『Call of Duty: Vanguard』のチーター、チートをしていない証拠映像を出してチートがバレる。非公式大会で


Call of Duty: Vanguard』(以下、CoD: Vanguard)にておこなわれた非公式大会において、チートの嫌疑をかけられた選手が、思わぬ形で自らそれを証明してしまう一幕があった。当該選手はもちろん競技シーンから追放されたものの、2020年後半からの活動で、累計で約4千ドル(およそ48万円)もの賞金を獲得していたとみられる。海外メディアPCGamerなどが伝えている。

Activisionは昨年11月より『Call of Duty』シリーズに向けて、チート対策システム「RICOCHET Anti-Cheat」を導入している。同システムは、PCのカーネルレベルドライバを利用してのチート検出のほか、サーバー側での監視強化など、包括的かつ強力にチートを抑制する仕組みとなっている。RICOCHETは『CoD: Vanguard』を皮切りに、基本プレイ無料のバトロワ作品『Call of Duty: Warzone Pacific』でも現在稼働しており、一定の成果を上げていることも発表されていた(関連記事)。
 

 
にもかかわらず、先日おこなわれた『CoD: Vanguard』における非公式大会にて、チートツール利用の嫌疑をかけられた参加者が、自身のチート行為をあまりにも明確に証明してしまう一幕があった。問題が起きたのは、Checkmate Gamingが主催する2v2 サーチ&デストロイの非公式大会だ。同大会にて、ストリーマーのKenji氏のチームに敗北したImSasukee氏とiLuhvly氏。彼らはKenji氏のゲームプレイを不審に思い、主催者であるCheckmate Gamingに試合の精査を要求した。検証を待つなか、同氏と自分たちのプレイ画面を見比べるうちに、彼に対する疑念はさらに強まっていったようだ。検証の結果、なんとCheckmate Gamingはチート行為の決定的な証拠を発見し、ImSasukee氏らに報告した。

Kenji氏の不正を暴く決め手となったのは、皮肉にも自身の潔白を証明するためにおこなっていたWebカメラによるストリーミング放送であった。先に映像を確認したiLuhvly氏は「彼は“ボックス”を使ってたんだ!」と興奮気味に報告。混乱気味のImSasukee氏もそれにつづいて、Checkmate Gamingから送られてきたクリップ動画を確認したところ、そこにはたしかに“ボックス”を使うKenji氏の様子が収められていたのである。実際の様子は、ImSasukee氏がツイートしたクリップ動画からも確認できる(Kenji氏自身の配信映像および配信チャンネルは削除済み)。
 

 
問題となったチートはウォールハックと呼ばれる、壁の向こうの対戦相手を検出するもの。単なる索敵だけでなく、相手がこちらに飛び出してくるタイミングまで把握できるため、対戦FPSにおいてはシンプルかつ非常に凶悪なチートとなりうるものだ。映像においてKenji氏は、ボックス(白い長方形の線)で相手の位置を確認するチートツールを使用していたものと思われる。不正の様子を堂々と配信していたのは、配信時に映してはいけないという危機意識が薄れるほど、チートツールの使用が常態化していたからかもしれない。ちなみに、クリップ映像の最後には、ウォールハックをもってしても、彼が相手に撃ち負けている様子が収められていた。

Webカメラが映し出した、あからさまなチート行為の証明。当然ながら、Checkmate Gamingは主催大会からのKenji氏の追放を決定した。PCGamerが伝えるところによると、彼はCheckmate Gaming主催の過去大会にも出場しており、すべての試合において不正行為がおこなわれていたのかは定かではないものの、2020年後半からの累計で約4千ドルもの賞金を獲得していた模様。

また、Kenji氏への処罰はそれだけにとどまらない。彼が出場していた大学リーグであるCollege CoD Reagueも、Kenji氏の永久的な追放を公式Discordサーバー上で発表している。あわせて、彼のチームメイトであったグランドキャニオン大学を代表する4人の選手についても、今年の残りのシーズンおよび来年のシーズン初めのリーグから失格とすることが発表されている。
 

https://twitter.com/RomeDMV/status/1508830923218776068

 
『Call of Duty』シリーズだけでなく、対戦FPSゲーム全体を悩ませ続けるチート問題。RICOCHETアンチチートのように、ゲーム側が強力なチート対策システムを打ち出したとしても、チートツール開発者はあらゆる手段でそれを突破する方法を探り当て、いたちごっことなってしまうようだ。結果的に、今回のように、大会でチートツールを用いて賞金を獲得するようなプレイヤーさえ存在する。それでも、『CoD』におけるチート対策においては、チートツール利用者の攻撃が弱体化される「ダメージシールド」など、さまざまな独自の取り組みがおこなわれており、一定の成果をあげている。また、『Call of Duty: Warzone』については、同シリーズ新作と共に新エンジンへ刷新されることも明らかにされている(関連記事)。チートツール撲滅に向けた、RICOCHETの今後の進化に強く期待したい。