしろいかどうかを決定づけます。

この問題に取り組むために我々は頭をひねり、過去にプレイした多くのゲームから良い点を見つけ出して、ボス戦にうまく取り入れようとしています。たとえば、以前登場したボスのルアン・イーでは、プレイヤーはフィールドを駆け回ってエネルギー源を使う必要がありました。このメカニクスは、ボス戦をデザインする過程でもっともおもしろい部分と言えます。

――ボス戦はプレイヤーに大きな興奮をもたらすものでなければならない一方で、同時に仕組みとしても独自性が必要ということでした。そうした演出面やゲームの仕組みについて、やりすぎにならないようにするためにバランスをどのように取っているのでしょうか?

RUA氏:
実は開発の初期段階ではミスをしたと感じています。初期のプレイテスト版では非常に強力なメカニズムを持つボスを作ろうとしたんです。ところが、見た目や全体の演出面で見るとやや物足りなかったことは否めません。開発チームはネファリス戦にかなりの自信を持っていたんですが、プレイヤーにテストしてもらったところ、反応は芳しくありませんでした。

たとえば「面白そうだったし楽しめる要素もあったものの、全体としてはパズルゲームをやらされている感じがした」といった意見もありましたし、「ストーリーの流れからして壮大なスペクタクルを期待していたのに、物語のクライマックスとしては正直物足りないものだった」という意見もありました。

ですから、その後の開発では戦略を見直すことになりました。現在は、ボス戦のデザインに当たってまず見た目、そして核となる演出や全体として他と比べて優れている点がどこにあるか明確にすることを最優先事項としています。我々にとって楽しい仕組みの部分は、パフェに乗っかっているサクランボのようなオマケというわけです。

ネファリスの戦闘全体を例にとるなら、我々の労力の60〜70%は演出面に費やしたと思います。実際のゲームプレイ部分にはおそらく30%程度の労力しか費やさないように努めました。これくらいの比率が比較的良いバランスなのではないかと思いますね。

――ところで『アークナイツ:エンドフィールド』は4人編成で、プレイヤーもすっかりそれに慣れていますが、この構成が適切であるとどのようにしてたどり着いたのでしょうか。なぜ4人編成となったのか、その上で戦闘についての今後の戦略や展望についてお聞かせ願えますか?

RUA氏:
実は本作の開発にはかなり長い時間を要しました。というのも、我々がまず最初に取り組んだのは、サンドボックス型の自由探索と工場自動化要素という2つだったからです。そうした環境ではターン制のゲームや、グリッドを使った戦略ゲームを想像するのは難しいんです。

それでもリアルタイムの戦闘で前作『アークナイツ』のような戦略的な感覚は維持したいと考えました。何度もテストを重ね、試行錯誤の末にようやく独自のジャンルを確立できました。それがこのゲームのもっとも重要な部分でもある“4人編成”のシステムでした。

この4人編成はゲームデザイン上の3つの意味を持ちます。
まず1つ目は、画面に4人のキャラクターを同時に存在させること。これによりプレイヤーはいろいろな行動や戦闘を通じて、仲間と一緒にいる感覚を味わえます。仲間も一緒に戦っている姿が見えることで、視覚的なインパクトが強まるんです。

また、4人が同時に登場しているので、頻繁にキャラクターを切り替える必要もありません。ただ仲間にスキルを使うよう命じれば良いのですから。戦闘全体のテンポが良くなり、スムーズに感じられるでしょう。

2つ目のポイントは我々が「リソースの循環と変換」と呼んでいるものです。本作の戦闘システムには物理とアーツという2種類の仕組みが存在します。どのキャラクターも一定量のリソースを生み出すことができるんです。

そうしたリソースを消費することもできます。たとえば、クラッシュやアーツ付着といったものは一種のリソースです。このリソースシステムにより、チーム編成の柔軟性は大幅に向上します。この柔軟性こそが戦闘に入るよりも前の、チーム編成の戦略性にとってもっとも重要だと考えています。

3つ目のポイントはSPの共有です。どのキャラクターも戦技を使うためにSPを必要としますが、それが共有されているために、戦闘中にはいつSPを使うのか、どのキャラクターで使うのかといった判断を常に要求されることになります。静的になりがちな戦闘にリアルタイムな意思決定の必要性が生じたことで、より緊迫感と戦略性が生まれました。

これら3つすべてが、本作のゲームプレイをより戦略的なものにする戦闘設計につながっています。例えば本作で高難度のコンテンツの1つとなっている「映像の記念碑」では、特定のタイミングでSPの回復速度が非常に遅くなったり、まったく回復しなくなったりします。このような状況でプレイヤーは、SPの回復に優れた先鋒のオペレーターを増やすか、あらかじめ十分なSPを温存しておくなどの対策を講じなければならないでしょう。

編成によっては素早くダメージを与えられるもののクールダウンが必要となる場合もあり、序盤にはダメージが出しにくいものの時間が経つにつれて安定して高いダメージを出せるようになっていく場合もあります。こうしたさまざまな編成が、ゲーム全体に戦略性とおもしろさをもたらしてくれると期待しています。そんな現在の戦闘システムは本作に非常に適していると考えており、同時に今後の拡張性も大きいと感じています。

――ネファリスは多くのプレイヤーが待ち望んでいたボス戦でした。彼女とのバトルがプレイヤーの目標にもなっていました。そんなネファリスを起点とすると、彼女との戦いは今後の『アークナイツ:エンドフィールド』の未来について何を教えてくれるのでしょうか。また、プレイヤーの皆さんにこの戦いから何を学び、今後どのようにプレイしてほしいと考えていますか?

RUA氏:
まず、市場には即時的なフィードバックと爽快感を重視した作品、いわゆるアクションRPGが数多く存在しています。現在本作の戦闘にはリアルタイム要素が多いですが、今後の方針としては戦略的な面ももっと考慮しなければならないと考えています。今後もネファリス戦のように、プレイヤーに優れた演出と、魅力的なゲームプレイの双方を提供していきたいですね。

ところで、実はネファリス戦では1つだけ少し後悔していることがあります。もともとはネファリスが人間形態から竜形態へと変身する際に、プレイヤーが動くことのできるカットシーンを入れるつもりでした。しかしスケジュールの都合上、そのシーンを入れることができませんでした。今後のボス戦では、そういった変化のシーンを実現できればと思っています。

また、4人編成についてもまだまだ拡張の余地があると考えています。
例えば大規模なバトルにおいては、味方が代わりにモンスターを攻撃するだけでなく、『ドラゴンズドグマ2』のように、プレイヤーがスムーズにボスへ到達できるようサポートする仕組みがあるとよいでしょう。 そういったことができれば今よりももっと優位に立つ感覚や迫力を演出できるでしょう。ネファリスについて言えば、今回我々は特別な大ジャンプを実装しましたよね。この仕組みは今後の探索にも活かせる可能性があるのではと考えています。

プレイヤーの皆さんには、本作はリアルタイムでペースの早いアクションRPGというだけでなく、より戦略的でおもしろいメカニズムも持つのだと気づいていただければ幸いです。今後もよりおもしろいコンテンツをお届けしていきますので、ぜひご期待ください。

――ありがとうございました。

インタビューの内容は以上となる。インタビューはもともと動画であり、詳細は以下の元動画から確認いただければ幸いだ。

『アークナイツ:エンドフィールド』はPC(公式サイト/Epic Gamesストア)/PS5/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。

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Naoto Morooka
Naoto Morooka

1000時間まではチュートリアルと言われるようなゲームが大好物。言語学や神話も好きで、ゲームに独自の言語や神話が出てくると小躍りします。

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