米任天堂、「値上げ」を巡って集団訴訟を提起される。“トランプ関税に基づく値上げ分は消費者に返還すべき”との主張

任天堂の米国法人Nintendo of Americaを相手取る集団訴訟が現地時間4月21日に提起されたことが明らかとなった。

任天堂の米国法人Nintendo of America(以下、米任天堂)を相手取る集団訴訟が現地時間4月21日に提起されたことが明らかとなった。

今回の訴訟は、米任天堂が2025年におこなった一部製品の値上げを巡るものだ。カリフォルニア州在住のGregory Hoffert氏とワシントン州在住のPrashant Sharan氏の2人が原告となり、2025年2月から2026年2月までに任天堂製品を購入したすべての米国居住者を含むクラスの代表原告として訴えを起こしている。

米国においては昨年4月、ドナルド・トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき「相互関税」の導入を発表。これは米国が各国から輸入する商品に10%の基本関税を課し、さらに相手国の関税率や非関税障壁などに応じて、国・地域別に税率を上乗せするものであった。

そして米任天堂は同月に、市場の状況の変化があったとして、当時発売前であったNintendo Switch 2の一部周辺機器について、当初告知していた価格から値上げすることを発表していた(関連記事)。また米任天堂はその後8月に、こちらも相互関税などが原因とは明言されていないものの、Nintendo Switch・Nintendo Switch(有機ELモデル)・Nintendo Switch Liteおよび一部周辺機器などの値上げを実施していた(関連記事)。

一方で今年2月になって、米国連邦最高裁判所は相互関税などのIEEPAに基づく関税措置、いわゆるトランプ関税について、議会の承認を得ておらず大統領の権限を超えているとして違法判決を下した。これを受けて4月20日から米国税関当局はトランプ関税の還付申請の受け付けを開始。仮に全額が還付されるとすれば、総額1660億ドル(約26兆円)超が33万社に返還される見込みだという(日経)。

そうしたなかで提起されたのが今回の米任天堂を相手取る訴訟だ(資料pdf)。原告側はIEEPAに基づく包括的な関税措置によって米国で販売される輸入品のコストが劇的に増加したと説明。米任天堂を含め、米国で輸入品を扱う販売業者は関税コストを相殺するために、商品の価格の引き上げによって対応したと主張している。結果として消費者は、IEEPAに基づく関税措置の経済的負担を反映した、より高額な小売価格を支払うことになったとした。

しかし先述したようにIEEPAに基づく関税措置は米連邦最高裁によって違法判決が下され、米任天堂も還付を受ける見込み(関連記事)。これを受けて原告側は“値上げによって関税コストを消費者に負担させることで生じた棚ぼた的利益(windfall profits)”を米任天堂が保持していると主張。また米任天堂が“関税を理由とした値上げ”をおこなう一方で、関税還付を求める意図を開示せず、還付金も保持しようとしていると主張し、ワシントン州消費者保護法に違反しているとも訴えている。そうした点から利益の返還や、原告に生じた実損害の賠償に加え、合理的な弁護士費用を含む訴訟費用の回復などを求めた。

なお先述したとおり、米任天堂が2025年に実施した一部製品の値上げにおいては、理由について「市場の状況」と説明されていたのみであり、トランプ関税が原因であったとは明言されてこなかった点には留意したい。ちなみに米国では米任天堂のほかにもコストコなど、他社においても同様の集団訴訟が発生している状況があるようだ(Reuters)。原告側は値上げについて“関税コストの相殺”を目的にしていたと主張しており、裁判所がどのような判断を下すのか、訴訟の行方が注目される。

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Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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