『Apex Legends』の年間売上予測は300億円以上、週間プレイヤー数は800万〜1000万人。ライブサービスがEA業績を牽引する

 

Electronic Arts(以下、EA)は7月30日、2019-2020会計年度第1四半期の業績報告を公開。あわせて投資家向けの収支報告を行った(Seeking Alpha)。新作リリースが控えめの中、長期運営を想定したライブサービス型タイトルが業績を牽引。新たなヒット作となった『Apex Legends』についても多めに触れられている。

・『Apex Legends』週間プレイヤー数は800万~1000万人
まず同作のプレイヤー人口については、配信1か月で累計5000万人を突破したことが報じられた後、目立った続報がなかった。そんな中、EAより週間プレイヤー数が800万~1000万人であることが明かされた。プレイヤーのエンゲージメントはシーズン2開幕以降、上昇傾向にあるという。リリース当初ほどではないにしても、十分な人数と言えるだろう。なお同作による年間の純売上高予測値は、3億ドルから4億ドルの間となっている。

本作では、2月のリリースにあわせた人気ストリーマーの囲い込みマーケティングにより、いきなりTwitch視聴者数のトップに躍り出る賑わいを見せていた。その後は視聴者数が減退し、6月にはトップ10外にまで落ち込んでいたが、シーズン2開幕後には復調の兆しが見られる。GitHypによると、過去30日間の平均視聴者数は、前月比+120%の約3万7000人で、視聴者数ランキング9位。シーズン2が開幕した7月2日と、「Twitch Prime Crown Cup」が開催された7月13日には、15万人を超えることもあった。

・『Apex Legends』シーズン3はより大規模なアップデートに
EAのCEOであるAndrew Wilson氏およびCFO兼COOのBlake Jorgensen氏は、『Apex Legends』の今後についても言及している。まず8月には大きなイベントが開催される予定であり、マネタイズおよびプレイヤーのエンゲージメント促進に繋がるだろうと説明。続いて、開発元のRespawn Entertainmentがシーズン3に向けた開発に取り組んでおり、現在のシーズン2よりも大規模な内容になる見込みだと説明している。

2018-2019会計年度第4四半期の業績報告では、モバイル展開および中国展開に向けて交渉中であると伝えられていた。これらについては、順調に進んでいるという。ただしJorgensen氏は、投資家向けの収支報告における質疑応答にて、2020年には発売に至らないだろうと回答している。同氏は、『Apex Legends』の運営を10年間は続けるともコメント。Respawnが望むのであれば、DICE Los Angeles(旧Danger Close Games)のチームなどがコンテンツ制作において協力することも可能だと伝えている。

・ライブサービスがEAを支える
第1四半期(4月~6月)は、大手パブリッシャーにとって目玉作品のリリースが控えめな時期になることが多く、今年のEAも例外ではない。それでも前受収益の繰り延べ処理後の純売上高は7億4300万ドル(約800億円)。前年同期の7億4900万ドルから1%減にとどまっている。営業利益は4億1500万ドル(前年同期は3億ドル) 。予想値を上回る結果となり、業績報告後にEA株価は3.5%上昇した。

デジタルセールス比率は他の大手パブリッシャーと同じく上昇傾向にあり、ゲーム売上本数比率は、前年同期比7%増の47%がデジタルセールスになっている。またデジタル純売上高の71.8%はライブサービスから発生したものであり、ゲーム本体のダウンロードはわずか10%に過ぎない。今期は新作リリースが控えめであり、ゲーム本体のダウンロードが前年同期比22%減と落ち込む中、ライブサービスは前年同期比12%増。新作リリースが無い間も、同社のスポーツタイトルやモバイルタイトル、『Apex Legends』などが業績を支えている。

ちなみに5月に期間限定で無料配布された『The Sims 4』は約700万人にダウンロードされたという。同作もライブサービスとして引き続き売上に貢献しており、拡張パック・ゲームパックのダウンロードは前年同期比で55%増となった。年間での純売上高予測値は『Apex Legends』と同規模になっている。このようにライブサービスの牽引ぶりが強調されているが、『Apex Legends』と同時期に発売された『Anthem』については、業績や今後の展望について全く触れられていない。

『The Sims 4』

EAの第2四半期には『FIFA 20』『Madden NFL 20』『NHL 20』『Sea of Solitude』が発売され、第3四半期には『Need for Speed』『Plants vs Zombies』シリーズの新作や『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』『NBA Live 20』が控えており、業績は伸びていくだろう。

なおEAはサブスクリプションサービスEA Access/Origin Accessにも力を入れており、7月26日にはPlayStation 4向けのEA Accessがサービス開始されたばかり。Andrew Wilson氏は、サブスクリプションモデルとクラウドゲームサービスが組み合わさることで、新しいゲームを遊ぶハードルをさらに下げられるだろうと、今後の展望を語っている。