ゲーム会社Team17のNFT販売プロジェクトが、発表からわずか2日で中止。提携開発者からも批判され四面楚歌撤回

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パブリッシャーのTeam17は2月2日、先日発表していたNFT販売プロジェクト「Meta Worms」を中止すると発表した。同社スタッフや開発パートナー、そして同社のゲームコミュニティからの懸念を受けた措置とのこと。

Team17は、ターン制戦略アクションゲーム『Worms』シリーズなどで知られるイギリスのデベロッパーであり、他社のインディーゲームの販売も数多く手がけるパブリッシャーだ。同社は今年1月31日、ゲーム向けNFTプラットフォームを手がけるReality Gaming Groupと提携し、『Worms』をテーマにしたNFTアイテムを販売する「Meta Worms」を発表。キャラクターであるワームのさまざまなアートワークを、個数限定で提供するとしていた。
 

 
NFT(Non-Fungible Token・非代替性トークン)とは、通常は容易にコピー可能なデジタルデータに、ブロックチェーン技術を用いて所有権の証明を発行し唯一性をもたせる技術のことであり、新たな価値をもたらすことができると近年一部で注目されている。

「Meta Worms」の発表を受けて、まず反応したのはゲームコミュニティだった。端的にいうと、大きな批判が巻き起こった。批判のひとつとしては、ブロックチェーン取引における電力使用が環境負荷に繋がっているとの懸念が挙げられる。この点についてTeam17は、10万人が今回のNFTアイテムを購入した場合のエネルギー量は、ヤカンで湯を沸かした場合に換算すると、年間平均使用量にして11世帯分でしかないと強調。実際の環境への影響はともかく、ブロックチェーン技術が採用するプロトコルなどによって、1取引あたりの電力使用量は抑えられつつあるようだ。

このほか、現在過熱気味にあるNFT取引には、投機的であるとかピラミッドスキーム的であるといった指摘もある。そうした状況・構造を利用して、パブリッシャーが安易にお金を稼ごうとしているという見方が、批判に繋がっている側面もある模様。またNFTを発行したとしても、アイテム自体は容易にコピーできることに変わりはなく、価値の分かりにくさも背景のひとつにあるようだ。
 

 
今回の発表に対して続いて反応したのは、パブリッシャーであるTeam17に作品を預けているデベロッパーたちだ。ダンジョン探索アクション『Going Under』を手がけたAggro Crabはもっとも手厳しく、「Meta Worms」プロジェクトを批判するだけでなく、計画が撤回されない限り、将来のタイトルにおいてTeam17と一緒に仕事をすることはないと突き放した。ほかのスタジオにも同調するよう勧めている。
 

 
さらに、料理アクション『オーバークック』のGhost Town Gamesや、アクションアドベンチャー『Yooka-Laylee(ユーカレイリー)』のPlaytonic Games、引越しアクション『Moving Out』のSMG Studio、都市建設シム『Before We Leave』のBalancing Monkey Gamesも声明を発表。いずれのスタジオもNFTには興味がないとし、手がけたゲームをTeam17が販売しているからといって、「Meta Worms」をサポートしているわけではないと距離を置くコメントをしている。
 

 
またいくつかのスタジオは、不満を伝えるにしても、Team17のスタッフに対しては敬意をもって接してほしいとも呼びかけていた。海外メディアEurogamerによると、「Meta Worms」が発表されるまでその存在を知らなかったと、Team17の複数のスタッフが証言したという。また、知らされた際に反対の意を伝えたが、受け入れられなかったとする証言もある。すなわち、Team17の上層部だけの判断で進められたプロジェクトであり、関与が薄いとみられるコミュニティと接するレベルのスタッフを責めるのは間違いだという意見だ。

このようにコミュニティとデベロッパー、そして自らのスタッフからの反発を受けて、Team17は「Meta Worms」プロジェクトを中止すると発表した。また同プロジェクトに限らず、NFT関連とは今後距離を置く決断もおこなったことを明らかにしている。
 

 
まさに四面楚歌状態となった末の撤退表明である。そのままプロジェクトを実行に移した場合、パブリッシャーとして、またデベロッパーとしてもサポートを得られず、苦境に立たされる可能性が高いと判断したのだろう。発表からわずか2日で撤退する結果となった。

ちなみに、GDC(Game Developers Conference)が2700人以上のゲーム開発者に対して今年おこなったアンケートによると、NFTに興味がないと回答したのは実に70%にのぼったという。この調査結果が海外で報じられた際には、「開発者はNFTに反対だろうが、パブリッシャーに聞けば結果は異なるだろう」といった意見が多くみられた(Eurogamer)。今回のTeam17の一件は、結果的に計画は撤回されたものの、まさにそうした予想が的中したかたちといえそうだ。
 

 
ゲーム業界においては、今回のようにコミュニティなどからの批判を受けて、NFTプロジェクトを撤回する動きがいくつかみられる。たとえばサバイバル・ホラーFPS『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chernobyl』を手がけるGSC Game Worldは、同作のNPCになれる権利をNFTとして販売すると発表したが、わずか1日で中止(関連記事)。また、『The Last of Us』のジョエル役などで知られる著名声優Troy Baker氏は、声をNFT化するVoiceVerseNFTとの提携を進めていたものの、こちらもファンからの批判や懸念を受けて撤回した。

一方で、ユービーアイソフトは独自のNFTプラットフォーム「Ubisoft Quartz」を立ち上げて一部でサービスを開始しており、先日にはコナミが『悪魔城ドラキュラ』シリーズを題材としたNFTアートを販売。また、スクウェア・エニックスやセガなどもNFTの活用について検討中だと公表している。Ubisoft Quartzを担当する同社バイスプレジデントNicolas Pouard氏は、「ゲーマーは、NFTは惑星を破壊する投機ツールであると信じており、その有益性について理解していない」とコメントしているが(Finder)、こうしたコミュニティやデベロッパーの反発を見るに、この先ゲーム業界にNFTが広く普及する未来が待っているのかどうかは不透明なようだ。

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