任天堂、Nintendo Switchニンテンドーeショップでの“アルゼンチン価格”悪用に対策か。他国発行クレジットカードの利用を制限

 

任天堂が、アルゼンチン向けニンテンドーeショップにおける他国発行クレジットカードの利用を停止したとして、一部ゲーマーの注目が集まっているようだ。海外メディアGoNintendoなどが報じている。

ニンテンドーeショップは、Nintendo Switchのダウンロード版ゲームやDLCなどを購入できるストアである。Nintendo Switch本体やWebブラウザからアクセスでき、Nintendo Switchユーザーなら誰もが利用したことがあるだろう。通常は、ニンテンドーアカウント設定に基づき自らが居住する国向けのニンテンドーeショップを利用するが、あえて特定の国のニンテンドーeショップに国外からアクセスし、ゲームなどを購入するユーザーが存在する。その特定の国のひとつとして知られるのがアルゼンチンだ。


なぜ国外ユーザーが、わざわざアルゼンチンのニンテンドーeショップで買い物をするのかというと、ゲームなどを安く購入できるからだ。たとえば先日発売された『レッド・デッド・リデンプション』は現在9609アルゼンチン・ペソで販売されており、日本円に換算すると約4000円。日本での価格(6820円)より2800円ほど安い。こうした価格は現地の物価などをもとに設定されているため、日本などから見れば安いと感じるが、現地で暮らす人にとっては適正価格。ただ先述したように、こうした価格差を“悪用”する他国ユーザーは後を絶たない。

そうしたなか8月19日頃になって、アルゼンチンのニンテンドーeショップでの購入に、アルゼンチン国外で発行されたクレジットカードが利用できなくなったとの報告がSNSに上がるようになった。報告によると、購入しようとすると「2813-2470」というエラーコードが表示されるという。そして南北アメリカ向け任天堂サポートサイトにて、このエラーコードの意味として以下のように説明されていることも発見され、他国発行クレジットカードの利用制限について裏付けられた格好だ。

「支払いは、あなたのニンテンドーアカウントと同じ国で発行されたクレジットカードに制限される場合があります。たとえば、メキシコで発行されたクレジットカードは、アルゼンチンに設定されたニンテンドーアカウントでは利用できません」


アルゼンチンのニンテンドーeショップ利用に関するSNS上の投稿を追っていくと、数日前までは「アルゼンチンで安く購入できた」などとする他国ユーザーの報告が上がっていた。そのためやはり8月19日頃を境に、先述した他国発行クレジットカードの利用制限が導入された可能性がありそうだ。

また、任天堂サポートサイトのエラーコード「2813-2470」の説明についても、以前はクレジットカード情報の登録や決済処理に問題が発生している可能性があると記載されていたが、今は先に紹介した内容に変更された。この変更がいつおこなわれたのかは定かでないが、変更後の説明にアルゼンチンが言及されている点は興味深い。ただあくまで例示されただけであり、文面からは特定の国に限定した制限ではないようにも受け取ることができる。

なお日本向けサポートサイトでは、現時点では「このエラーは、クレジットカード決済会社の処理において、何らかの問題が発生した場合に表示されます。一時的な問題の可能性もありますので、時間をあけてからもう一度お試しください」と説明されている。南北アメリカ向けの以前の記述に近い。


アルゼンチンなどのストアに他国からアクセスし、ゲームなどを安く購入するユーザーの存在は、Steamでも問題視されてきた。そうした行為は利用規約違反であるだけでなく、ゲーム開発者の収益にも悪影響が及ぶためだ。この問題に対しSteamを運営するValveは、アカウントの居住国設定の変更に一部制限を設けたり、開発者に提案する国別推奨価格の設定を見直したりと対応してきた(関連記事)。

ニンテンドーeショップでの他国発行クレジットカードの利用については、一部の国ではかねてより制限されていた模様。日本においては、ニンテンドーアカウント利用規約により“日本で発行されたクレジットカード”での決済が規定されている。ただ、アルゼンチンなどではこれまで制限がなかったようだ。それがなぜ今になって制限されたのか、またアルゼンチン以外のあらゆる国においても、同じく制限がかけられたのかどうかについては今のところ不明である。

ちなみにあるRedditユーザーは、アルゼンチンの経済状況が今回の制限の背景にあるのではと指摘している。同国では8月14日、前日に実施された大統領選挙の予備選の結果を受けてアルゼンチン・ペソが急落し、同国中央銀行が通貨切り下げを実施。その後、ラテンアメリカの多くのゲーマーがアルゼンチンのニンテンドーeショップにアクセスし、価格調整されたゲームを安く購入していたという。ちなみに任天堂サポートサイトで例として言及されたメキシコも、ラテンアメリカに属する国のひとつだ。そうした急激な状況変化を受けて、任天堂は素早く対策を打ち出すことになったのかもしれない。