穴となりすべてを飲み込む『Donut County』Steam/iOS向けに日本語対応で配信開始。動物たちが繰り広げるキュートなパズルADV

 

インディーパブリッシャーAnnapurna Interactiveは本日8月28日、『Donut County』の配信を開始した。ゲームは日本語表示に対応している。対応プラットフォームはSteam(Window, Mac, Linux)およびiOS。海外向けにはPlayStation 4版も配信されている。Steam版の価格は1320円で、9月5日までは1188円で購入可能。iOS版は600円となっている。

『Donut County』は、穴となりさまざまな物を飲み込むパズルゲームだ。舞台となるのは多くの動物が暮らす平和な街Donut County。ある日、この街は穴に飲み込まれ、住民は999フィート下方の地下で暮らすはめになった。その犯人は、穴を操作するアライグマBKである。少女ミラやほかの動物がBKを問いただすも、BKはその罪を認めない。では住民たちはどのように穴に落ちるはめになったのか。動物たちその一部始終をコミカルに回想していく。

プレイヤーは穴を操作するアライグマのBKとなり、穴を動かしてオブジェクトの下に潜り込み、対象物を飲み込んでいく。本作では、ステージ形式が採用されており、基本的にはステージに存在するオブジェクトのすべてを飲み込むとステージクリアとなる。ステージ開始時には操作する穴が小さいが、ものを入れていくうちに穴のサイズは大きくなっていく。徐々に、大きなオブジェクトを飲み込めるようになってくる。植物から家具、人や置物、挙げ句は建物など、さまざまなものを飲み込みステージのクリアを目指すのだ。

本作は、ただひたすらものを穴に入れていくだけではない。ステージによっては、穴にたまった水を利用したり、もしくは穴に入れたものを逆に吐き出したり、飲み込んだものを組み合わせたりといった仕掛けが存在する。多彩なギミックが用意されているので、頭をひねることが求められることもある。そしてステージをクリアすれば、またBKたちのおしゃべりが始まる。会話パート→ステージクリア→会話パートを繰り返していくのが、本作の基本的な流れとなる。

プレイした印象としては、発表時から比較されてきた『塊魂』シリーズを遊んでいる時の感覚に近い。操作対象となる“異物“を大きくしていき巻き込む(落とす)というゲームデザイン、ボーカル曲などを収録する魅力的なサウンドトラック、軽妙なテキストと不思議なシナリオなど類似点は多い。ゲームシステム自体が異なっているので、似ているとまでは言えないが、プレイフィールはある程度共通するのではないだろうか。ちなみに筆者は最初マウスでプレイしていたが、カーソルが映ってしまい“穴になっている”という没入感を得づらかったので、コントローラーで操作している。ここらへんは、プレイヤーの好みの問題になるだろう。

本作の開発を手がけるBen Esposito氏は、2012年に本作(当時の名前はKachina)を発表して以来、Giant Sparrowのスタッフとして働きながらゲームを作り続けてきた。フリーとなった後も開発を続け、そしてとうとう『Donut County』を発売までこぎつけた。一時期には、穴になるというコンセプトが酷似した無料のモバイルゲーム『Hole.io』をめぐり、Esposito氏が「『Donut County』が盗作された」と嘆く騒動が発生していたが(関連記事)、実際両作品を遊んでみると方向性が異なっていることがわかる。

『Hole.io』はワンプレイで完結するアーケードスタイルで、『Donut County』はシナリオや音楽を楽しみながらパズルを説いていくアドベンチャーゲームスタイル。結果的に後発作品になってしまったが、『Donut County』はゆるい世界観や耳に残るサウンドトラック、多彩なパズルなどを揃えており、差別化に成功している印象だ。