クモ退治アクション『Kill It With Fire』Steamにてリリース、日本語にも対応。部屋を焼き破壊衝動を解き放て、すべては憎きクモのために

 

パブリッシャーのtinyBuildは8月14日、一人称視点アクション『Kill It With Fire』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、日本語に対応している。8月21日まで10%のディスカウントが適用され、1368円で入手することができる(通常価格は 1520円)。本作はさまざまな部屋を探索し、物陰に隠れたクモを殲滅する害虫駆除アクションだ。多彩な武器を駆使して、あらゆる手段で敵を抹殺しよう。


本作はシミュレーションでありバトルアクションではない。主人公がダメージを受けたり危害を加えられたりすることもない。それにしてもゲームを始めたときの、おぼつかない心もとなさは演出の妙というべきだろう。ストリングスの不協和音がサスペンシックな雰囲気を醸し出し、明るい画面にもかかわらずサバイバルホラーじみた不安感をかき立てる。中でも音響が威力を発揮するのはクモと遭遇したときの演出だ。本作ではクモを視認するよりも、出現時の独特の効果音がヒントとなることが多い。それゆえヘッドフォンでのプレイを勧めたいところだが、「キシキシキシ……」と耳元に迫る音のさざなみは絶妙な不快感をかき立てる。

ゲーム冒頭は1匹1匹との遭遇ごとに緊張がほとばしる真剣勝負だ。何せ初期装備が頼りない。メイン武器は小さなクリップボードだ。直感的に扱えるシンプルな近接武器だが、どうしようもなくリーチが短い。クモの姿を発見しても打撃が届く範囲になく、おたおたと追いかけっこする羽目になる。おまけに一撃で仕留められないという脆弱さも痛いところだ。


ほか、有効手段としては投擲武器が挙げられる。具体的に何かというと、何でもである。部屋の中にある花瓶・大型本・テレビに至るまで、かなり多くのオブジェクトをつかんで投げることができる。そうやって部屋を散らかしていくのも本作の醍醐味だが、残念ながらこれらのアイテムを狙ってクモにぶつけるのは意外と難しい。何より、周囲が散らかるほど連中に隠れ場所を与えてしまう。クモを仕留めるには部屋を荒らさなくてはならないが、物が散乱するほどクモに有利になってしまうジレンマがはたらくのだ。

持たざる者として始まる序盤が「守り」のゲームであれば、一気に「攻め」に転じるのがヘアスプレーを入手した瞬間である。本作のスプレーはなぜかジッポライターとセットで手に入る。すなわち着火できるのだ。『Kill It With Fire』の名に恥じず、このゲームにおける火炎は最強のカードである。どれだけクモが素早く逃げようと、広範囲に火を放つことで確実に捉えられるのだ。いちど火が点けば燃え盛るクモは持続的にダメージを受け、まもなく勝手に絶命する。はじめは1匹のクモに神経を削っていたのが、わらわら湧いてくるクモを一挙に焼き払う豪快スタイルに転じるのが爽快だ。やけにリアルにシミュレートされた火災を眺めるのも風情がある。


その後もショットガンや手裏剣など数多くの得物が手に入るが、最終的には「火こそ正義」という結論に落ち着くだろう。むしろヘアスプレーや火炎瓶をいかに節約して立ち回るかが重要となってくる。FPSに自信があれば銃器を扱うのがいいし、エイムに自信がなければフライパンを振り回すのがおすすめだ。リーチはないが、確実に一撃で仕留められる頼もしい鈍器となる。また馬鹿にできないのが「チーズパフ」の存在だろう。スナック菓子をばらまくことでクモをおびき寄せることができる。はじめて入る部屋であらかじめ撒いておけば、家探し中に不意の襲撃があっても、ある程度相手の動きを読むことが可能だ。

各ステージでは単純にクモを倒すだけでなく、さまざまなミッションが課される。「部屋の中の写真立てをすべて壊す」といった探索系のものから、「ショットガンの一撃で2匹のクモを仕留める」といったテクニカルなチャレンジまで存在。のちのち装備が増えた時点で改めて挑むこともできるため、無理に初見でクリアする必要はないだろう。まずは何も考えず心のおもむくまま、破壊と抹殺に専念することを推奨したい。


『Kill It With Fire』の対応プラットフォームはPC(Steam)。8月21日まで1368円のセール価格で入手することが可能だ。無料デモ版の『Kill It With Fire: HEATWAVE』も引き続き利用可能なため、気になったら試してみるといいだろう。