『ダークソウル』など日本ゲームのPC移植版の改善に取り組んできたModderが自身の会社を設立。高品質な移植をメーカーに提供


ModderのDuranteことPeter Thoman氏は1月26日、エンジニア仲間と共に自身の会社「PH3」を設立したことを明らかにした。Durante氏というと、最適化が不十分なままリリースされたPC版『ダークソウル(DARK SOULS: Prepare To Die Edition)』向けに、高解像度化や高フレームレート対応、各種設定の追加などを実現するMod「DSFix」を手がけたことで知られる。その後も、PC向けに移植された作品を解析・評価して海外メディアに寄稿したり、メーカーから直接依頼を受けてPC移植のパフォーマンスの向上のために取り組むなどの活躍を続けてきた。

今回設立したPH3では、ゲーム開発事業に加え、技術コンサルティングと技術トレーニングを提供するとしており、ゲーム開発事業では特に移植や既存タイトルのパフォーマンスの改善を手がけるとのこと。Durante氏が得意としていた仕事をこの会社を通じておこなうということのようだ。一方、オリジナルのゲームを開発することについてDurante氏は、アイデアは常にあるものの小規模なチームであるため、現時点では移植仕事に集中したいとコメントしている。技術コンサルティングについては、持ち込まれたソフトウェアを解析し、そのパフォーマンスやポテンシャルなどについてケースバイケースで対応しアドバイスをする。技術トレーニングでは、短期・長期コースにてソフトウェアエンジニアを育成するという。

PH3のゲーム開発部門PH3 gamesの公式サイトには、ゲーム開発のエンジニアリングに特化し、高品質な移植を提供すると記されており、これまでの(Durante氏個人の)実績として日本ファルコムの『英雄伝説 閃の軌跡』『英雄伝説 閃の軌跡II』およびEnhanceの『Rez Infinite』が掲載されている。『英雄伝説 閃の軌跡』については、すでにリリースされていたPC版のパフォーマンスの改善を販売元のXSEED Gamesから依頼され、ロード時間の短縮やターボモードの追加などを実現(関連記事)。その結果、続編『英雄伝説 閃の軌跡II』のPC版ではいちから移植を任された。単純に移植するだけでなく、PC版ならではの幅広い設定項目を追加するなどのこだわりが見られ、この両作はいずれもSteamレビューにて「圧倒的に好評」を獲得している。『Rez Infinite』については、PC版およびVRモードについて技術的なアドバイスをおこなったとのこと。

『英雄伝説 閃の軌跡II』

Durante氏はこれら以外にも、『王様物語』や『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』のPC版でも、メーカーから依頼を受ける形でパフォーマンスの改善に取り組んでおり、メーカーからの、そしてファンからの信頼を獲得している。これまでは主に日本のタイトルのPCへの移植に貢献してきたが、今回法人としてPH3を設立したことで、日本のみならず海外メーカーからもさらなる依頼が舞い込むことになりそうだ。また公式サイトでは、特にPCへの移植に限定するという説明はないため、PCからコンソールへの移植についてもおこなっていくのかもしれない。なおDurante氏は、すでに新しい移植仕事に取り組んでいることを明かしており、いずれパブリッシャーから発表されるだろうと述べている。