『レッド・デッド・リデンプション2』のデモ映像が米国小売店関係者向けに披露されるも、「退屈」「眠い」という感想多数。その理由とは

 

米国最大手のビデオゲーム販売店GameStopの従業員向けの説明会にて、『Red Dead Redemption 2(レッド・デッド・リデンプション2)』(以下、RDR2)の未公開ライブデモが披露された(一般公開はされていない)。だが映像を目撃した従業員からは、退屈なプレゼンテーションであったという声が複数あがっており、その様子を海外メディアのEurogamerwccftechが報じている。

『RDR2』は、西部開拓時代末期を舞台としたオープンワールドゲーム。前作から時を遡り、新たな主人公アーサー・モーガン(Arthur Morgan)が所属しているギャング団「ファン・デル・リンデ(Van der Linde)」の物語が描かれる。「ファン・デル・リンデ」(通称ダッチ・ギャング)は前作の主人公ジョン・マーストンが所属していた組織であり、過去に公開された公式トレイラーではマーストンの姿もばっちり映っている。また8月に公開された以下の公式ゲームプレイ映像では、ギャング団と共に広大な世界を横断する様子や、NPCとのインタラクションにより関係性が変化していく様子が、上品なナレーションと共に描かれており、大人のエンターテインメントとして売り込んでいることがうかがえる。

 

退屈なのはゲームではなくデモ映像

今回デモ映像が公開されたのは、GameStopおよびその子会社ThinkGeekの店舗リーダー以上の役職についた従業員を対象にした「2018 GME Conference」。米国インディアナ州で開催されたカンファレンスであり、Rockstar Gamesはそこで20分近くのライブデモ映像を披露した。一般公開されていないフッテージではあるが、reddit上のコメントを組み合わせると、乗馬シーン、銀行強盗クエスト、銃撃戦などが含まれていたことが読み取れる。そしてredditスレッドにコメントを寄せた者の多くは、デモ映像についてとにかく退屈だったという感想を述べている。

例えばredditユーザーthunderking500氏は、「綺麗なゲームだけど、映像の大部分は乗馬シミュレーターだったよ。目を開けているのが辛かった……」とコメント。そのほかにも、「ロックスター乗馬シミュレーター 2k19だね。解説者の話も退屈だったよ」(Canicallyoukp氏)、「少し寝てしまったかもしれない」(Teenage_Spy氏)、「デモを操作している人、走るボタンがどれかわからなかったんじゃないか?」(ChronoNova氏)、「銃撃戦パートは良かったけれど、銀行強盗パートはペースが遅かった。素晴らしいゲームになるだろうし馬鹿みたいに売れるだろうけれど、披露されたデモは無味乾燥な内容だったよ」(WDCombo氏。削除済み)といったネガティブな意見が続く。

ただ注意したいのは、投稿者はあくまで20分前後のデモ映像に対する感想を述べているという点である。jgrindberg氏は、「誤解しないでほしいんだけど、優れたゲームになるとは思っているよ。ただ、見ていて退屈なデモ映像ではあった」と補足しており、先述したCanicallyoukp氏も「ゲーム自体は凄そうに見えたよ。ただデモ映像はベストな出来ではなかった」「Rockstarが素晴らしいゲームを届けてくれると信じているよ。彼らは期待を裏切らないさ」とフォローしている。「というか、正直言って俺たちの意見なんて誰が気にするんだい?『Call of Duty』の新作が例年よりも早くリリースされるということが全てを物語っているじゃないか。『RDR2』はバカ売れするし、他のパブリッシャーはこの大作と張り合いたくはないのさ」。

 

退屈に感じさせた要因

映像を見たGameStop従業員としては、ゲームへの期待は変わらないが、ゲームの魅力を伝えるためのライブデモとしては満足できるものではなかったのだろう。アクションシーンが少ないことに触れているコメントが多いことから、映像を見てテンションが上がるようなド派手な銃撃戦の連続を求めていたのかもしれない。またデモ内容についてdutrank氏が「既出のゲームプレイ映像のロングバージョン」と説明していることから、既に見たことのある場面が多かったことも、退屈に感じさせる一因となっていたのだろう。

それにしても、ここまで「退屈」「眠い」というワードが頻出するのは意外に感じるかもしれないが、その点についてはカンファレンスに参加した1001mistakes氏がコンテクストを付け加えてくれている。1001mistakes氏いわく、デモ映像は「2018 GME Conference」の終盤で開かれたRockstar Games説明会のオオトリとして披露されたものであり、参加者の多くは疲労困憊だったという。つまり、イベントで歩き回って疲れた状態で、アクションの少ない映像を見せられたことが、見る者が受ける印象に悪い影響を及ぼしたのではないか、というわけだ。「私も少しウトウトしてしまったけれど、美しいゲームだったよ。本作の世界は精密につくりこまれているようだったし、デモ映像自体は、ゲームメカニック、世界、ゲーム内の物理法則などを網羅する申し分ない内容だったと思う」。

これまで一般公開されてきたトレイラーからも読み取れるように、本作はド派手な銃撃戦だけが売りの作品ではない。今回のカンファレンスにおいても、大人のエンターテインメントとして訴求するため、銃撃戦以外の部分を丁寧に見せたかったのではないだろうか。だが映像から受ける印象は、受け手のコンディションにも左右される。「数日間歩き回るゲームイベントのオオトリ」というシチュエーションを加味してゲームを売り込む場合には、眠気を覚ますような刺激的な視覚情報であった方が効果的だったのかもしれない。今回の参加者の感想は、ゲームの品質を探る上では参考にしづらいものであるが、「カンファレンスのスケジュールを考慮したゲームの売り込み方」という視点からは、参考にできる部分があるのではないだろうか。

『Red Dead Redemption 2』の対応プラットフォームはPlayStation 4/Xbox One(後者はダウンロード版のみ)。2018年10月26日に国内外同時リリース予定となっている。