任天堂がNINTENDO64コントローラーなどのデザインを商標申請していたことが判明。「ミニNINTENDO64」やVCへの期待あつまる

 

任天堂が「NINTENDO64」などのコントローラーのデザインを欧州で商標申請していたことが判明し、海外フォーラムNeoGAFで報告され話題となっている。具体的には「NINTENDO64」「NES(ファミコン)」「SNES(スーパーファミコン)」の各コントローラーと、「Nintendo Switch」本体にJoy-Conを差し込んだ状態のデザインだ。いずれも今年の7月18日にEUIPO(欧州連合知的財産庁)に受理され、現在審査中となっている。まだ商標登録はされていない。

任天堂は2003年から欧州でニンテンドーDSやWiiなどのゲーム機本体、またコントローラーなどの周辺機器やキャラクター、UIなどのデザインを商標登録しており、今回が初めてではない。自らの製品のデザインを他社に模倣されないよう保護するのは当然のことだ。ただし今回の一連の商標申請は、これまでとは異なる点が二つある。ひとつは、Nintendo Switchを除いてはいずれも過去の製品であること。もうひとつは、商標としてEUIPOに申請されたデザインが、実際の製品をやや抽象化したデザインであることだ。

今回EUIPOに提出されたデザイン

過去の製品のデザインを商標登録すること自体は不思議なことではない。特に任天堂の場合は、これまで発売したどのコンソール・携帯機も世界的に知られており、またそれぞれ特徴的なデザインを持っている。気になるのは、何故いま、これら4製品のデザインを商標申請したのかだ。前述のフォーラムなどでもっとも期待の声が上がっているのは、いわゆる「ミニファミコン」「ミニスーパーファミコン」に続く「ミニNINTENDO64」だ。自社製品のデザインを保護する目的ならば、ニンテンドーゲームキューブやWiiなども同時に申請されてしかるべきだが、NES・SNES・NINTENDO64とくれば、「ニンテンドークラシックミニ」第3弾を期待してしまうのは当然かもしれない。

先月発表された「ミニスーパーファミコン」、コントローラーはオリジナルと同じサイズになる

また、商標申請されたのがコントローラーのデザインだけという点について、「ミニNINTENDO64」を期待させる前例がある。製品デザインの商標登録は日本でも可能だが、任天堂はこれまでに多くのデザインを商標登録している。そして興味深いことに、ファミコンのコントローラーが商標登録されてから約9か月後に「ミニファミコン」が発表され、そしてスーパーファミコンのコントローラーの商標登録から約6か月後に「ミニスーパーファミコン」が発表されたという事実だ。「ミニファミコン」も「ミニスーパーファミコン」も、オリジナルのデザインをもとに復刻しているため、事前に商標として保護したものと考えられる(関連記事)。

一方で、今回EUIPOに提出されたデザインが抽象的であることや、NINTENDO64などだけでなくNintendo Switchのデザインも含まれていることから、まったく別の目的である可能性もある。実はNintendo Switchのデザインについては、EUIPOですでに商標登録されており、そちらは実際の製品を正確に表現している。そのため今回申請された一連のデザインが、物理的な本体デザインを保護するという目的だとは考えにくい。もちろん申請内容には使用目的も併記されているのだが、ゲーム関連製品が広義的に網羅されているため、ここから判断するのは難しい。また、今回のようなデザインスタイルで任天堂が商標申請したのは初めてであるため、過去の例を辿ることもできない。

EUIPOで商標登録されたNintendo Switchの本体デザイン

ただ、統一されたアイコンのようなデザインであることから、なんらかのサービス内でこれらのプラットフォームを表すために使用する可能性が考えられる。その一つとして期待されているのは「バーチャルコンソール(以下、VC)」だ。ファミコンやスーパーファミコン、NINTENDO64のゲームがNintendo Switch向けにVCとして提供開始される際に、UIの中でアイコンとして使用されることが考えられる。NINTENDO64以降のタイトルは、これまでにVCとして提供されていないので、今回の4製品だけが商標申請されたこととも一定の整合性が感じられる。あるいはNintendo Switch Online向けに提供される「クラシックゲームセレクション(仮称)」で同じように使用されるかもしれない。なお、いずれのサービスもNintendo Switchでの展開時期は未定である。

もっとも、デザインであれ名称であれ、商標登録されたからといって実際に製品化されるとは限らない。任天堂はこれまでにもアイデア段階と思われる商標を数多く登録している。今回商標申請されたコントローラーのデザインはなにを示すものなのか、我々が知る時は来るだろうか。なお、米国任天堂は海外メディアPolygonの問い合わせに対して、「本件について発表することは何もありません」と回答している。