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「ゲームのほどよい不確実さ」でサルの好奇心を引き出す京大の研究報告。“ちょっと予測できる”からつい遊んじゃう可能性
簡単なゲームを使ってニホンザルの好奇心を引き出す刺激について分析する、京都大学の研究報告がオンラインに掲載された。

京都大学の白眉センター/ヒト行動進化研究所の特定助教、壹岐朔巳氏らによる研究グループは、タッチパネル上の簡単なゲームを使ってニホンザルの好奇心を引き出す刺激について分析した。研究成果は、2026年4月18日に、国際学術誌「iScience」にオンライン掲載されている。
使用されたゲームは、タッチパネル上のボタンを押すと画面のどこかにキャラクターが現れるというシンプルなものだ。実験では3種類のボタンが用意された。1つは「低ノイズボタン」で、押すと毎回同じ場所にキャラクターが現れる。2つ目は「中ノイズボタン」だ。これはある程度予測はできるものの、キャラクターの出現位置が不確実なボタンだ。3つ目の「高ノイズボタン」は、押すと完全にランダムな位置にキャラクターが現れる。
研究グループは、これら3つのボタンを2つに分けて画面に表示した。つまり、「低ノイズボタン」と「中ノイズボタン」を同時に表示するセッションと、「高ノイズボタン」と「中ノイズボタン」を同時に表示するセッションを分けたのだ。さらに比較として、これらキャラクターが現れるセッションを「出現条件」として、ボタンを押しても音だけが鳴ってキャラクターは現れない「不出現条件」も検証した。なお、サルが自発的に遊ぶか調べるために実験は無報酬で行われた。一般的な餌ありの実験とは異なり、参加した11頭のニホンザルは全員が“ボランティア”である。

結果として、サルは“ほどよく予測できる”中程度の不確実性を持つボタンを選びやすい傾向を示したという。ボタンを押すとキャラクターが現れる場合に「中ノイズボタン」を押す確率が有意に高かったのだ。研究グループは、「サルが単純すぎる刺激やランダムすぎる刺激よりも、“ほどよい不確実さ”の刺激を能動的に探索する認知的傾向をもつことを示している」と結論付けている。
一方で研究では留意点として、「中ノイズボタンを選びやすいという傾向は、統計的に有意であるものの、毎回必ずそのボタンを選ぶほど強いものではない」ということが言及されている。しかし研究チームは、ビデオゲームが単なる娯楽にとどまらず、認知機能のトレーニングや動物の生活の質(QOL)の向上、さらには動物福祉への貢献も期待されるとしている。
ある程度予想は可能ながらも完全な予測はできない「ほどよい不確実さ」は、多くのゲームにおいてプレイヤーを惹きつける要素でもある(関連記事)。ふとダンジョンの脇道に宝箱がないか期待してメインストーリーそっちのけで探索した経験や、「この選択肢を選ぶとどうなるか」と試さずにいられない感覚はゲーマーにも馴染み深いだろう。今回の研究は、そうした甘い秘密の魅力にサルもまた惹かれる可能性を示した点で興味深い。
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