講談社クリエイターズラボは10月24日、『ぐちゃぐちゃ 蟠(ルビ:ばん)の章』をSteamで発売した。『ぐちゃぐちゃ 蟠の章』は、女子大生がある山に眠る凄惨な歴史を目撃する、ホラーアドベンチャーゲームだ。本作の時間軸は、少し昔の日本。主人公である女子大生・結城硝子は、飼い犬との散歩中に奇妙な化け物に襲われてしまう。その時にはぐれてしまった愛犬を探しに訪れた歌賀山で、硝子はその土地に隠された過酷な歴史を知ることになる。
本作を手がけるのは、市松人形VTuberの市松寿ゞ謡だ。『GOHOME』で鮮烈なデビューを飾り、配信者としてだけでなくホラーゲームクリエイターとして頭角を現しつつある市松氏。同氏のクリエイティブの源泉や、講談社と組むことでどのような進化を果たしているのか、話を訊いてきた。
──まずは自己紹介をお願いします。
市松寿ゞ謡(以下、市松)氏:
市松人形VTuberの市松寿ゞ謡です。主に音楽とゲームを制作する活動を行っています。
──そもそも……市松人形VTuberとはなんでしょうか!
市松氏:
現実にいる市松人形が自らの姿を写真で撮ってLive2Dで動かして、バーチャルの世界に来たので市松人形VTuberです。なので、正体は市松人形なんです!その市松人形がゲームを作っています。
──市松さんのクリエイター遍歴を改めて教えて下さい。
市松氏:
最初に作ったのは『GOHOME』というゲームです。無料版から始めて有料版も作ったゲームです。無料版の方は、ゲームとは何だろう、ゲームを作るってなんだろうということをゼロから学びながら作っていました。なので、バグまみれで大変なことになっており大変恐縮です……。その次に『夜詛(ルビ:やそ)YASO curse of soirée』というゲームをリリースさせていただいています。
『GOHOME』
『夜詛YASO curse of soirée』
──今開発している『ぐちゃぐちゃ 蟠(ルビ:ばん)の章』について、紹介をお願いします。
市松氏:
『ぐちゃぐちゃ』の構想自体は、ホラーゲームを作り始めたころからあったんです。2作品を開発した経験を経て、ずっと作りたかった念願の『ぐちゃぐちゃ』開発に取り掛かりました。作ってるうちに、シナリオが長くなってしまったので講談社さんと相談して、3部作に分けることになりました。そのため『ぐちゃぐちゃ 蟠の章』は『ぐちゃぐちゃ』シリーズの序章という位置づけになります。
──『ぐちゃぐちゃ 蟠の章』を通してどのような体験をプレイヤーに届けたいですか?
市松氏:
体験としては、怖いものの中にある美しさを感じてほしいと思っています。あとはキャラクターたちを好きになってほしいですね。私が長年煮詰めて、ずっと生み出したいと思っていたキャラクターたちなので。ゲームを楽しみながら、キャラクターたちを可愛がってほしいです。
──可愛がってほしいというのは、主人公に対して襲ってくるような存在も含めて、ということでしょうか?
市松氏:
もちろんです。特に本作はどのキャラクターもみんな愛されるだろうと思って作っています。
『GOHOME』を経て
──市松さんといえば、先程述べた『GOHOME』が印象的です。かなり強烈な作品で、個人の創作性が爆発している作品だと感じたのですが、ユーザー評価もしっかりと高いですよね(Steamユーザーレビュー242件中86%が好評とする「非常に好評」ステータス)。好評の要因はなんだと思いますか?
市松氏:
『GOHOME』に関しては本当に自分が思う10倍、100倍評価されたなと……。
──そんなに自己評価が低かったんですか?
市松氏:
そうです、だってゲーム作りに関してはちんぷんかんぷんの状態の上、自分が思いついたままに作ってたんですから。マンホールを踏んだらテレポートをするというアイデアを思い付いてからキャラクターをテレポートさせる方法について学んだりだとか。
──マンホール踏んだらワープは、強烈なギミックでした(笑)
市松氏:
あれ、何も考えず、面白いからやっちゃおうって実装しまして……。それ含めて、演出に関しても自分がやりたいからやっているという部分が大きくて、ユーザーの視点を考えていないことが多かったんです。だから人気になった時はこんなにいろんな人が遊んでくれるなんて!という嬉しい驚きとともに、1割ぐらいは大変なことになってしまったな、という思いがありました。
──商業的な成功をしたというよりは、作りたいものを作れたという満足感の方が大きかったのでしょうか?
市松氏:
満足していますし、評価をいただけたことも本当に嬉しかったです。ただ今思うともう一回作り直したいという気持ちがすごくあって。あの未熟な状態でたくさんの人に遊んでもらったことに対して申し訳ない、もうちょっとできたなというような思いがあります。
──『GOHOME』『夜詛YASO curse of soirée』を経てクリエイターとしてスキルを得た実感があると。
市松氏:
そうですね、だいぶマシになったと思います。『GOHOME』の時は本当に素人すぎて、『夜詛YASO curse of soirée』の時点でもまだまだといった状態だったので。最近ようやくプログラミングってなんだろうとわかってきた感じです。3Dモデルについてもやっと自分の描きたかったものが作れるようになってきていますし、本作のゲームエンジンであるUnreal Engineの扱いもようやくわかってきています。ブループリントのことが、少しだけわかってきました。
──今回は講談社さんとタッグを組んでの開発ということですが、どのような経緯でタッグを組むに至ったのでしょうか。
講談社 片山氏(以下、片山氏):
市松さんが講談社ゲームクリエイターズラボの第2期に応募されたのがきっかけでした。ずっと作りたいと思っているゲームだという『ぐちゃぐちゃ』の企画書にも興味を惹かれましたし、『GOHOME』の鮮烈なデビューも知っていたので、この作品を作った方と一度お話してみたいなというのが最初の面談でしたね。
──作品が強烈なだけに、話すと丁寧な方で今驚いてます。
講談社 永井氏(以下、永井氏):
わかります!(笑)私もご挨拶させていただく前に『GOHOME』を先に知っていたので、一体どんな方なんだろうと思いながら打ち合わせに挑んだ覚えがあります。実際はすごく丁寧な方でびっくりしました。
グロくしているつもりはない、あくまで見せたいのは世界
──市松さんの作品はグロテスクなものやショッキングな描写が多く登場しますが、こういった過激な描写に関して何かこだわりはありますか?
市松氏:
これは私の考えで、世間とはちょっとズレてるかもしれないんですが……ホラーゲームだからグロくしている、怖がらせたいからグロくしているわけじゃないんです。
──え!?
市松氏:
どちらかというと順序が逆で、私の場合は自分の作ったキャラクターやストーリーなどの見てほしいものが先にあります。それらを受け入れてくれる、好いてくれる人に届けるためにはホラーゲームが効果的だという考え方なんです。
いかに私が美しいと思って作っていても、やっぱりそういうものを好む人は少数派だとわかってはいるので、そういう少数派の人に届けるためにはホラーゲームと名乗った方がわかりやすいのではないかと。怖くしてグロくして、気持ち悪い思いをさせたいというよりは、自分が作ったものを受け入れてくれる層に届けたいという思いです。
──『ぐちゃぐちゃ 蟠の章』のキービジュアル公開時、臓物がメディア掲載NGだったことに残念そうな反応を見せていました。臓物も芸術ですか?
市松氏:
そうですね、芸術だと思っています。特に今回は丸尾末広先生(以下、丸尾先生)という本当に退廃的で美しい絵を描かれる方にキービジュアルを描いていただいたこともあり、「私のゲームのビジュアルがグロいと思われるのはいいんだけど丸尾先生が描いていてもダメなのかあ」という思いが……(笑)ちょっとまだそのあたりの感覚は歩み寄りきれてなかったですね……。
──臓物や血液などが一般的にはグロく見えるということは分かっていつつも、自分のなかでは美しいものだと捉えていると。
市松氏:
そうですね、私は「血液はホラーの華だよね」とよく勝手に言っているんですが、ホラーの世界のなかでこそ血の赤やピンクが映えると考えています。
──『ぐちゃぐちゃ 蟠の章』全体を通して、どのようなゲーム体験があるか教えて下さい。
片山氏:
このゲームは、何かがおこりそうな予感に満ちている前半部分と、恐ろしい殺人鬼に追いかけられる後半部分の大きく2つに分かれています。前後でそれぞれ異なるホラー体験が味わえるのが魅力です。
永井氏:
グロテスクな表現が苦手な方には、後述するCEROレーティングZ指定(18歳以上のみ対象)の件を受けて「安心モード」というグロ表現がないモードも用意されています。
また、個人的に推している「レトロモード」では解像度を極限まで下げることでローポリ風のグラフィックを楽しめるのですが、グロ対策としてそちらを使っていただいても良いかもしれません。
──個人的な覚悟のためにお聞きしたいのですが、『ぐちゃぐちゃ 蟠の章』にジャンプスケアはありますか?
市松氏:
過去2作に比べると、今回はジャンプスケアは少ない、と自分では思っているんですが……。自分では……。
片山氏:
扉を開けたら敵がいた、というようなびっくり箱的要素は今作もありますね。
夜の編集部でテストプレイをしていて、「うわッ!」となったことはあります(笑)
一同:
(笑)
市松氏:
あれってジャンプスケアですか?
片山氏:
一応、そうだと思いますよ(笑)
市松氏:
1人で作っていたころも自分はジャンプスケアだと思っていないまま暴走してしまうことがよくあって……。
──市松さんの作品のジャンプスケアはその自覚のなさゆえに、全力で振り切っているところを楽しむものだと思っているので、期待しています。
ちなみに、表現したいことが先にあってのホラーゲームというお話がありましたが、市松さんが一番表現したいことはなんでしょうか?
市松氏:
表現したいことはストーリー、世界観ですね。『ぐちゃぐちゃ』は私が昔漫画家になりたいと思っていた時期のアイデアが原案になっていて、それを煮詰めて形にしたものを世に出したいという気持ちで作っています。漫画を描きたかったころと同じ気持ちでゲームを作っているかもしれないです。
──『ぐちゃぐちゃ 蟠の章』を楽しみにしているファンに向けて、見てほしいところを教えてください。
市松氏:
主人公を追いかけてくる殺人鬼のキャラクターデザインを見てほしいというのが一番……。
──逃げなければいけないので、そんな余裕はあんまりなさそうですが(笑)
市松氏:
苦手だったらもちろん大丈夫です!あと本作は、ミニゲームにも力を入れていて、可愛らしい感じに仕上がっています。グロいの苦手な方はそういった寄り道要素をいっぱい遊んでほしいかなと思います(笑)
ストーリーの面では、本作では次作以降の展開に向けていろいろな要素が登場します。「これってなんだったの?」というシーンもいっぱいあると思うんですが、次作以降でしっかり解決するので「なんだったの?」と思い続けてほしいです。ファンの方が先の展開を予想してくれたら嬉しいですね。
──『ぐちゃぐちゃ 蟠の章』を作る上で気を付けていることはありますか?
市松氏:
意見のフィードバックは柔軟に行えるように気を遣っています。本作は講談社ゲームクリエイターズラボさんが担当編集として入ってくれているおかげで、自分ではこだわってこなかった操作性の部分などをかなりユーザーフレンドリーに作れたと思います。とにかく普通にちゃんとしたゲームを作りたいという思いが強いです。
──開発のバックアップとして、講談社さんはどのように関わられていますか?
片山氏:
まず、何回プレイしたかわからなくなるぐらいテストプレイを重ねています(笑)先ほどお話にあった操作性の部分では、ゲームをプレイする上でストレスにならないことを目標に調整しています。
丸尾先生のキービジュアルについても、弊社のモーニング編集部が先生と関わりがあったこともあり、担当編集を通じてご依頼させていただきました。最初はダメ元だったのですが、すごく好奇心旺盛な方ということもあって快諾していただけました。ご本人から「(ゲームが)面白そうだね」というコメントもいただいています。
市松さんは小学生のころから丸尾先生のファンということで、キービジュアルを描いてもらいたいという夢を叶えるお手伝いであったり、ゲームとして遊びやすいものにしたりのサポートをしてきました。
市松氏:
講談社さんの協力なしではあのキービジュアルは生まれなかったと思っています。
片山氏:
キービジュアルに関しては市松さんのこだわりが見えたエピソードもありまして、最初に丸尾先生から送られてきた下書きを見て「内臓をもっと出してください」と(笑)
市松氏:
私も譲れないこだわりの部分がいろいろあるので、そういうところも含めてうまく調整していただいているなという感じで……。本当にありがとうございました。
片山氏:
市松さんはキャラクターや世界観、ストーリーを大事にされているクリエイターです。そういった面では映画監督のティム・バートン氏のエッセンスを感じていますね、僕らで勝手に「和製ティム・バートン」と呼んでいるくらいには、キャラクターたちの造形と描写に重きを置いているというか。
尖りはそのままに遊びやすく、音割れもなし
──過去作と比べて今作から追加された遊びやすく改善された点などはありますか?
市松氏:
いやもうほんとに、音がデカすぎないとか……(笑)
※『GOHOME』はリリース当初一部効果音が割れるほど大きく、のちに調整されたという過去がある
一同:
(笑)
市松氏:
そのレベルのことも、1人でやっているとわからないんですよ。「私あんまりイヤフォンとかヘッドフォン使わないしな」と思って……。そういう根本的な部分を見直しました。
──遊んでいて音割れしたゲームは初めてでした。
市松氏:
「音割れ面白くない?」っていう私の独りよがりな発想に、「音割れしんどいよ」「うるさいよ」って言ってくれる人がいなかったんです(笑)そういう私の暴走を見直すようにしています。
──出す作品は独特ですが、世間一般の感覚に寄せようという考え方もあるんですね。
市松氏:
自分の表現したいキモの部分であるストーリーや世界観を曲げずに多くの人に触れてもらうためには、それ以外の部分はなるべくわかりやすいものにしなきゃいけないと思っていて。コンテンツの中身が全部尖っていたら、ごくごく一部の鍛え抜かれた人しか通れない狭き門になってしまう心配があるんですね。やっぱりクリエイターとしてはいろんな人に見てもらった方が嬉しいので、与えなくていい試練はなくていいのではと考えています。
──ほとばしる作家性と冷静な合理性が両立しているんですね。
永井氏:
そうなんです。たとえばテストプレイで遊びにくかったり伝わりにくかったりした点を伝えたときに市松さんは「わかりました!」と受け取ってくださるので、コミュニケーションは非常にスムーズです。逆に市松さんが本当に表現したい部分、曲げたくない部分は遊んでいるだけで「あ、市松さんはこれがやりたかったんだな」と伝わってくるので(笑)、そこはやりたいようにしていただきつつ、お伝えした修正点はスムーズに対応してくださいます。本当に困ったことはないですね。
──永井さんは編集者ではありますが、市松さんのファンでもあるなら、どの目線から見るかが重要になりますね。
永井氏:
そうですね。本作がCEROレーティングZ指定されたことによって、東京ゲームショウのビジュアル公開も制限され、複雑な心境でした(笑)
ファン目線のお話だと、東京ゲームショウの出展が難しいというお話が出たときもすごく悲しかった反面、そういった尖った作品であることにちょっと嬉しくなったことがありました(笑)開発中のビルドを確認しているときも、「市松さんはずっとこれを作りたかったんだ」「内臓がアップで映されてこんなに美しいことがあるんだ」と嬉しくなったり。そういうファン的な視点も持ちつつ、ゲームプレイの面では編集としてサポートできるようにしています。
──仕事中の感情の振れ幅が大変なことになっていそうですね(笑)それに対して片山さんがブレーキ役となるような役割分担なのでしょうか?
片山氏:
たしかに、私の方が冷静な部分はあるかもしれないですね。
市松氏:
ただ、片山さんから「グロ表現を抑えませんか」みたいな指示が来た記憶はまったくなくて。私としてはのびのびと開発できる環境で嬉しかったです。だからこそ東京ゲームショウでCEROレーティングがZで指定されてしまった時は本当に驚きました!!いける雰囲気だったのに!!
──市松さんの奇抜な世界観を作る源泉を教えて下さい。
市松氏:
幼少期に、インターネットや漫画にアニメと、たくさん作品を見たことが大きいです。当時のインターネットからは、今であれば制限がかかって小学生には見せられないであろうものを摂取して育ちました。小さい頃から臓物と親しんだり、検索してはいけない言葉を危険度が高い順に検索したり。ホラーゲームの実況なんかもいっぱい見ました。そういう意味ではインターネットに形作られたようなものですね。
──感受性の高い時期のインプットが強く影響していると。
市松氏:
そうですね。親は基本的にはお堅かったんですが、一度寺山修二氏の『田園に死す』を見せられたことがあって。芸術と主張すれば、多少のエロやグロも許されるんだという考え方のルーツはそこから来ているかもしれません。
それ以外の作品だと、『カードキャプターさくら』や『鋼の錬金術師』には影響を受けています。
──素朴な疑問なのですが、ゲームの開発を始めようと思ったきっかけを教えてください。
市松氏:
今の『ぐちゃぐちゃ』の原案となったストーリーを基に、最初は漫画を描こうと思っていたんです。でも絵が下手すぎて断念して、小説として出すつもりでいて。その後『Undertale』や『Shadow Corridor』を始めとする個人開発のゲームの世界と出会ったとき、「この3Dのクオリティのゲームを1人で作れる時代なんだ!」と衝撃を受けました。ひょっとしたら自分でもできるかもと思い、『Shadow Corridor』に使用されているゲームエンジンであるUnreal Engineの勉強を始めたのがきっかけです。
──今のような個人開発体制ではなく、チームを組みたいと思ったことはありますか?
市松氏:
あります、週1ぐらいで「なんで1人でやっているんだろう……」と思っています。その理由は、誰にも声をかけていないからなんですが(笑)チームでゲームを作っている人たちを見るとすごく羨ましいです。UIデザイン周りなどは明らかに自分が向いていないことが分かっているので担当してくれる人が欲しいのですが、探す時間がなかったりプロジェクトが進み出していたりと、なかなかうまくいきません。
一方で、チームを組めたとしても今私が表現したいことを伝えて納得してもらう時間がどれぐらいかかるんだろうという懸念もあります。なので、チームを組むというよりは外注の方に手伝ってもらう形の方がいいのかなと考えています。みんなで作りあげていく、だと今とまた違った心構えが必要になるのかな、と。
──外注ならリテイクで済むところを、チームだと説得しなきゃいけないですからね。
市松氏:
そうです、話し合いが必要になるので。
──今後そういった展開も視野に入れていますか?
市松氏:
『ぐちゃぐちゃ』シリーズはチームではやらないです。外注で手伝っていただくことはあってもいいかなとは思いますが、チームでやるならまた別のゲームかなと考えています。
──創作活動のモチベーションの保ち方についてなにか意識していることはありますか?
市松氏:
なにかを始めるのは勝手にできちゃう方なんですが、継続するのには苦労していますね。これはVTuberを始めた理由の一つでもあるんですが、「私これ完成させますから!」と周りに宣言することで、約束を守らなきゃいけない状況を作っています。自分の頭に銃口を突き付けるようなイメージですね。ただ、そうは言っても全然別のものを作りたくなる時もあって、そういうときはそっちを先に作って戻ってくるような場合もあります。
──市松さんのこれまでの集大成として、どのような層に遊んでほしいですか?
市松氏:
老若男女問わず、グロがある程度大丈夫で楽しいゲームがしたい人であれば誰にでも遊んでほしいです。あとちょっと恥ずかしいんですが、かつての自分のような人に遊んでほしいという気持ちもあります。自分が見たかったものを作っているところがあるので、そういう人たちに届いてほしいなと思っています。本当は少年少女にも遊んでほしかったんですが……(笑)
──最後に、市松さんの作品を遊んだことがない方も含めてメッセージをお願いします。
市松氏:
ホラーゲームが好きな人にはぜひ遊んでほしいです。ゲーム自体は王道の脱出ゲームですし、ストーリーやキャラクターを純粋に楽しんでもらうために特殊な要素の排除や操作面の改善も行っているので、ホラーゲームに慣れている人にも興味はあるけど遊んだことない人にもプレイしてみてほしいです。
──ありがとうございました。
『ぐちゃぐちゃ 蟠の章』はPC(Steam)向けに10月24日より配信中だ。
[執筆・編集:Daijiro Akiyama]
[聞き手:Sen Yoshikawa]
[聞き手・編集:Ayuo Kawase]