スリラーADV『Twelve Minutes』を小島秀夫氏が絶賛。監督をうならせた、死のループを繰り返す12分間


Annapurna Interactiveが8月20日に発売した『Twelve Minutes』が話題を集めている。同作は、個人デベロッパーLuis Antonio氏が開発したタイムループ・アドベンチャーだ。物語はリアルタイムで進行し、ある部屋を見下ろした視点でドラマが展開されていく。主人公の男は、自宅に帰宅後、妻とロマンチックな夕べを過ごそうとしていた。しかし幸せな時間は突如一変する。刑事を名乗る侵入者が部屋に押し入り、妻を殺人犯として糾弾。そのうえ主人公は、侵入者に殺害されてしまうのだ。 

死を迎えた主人公だったが、その後なぜか自身が帰宅直後に戻っていることに気が付く。彼は、侵入者が押し入り殺害されるまでの12 分間のタイムループに閉じ込められてしまったのだ。プレイヤーは未来を変えるため、主人公の場所を移動させたり物をつかませたり、会話の選択肢を選んだりすることで物語に介入。死のループから抜け出すことを目指すこととなる。 
 

 
本作は業界内にて多くの注目を集めている。著名人としては、小島秀夫監督がTwitterで『Twelve Minutes』について言及したことが挙げられるだろう。小島監督は8月20日、同作を絶賛するツイートを投稿。時が経つのを忘れて没頭してしまい、気がつけば4時間ほどが経過していたとのこと。ここまでゲームに熱中するのは、2016年発売のパズルアクションゲーム『INSIDE』以来だという。『Twelve Minutes』については「知力を使っての遊び」と描写しており、80年代のPC・ Amigaのゲームを思わせるとしている。 

廊下カーペットの模様はホラー映画「シャイニング」のオマージュであるなど、映画知識も交えて感想を述べている。侵入者役の声優を務めるウィレム・デフォーの演技は2019年のスリラー映画「ライトハウス」を思わせるとも評している。一連の賛辞を投稿したのち、続くツイートでは「またアドヴェンチャー・ゲームみたいなの、創りたいな。」ともツイート。監督の創作意欲を刺激するほど、強い印象を与えたようだ。 
 

 
本作についてはゲーム業界における注目度が高いのも印象的だ。一例として、Kinda Funny Gamesを率いるGreg Miller氏が『Twelve Minutes』について言及。ストーリーを進めたときの快感について賛辞を述べている。また海外メディアGamersPackの編集長Guy Yuval氏や、イタリアのメディアGameTales.itの共同設立者Jacopo Pio氏、UbisoftフランスのソーシャルマネージャーAlison Vayne氏なども高評価を下している。メディア評が満場一致で好評というわけではなく、低評価レビューも散見されるものの、レビュー集積サイトMetacritcではメタスコア79と、比較的高い数値を残している。 

なおSteamストアのユーザーレビューでも発売から1日で1200件あまりのレビューが寄せられており、注目度の高さがうかがえる。内訳としては、77%のユーザーから好評を得ている。本作では小さな行動の積み重ねによって運命を変えていくシステムが採用されており、プレイヤーがループの時間内にうまくヒントを見つけられるかが鍵を握る。それゆえに、人によってはトライアル・アンド・エラーを重ねることになる。ゲーム内に出てくるヒントの量もやや控えめで、難易度は高め。そうした点によってやや評価が分かれているのかもしれない。 

『Twelve Minutes』はXbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam)向けに配信中。日本語表示に対応しており、Xbox Series X|S/Xbox One版の価格は2900円、Steam版の価格は2700円となっている。Xbox Game Pass向けにも提供されている。