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『オバケイドロ』開発者、『Dead by Daylight』開発者に「悩み事」を相談する。データと熱量どっちを重視すればいい?実は日本は特殊?真剣相談
このたび弊誌は、『Dead by Daylight』と『オバケイドロ!』の開発者による座談会を実施。後編では、より実践的なゲーム開発の側面に話題を移す。

このたび弊誌は、Behaviour Interactiveが手がける『Dead by Daylight』(以下、DbD)と、フリースタイルの『オバケイドロ!』の開発者による座談会を実施した。前編では、両作品が非対称対戦ゲームとして生まれた経緯や、勝ち負けの意味、記憶に残るプレイヤー体験を生み出すための設計思想などについて話を訊いた。
後編となる本稿では、より実践的なゲーム開発の側面に話題を移す。UI・UXの設計、『DbD』がプレイヤーデータとコミュニティの声を開発に活用する方法、日本のプレイヤー層ならではのバランス調整上の課題、新機能を追加することと同じくらいゲームのコアとなる個性を守ることが重要である理由などが語られた。最後には、非対称対戦ゲームの先輩開発者として、Behaviour Interactiveから『オバケイドロ!』チームへのアドバイスも訊いている。『DbD』が『オバケイドロ!』に与えた影響や、非対称対戦ゲームならではの設計思想について語られた前編も、あわせてご覧いただきたい。

プレイヤーを迷わせない、UI・UX設計の思想
──『オバケイドロ!』をコンソール向けに展開する際、UI設計ではどのような点を参考にしたのでしょうか。また、『DbD』ではどのような思想で、ゲームに入りやすいUIを作られているのでしょうか?
田中氏(フリースタイル):
『オバケイドロ!』をコンソール向けに展開すると決めた時、苦労したことのひとつがUIの設計でした。その際、『DbD』の直感的な作りを大きく参考にしました。
全体の流れがとても自然なんです。「今日は誰と遊びますか?」といったシンプルな問いかけから、キャラクターを選び、遊ぶ場所を決め、マッチに入るところまでスムーズに誘導されます。実際にゲームを始めるまでのボタン入力が非常に少ない点にも感銘を受け、『オバケイドロ!』のUIを作る際の参考にしました。
どのような思想で、あれほど入りやすいUIを設計されたのでしょうか?
デイブ氏(Behaviour Interactive):
面白い質問ですね。ただ、私たち自身は、目指している理想からまだかなり遠いと思っています。UIをさらにわかりやすく、使いやすくすることは非常に重要で、現在も積極的に作り直しているところです。目標のひとつは、プレイヤーが行きたい場所へ、できるだけ少ないクリック数でたどり着けるようにすることです。
不要な要素を削り、その時に重要なものだけを読み込み、すべてを一度に読み込まないようにする。プレイヤーが必要なものをできるだけ簡単に見つけられるようにする。そうやってプロセス全体を可能な限り速くするために、多くのことを考えています。
また簡単に付け加えると、『DbD』で行うすべてのこと、そして実際にはどのゲームでも同じだと思いますが、反復的な工程と数多くのテストを経ています。まずはホワイトボードや紙にアイデアを書き、メニューやUI全体がどこへ向かうのかを整理します。その後プロトタイプを作り、実際のプレイヤーにテストしてもらい、最終版になるまで改善を繰り返します。

ジョゼ氏(Behaviour Interactive):
ひとつ付け加えると、これはUIというよりUXの話かもしれません。私たちが常に確認しているのは、プレイヤーが「遊びたい」と思った瞬間から、実際にマッチへ入るまでの時間です。この2つの瞬間の間に何秒かかるのかを、実際に計測しています。
いわゆる「Speed to Play」、ゲームを始めるまでの速さという点で、私たちは他作品と比べて上位よりも下位に近いと認識しています。最初のロード画面で読み込むものが多いことや、マッチメイキングにかかる時間など、さまざまな要因が組み合わさっています。現時点では、開始時にボット、つまり人間ではない相手とマッチさせる仕組みもありません。そのため、遊ぼうと決めてから実際にマッチへ入るまでの時間は長すぎると考えています。
10周年に際しては、新しいグラフィックやMod対応など多くの新要素を発表しましたが、この部分も改善します。ゲームに入るまでの時間は、今後確実に大幅に短くなる予定です。
もうひとつ、UXとスムーズな体験という観点から、最近「Play While You Wait(「待っている間にプレイ」)」という機能を導入しました。皆さんも同じ課題を抱えていると思いますが、キラーとサバイバーの待機列の人数バランスが悪くなることがあります。1対3でも1対4でも、必要な比率がありますが、キラーが多すぎる時もあれば、サバイバーが多すぎる時もあります。時間帯によっても変わります。

『DbD』では、サバイバーはフレンド同士で協力して遊ばれやすい役割なので、夜はサバイバーが多くなり、昼はキラーの方が多くなる傾向があります。そこで、例えばキラーとして遊びたいもののキラーが多すぎる場合、キラーの待機列に自分の順番を残したまま、サバイバーとして1試合遊べるようにしました。その試合が終わっても、待機列での自分の位置は維持されます。
キラーとして遊ぶまでの実際の待ち時間は長くなる可能性がありますが、ただ待ち続けるのではなく、その間もずっとゲームを遊べます。こうした機能はプレイヤーにとって非常に重要だと思います。
田中氏(フリースタイル):
素晴らしいですね。待っている間も遊べる発想が、とても良いと思います。『オバケイドロ!』では、マッチング待ちとなるよりは、CPUを入れて遊びに行けることを優先する形にしています。『DbD』では、ユーザー体験として何を優先されているのかが伺えて嬉しいです。

データとコミュニティ、両方を見てゲームを改善する
──ゲームの状態を判断する際、どのような数値やKPIを重視していますか?
ジョゼ氏(Behaviour):
いくつもの要素を組み合わせています。幸い『DbD』は現在大きなチームで開発ができています。アナリティクスチームもコミュニティチームもいるので、判断材料となるデータをさまざまな場所から集められます。アナリティクスはそのひとつです。待機時間や切断率、いつも同じメタが使われていないか、特定のパークばかり使われていないか、まったく使われていないキャラクターがいないか。そうしたデータを確認します。
一方で、コミュニティの皆さんの受け止め方も重要です。データ上は良好に見えても、プレイヤーが抱える印象が悪いことはよくあります。したがって、待機時間や切断、パーク利用の偏り、特定キャラクターへの集中などの分析データだけでなく、コミュニティの感情も非常に重視しており、そちらについても多くのレポートを確認しています。

さらに、日本では特に大きな課題があります。私たちは常に、両方の役割を遊ぶプレイヤーに楽しんでもらいたいと考えています。ひとつの指標だけで判断するわけではありませんが、プレイヤーと開発者の双方がよく見る数値に、キラーの殺傷率があります。勝敗を単純な二択で定義してはいませんが、通常は60%程度の殺傷率であれば、かなり良いバランスだとみなしています。そして現在、世界平均はちょうど60%ほどです。もちろんそれだけでは不十分ですが、世界全体で殺傷率だけを見ればかなり良い状態です。
ところが日本では、殺傷率が60%ではなく50%近くまで下がっています。10ポイントほど低く、このような状況にある国は世界でもほとんどありません。コミュニティの反応からも、日本でキラーを遊ぶプレイヤーが不満を感じていることを把握しています。キラーとしてプレイした場合に、期待するほど「自分が強い」と感じられないことはストレスになるからです。
こうした理由のひとつは、日本ではフレンド同士でサバイバーを遊ぶ傾向がさらに強く、非常に組織的かつ戦術的に連携するため、キラー側にとって対処が難しくなることです。私たちはこの課題を強く認識しています。ただし、ひとつのサーバーやひとつの国だけに変更を加えるのは簡単ではないので、解決も容易ではありません。現在も検討を続けています。日本は私たちにとって非常に重要な国ですから、想定したバランス調整がうまく機能していない例として真剣に受け止めています。

田中氏(フリースタイル):
実は私たちも、オバケ側で同じような問題を抱えています。非常に難しい課題なので、新しいゲームモードを試してプレイヤーの満足度を高めるなど、さまざまな方法を検討しています。
ジョゼ氏(Behaviour):
異なる体験やバランスをもたらす新しいモードを追加することは、確かに助けになります。私たちも新しいモードを追加したいと考えており、10周年の際にもいくつか発表しました。ただし、常に意識しているリスクがあります。
新しいモードの追加が、コアとなる体験、つまりメインのゲーム体験で必要とされる改善や作業の代わりになってはいけません。新モードを作ることにすべてのリソースを使い、コア体験の改善がおろそかになる危険と隣り合わせです。私たちは、そのために使う時間と改善のバランスを常に考えています。
例えば「日本でのキラーのバランス問題を直す方法がわからないから、2対8、5対5、1対1、ゾンビモードを全部作ろう」と考えたら、コア体験は永遠に改善されません。これは非常に難しいバランスです。特に小規模なスタジオでは、どこに力を注ぐべきかを慎重に選ばなければなりません。
また、結局のところプレイヤーがそのゲームを好きになった理由は通常、コアとなる体験です。だからこそ、自分たちのゲームの本質を決して失わないようにすべきだと思います。

新モードよりも、コアとなるゲーム体験を守る
──プレイヤーによって求めるものが異なる中で、何をゲームに取り入れるかは、どのように判断しているのでしょうか?
デイブ氏(Behaviour):
普段はジョゼと私で殴り合いの上、決めています(笑)ジョークです(笑)。
田中氏(フリースタイル):
私たちも同じです。私たちもことあるごとにテストプレイをして体験として入れるべきかを開発チーム全員で触ってアンケートも取って判断材料としています。泥仕合ですね(笑)。
一同:
(笑)
デイブ氏(Behaviour):
実際には、先ほどと少し似た答えになります。非対称対戦ゲームの開発は、常に綱渡りのようなものです。異なる役割があり、さまざまな種類のキャラクターがいる場合は特にそうです。ジョゼが先ほど話した分析データに加えて、私たちはプレイヤーの認識をとても重視しています。たとえデータと一致していなくても、プレイヤーがどう感じているかは非常に重要です。さらに、私たち自身の直感もあります。ゲームをどこへ導きたいかという感覚ですね。
私たちは常に、この3つのバランスを取ろうとしています。チームが大きいことは助けになります。それぞれの分野に専門スタッフがいて、議論し、検討し、繰り返し改善しながら、徐々に決定へ近づけるからです。
全員を満足させる唯一の答えが存在しないことは多くあります。最終的には選択しなければなりません。チームとして仕事をしているため、誰かが拒否権を行使しなければならないことはほとんどありません。チームワークであり、多くの意味で民主主義です。
全員がひとつの案に賛成していなくても、議論は最終的にひとつの選択へ収束します。制作を進めるには決断が必要なので、それが最善の選択だと判断できるまで議論します。ジョゼ、そうですよね?

ジョゼ氏(Behaviour):
ええ。私たちにとって素晴らしいのは、デイブが非常に明確なクリエイティブディレクションを持っていることです。それによって全員が同じ方向を向けます。
例えば、常に議論になる問いのひとつが、「このゲームはどこまで競技的であるべきか」です。多くのコンテンツクリエイターは、何千時間もゲームを遊んでいます。そこまで遊ぶと、新たな挑戦が必要になります。進行要素だけでは限界があり、最終的には純粋な熟練や競争性が挑戦になります。
そうしたプレイヤーからは、競技性をもっと高めてほしい、パークのバランスを整えてほしい、トーナメントを開催するためのカスタムゲーム機能がほしい、といった要望が寄せられます。もちろん、私たちはそれらを無視したくはありません。
ただ、私たちは『DbD』を「eスポーツ」よりも「eショー」に近いものだと表現しています。楽しくなければなりませんし、見ていて楽しいからこそ配信にも向いています。一方で、eスポーツそのものを目指してはいません。その種類のゲームになろうとすれば、失敗するでしょう。デイブのクリエイティブビジョンは、その点で非常に明確です。
何千時間もプレイしたコミュニティや大きなコンテンツクリエイターから「もっと競技的な要素がほしい」という声があるため、議論は続きます。ただ、クリエイティブディレクションがあることで、行きすぎてまったく別のゲームを作り、本来得意とする部分まで損なうことを防げます。
もうひとつ付け加えると、幸い『DbD』には400人以上のスタッフが関わっています。ロードマップを作る際には、特定の種類のプレイヤーを無視したくありません。そのため、それぞれの機能が誰のためのものなのかを理解するようにしています。
競技志向のプレイヤー向けなのか。初心者がゲームに入りやすくするためのものなのか。あるいは、より社交的に遊ぶプレイヤー向けなのか。ロードマップを作る時点で、実際に各機能へそうしたタグを付け、どの層に恩恵を与える機能なのかを常に把握しています。
──それほど大きなチームを管理するのは、非常に大変そうですね。
ジョゼ氏(Behaviour):
本当に大変です。中間管理職も多く、ディレクターも大勢いて、さまざまな専門分野のスタッフがいます。決して簡単ではありません。特に大きなチームであれば、どのチームにも当てはまると思いますが、もっと効率的にできることも、もっと上手くできることも間違いなくあります。常に課題です。それでも、このゲームにそれだけ多くの人に関わってもらえている現状を私たちはとても嬉しく思っています。それは特権でもあるので、不満を言うつもりはまったくありません。

非対称対戦ゲームの先輩から贈るアドバイス
──非対称対戦ゲームの先輩として、『オバケイドロ!』チームに何かアドバイスはありますか?
ジョゼ氏(Behaviour):
難しい質問ですね。
デイブ氏(Behaviour):
自分たち自身が信じられるゲームを作り続けてください。そうすればプレイヤーはついてきます。
自分たちが楽しいと思えるものを作っているのであれば、特に非対称対戦ゲームのように、作品数が少なく、まだ発見できることが数多くある分野では、実験と発見を続け、自分たちの表現を信じることで、多くの問題を解決できます。耳を傾けられるコミュニティがあるなら、なおさらです。
なぜこのプロジェクトを始めたのか。その時、何をもっとも大切に考えていたのか。過去の自分を疑う時があっても、その根本だけは常に尊重してください。

ジョゼ氏(Behaviour):
私が考える『DbD』のスーパーパワーは、ほかの非対称対戦ゲームと比べて、ひとつのホラージャンルに縛られていないことです。あらゆるホラーのサブジャンルを表現できます。それは、ゲームプレイの多様性や、プレイヤーに提供できる体験や世界観の多様性にとって非常に重要です。
『オバケイドロ!』について考えると、非対称対戦というジャンルとパーティーゲームが出会った作品だと感じます。よりパーティーゲームに近い。そして皆さんのスーパーパワーは、非対称対戦という枠組みの中に、多様なパーティーゲームの仕組みを持ち込めることだと思います。
完全に正しい例ではないかもしれませんが、『Among Us』や『メイド イン ワリオ』を思い浮かべます。『メイド イン ワリオ』は、素早く対応しなければならない200種類ものミニゲームが登場するパーティーゲームですよね。さまざまな面白い仕組みが次々と出てきます。
『オバケイドロ!』にも、楽しく多様なメカニクスを取り入れ、パーティーゲームらしい感覚の中で掘り下げていける力があると思います。この比較が正しいかはわかりませんが、『DbD』が陳腐化せずにいられるのは、ホラーの中で新しいジャンルや幻想を探求し続けられるからです。皆さんも、パーティーゲームのメカニクスで同じことができるのではないでしょうか。それは非常に興味深い可能性だと思います。
──本日はありがとうございました。『DbD』開発のさまざまな思索を伺えてとても参考になりました。
『Dead by Daylight』はPC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに発売中。PlayStation PlusのゲームカタログおよびXbox Game Pass(PC/コンソール/クラウド)でも提供されている。『オバケイドロ2』はNintendo SwitchおよびNintendo Switch 2向けに発売中だ。
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