RPGのDLCには何が求められているのか?『Fallout: New Vegas』のObsidianが海外ゲーマーへのアンケート結果を公開

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『Fallout: New Vegas』や『Pillars of Eternity』シリーズなどの開発元として知られるObsidian Entertainmentは11月9日、ゲームのDLCに関するアンケートの結果を公表した。これは先月4日から20日にかけて、同スタジオが過去にクラウドファンディングをおこなったKickstarterやFig、公式フォーラム、ニュースレター、Reddit、そしてSNSなどを通じて実施したもので、約5万5000人から回答があった。この中ではいくつか興味深い傾向が現れているので見ていこう。

本題に入る前に、このアンケートの回答者の基本情報をおさえておきたい。まず回答者の約9割が男性で、年齢層は20代から30代前半が全体の4分の3を占めている。回答者の半数はアメリカ在住者で、残る上位も英語圏が占めている。ちなみに日本からの回答者はゼロもしくは一桁と思われる。利用しているゲームプラットフォームはPCが断然メインで、たまに携帯ゲーム機で遊ぶがコンソール機は持っていないという回答者が多い。そして、好むゲームジャンルはRPGが頭ひとつ抜けてトップで、アクション・アドベンチャーやストラテジーなどが続く。

シングルプレイコンテンツの拡張への熱望

まず最初の設問は、Obsidianがこれまでに手がけたタイトルのDLCについて。個別のDLCについてそれぞれ所有しているか否かを問うているが、目を引くのは『Fallout: New Vegas』の人気の高さだ。同作では発売からおよそ1年弱にわたって5つのDLCをリリースしたが、すべてにおいて7割ほどの人が購入したと回答している。そのほかのタイトルも見てみると、複数のDLCをリリースした場合、いずれも概ね同程度の割合購入されていることが分かる。

次にDLCの購入方法について。シーズンパスを購入するか、リリースごとにバラで買うかなどさまざま考えられるが、個別に買っていくことを好む人が若干多い。シーズンパスを購入するとした人もそれなりの割合いるということは、前の設問で複数のDLCが同程度の割合で所有されていることに関係していそうだ。なお、回答傾向がほかとまったく異なる右端の2項目は、ゲームを返品して完全版に買い替える方法と、セールまで待つというものだ。一般的に考えれば、返品までして完全版の購入することはそうあるケースではないし、一方で多くのユーザーがセールを好む。これは少し設問が悪かったかもしれない。

ここではDLCの内容について、どのようなものを好むかを聞いている。もっとも多かったのはシングルプレイのキャンペーン/クエストの拡張で、次いでゲームクリア後のコンテンツ。そしてクラフトやレベルキャップの引き上げなどゲームシステムの拡張や、コンパニオンキャラクターの追加などが続く。示された項目は大きく分けてゲームコンテンツ・ゲームシステム・マルチプレイに関するものだが、基本的にゲームコンテンツの追加がもっとも望まれていることが見て取れる。一方でマルチプレイや対戦要素のあるものはあまり求められていないようだ。

そして、そういったコンテンツのボリュームについては、本編の発売から期間が開いてもいいから大型コンテンツをひとつふたつ出してほしいとする人が半数を占めている。大規模なものと小規模なものを定期的に配信してほしいという人も約3割いる。一方で、小規模なものをこまめにリリースすることはまったく望まれていない。ここからは、気に入ってプレイしているゲームの延長線上にあり、かつ量と質を兼ね備えたコンテンツが求められていることが読み取れる。最初の設問で『Fallout: New Vegas』のDLCが高い人気を見せた理由が垣間見える結果でもある。

ユーザーのクチコミもまた決め手に

DLCの購入に際しては何が決め手となるのか。もっとも重要視されているのは価格という結果になった。ほかに参考にされているのは、そのDLCの評判だ。ここではユーザーレビュー・メディアレビュー・友人の意見についてそれぞれどれくらい重要視するのかを問うており、いずれも高い割合の人が「それなりに」参考にしているようだ。

ただ興味深いのは、「非常に」重要視しているという人の割合を見てみると、ユーザーレビューと友人の意見が高い割合を示す一方、メディアレビューは極端に低く「重要ではない」という意見が目立つ。この理由については示されておらず推測するしかないが、メディアのレビューにおいては時にメーカーとの癒着やしがらみが報じられることがあり、それならば自分と同じ一般ユーザーの意見の方が信頼できるということなのかもしれない。

また、シーズンパスの価格はどのくらいの値段が妥当なのか、44.99ドルと59.99ドルのゲームについて分けて問いている。フルプライスと、それよりも少し安い価格帯のゲームだが、実際に販売されているシーズンパスの平均価格は21.26ドル。RPGタイトルに限ると24.59ドルだそうだ。そして回答者の平均は、それぞれ16.45ドルと17.8ドルだった。両者の価格差はゲーム本体の価格差とほぼ同じ割合であるが、いずれにせよ実際より安い結果となった。上の設問で価格が重要視されていたが、基本的にユーザーはDLCを割高だと感じていることの現れかもしれない。ちなみに、無料のDLCが複数存在する場合、約7割の人がそのゲームの購入を前向きに考えるという結果も出ている。

最初に示したように、このアンケートの回答者は主にRPGを好むPCゲーマーで、おそらくObsidianをフォローしている人が多いということ、また地域性/国民性が現れている可能性を念頭に置かなければならないが、DLCの内容に求めるものや、購入の参考にするものについてはっきりとした傾向が出ていて興味深い。Obsidianはすべての人を満足させることはできないが、こうしたアンケートの結果を参考により良いゲーム作りをおこなっていきたいとしている。なお、Obsidianは今回の結果を公表する前日に以下のようなツイートをおこなっている。『Pillars of Eternity II』に続く新作の発表が近いのかもしれない。

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