『アトリエ』シリーズや『ファイナルファンタジー』などの開発協力に携わるほか、『グーニャ』シリーズなどのオリジナル作品も手がけるゲームスタジオ・MUTAN。昨年5月には、完全オリジナル作品にも力を入れるブラウニーズを子会社化し、体制をさらに広げた。

そんな両社が現在、幅広いポジションで採用を進めている。しかも今後は、MUTANとブラウニーズを別々に募集するのではなく、ひとつの入り口から応募を受け付け、それぞれの志向や適性に応じてより合う環境を見ていく構想だという。

受託開発とオリジナル開発の両方に取り組み、会社ごとに異なる個性も持つ2社は、いまどんな人材を求めているのか。今回弊誌は、MUTANとブラウニーズの代表取締役である渡邊弘之氏と、ブラウニーズの創業者であり現在は取締役会長を務める亀岡慎一氏にインタビューを実施。採用の背景や仕事の実像に加え、M&Aの経緯、両社の強み、そして今後の展望まで、ときに正直すぎる内容を赤裸々に語ってもらった。

なお、MUTAN・ブラウニーズでは現在、ゲーム開発に関わる各職種を広く募集中である。詳細は求人ページを確認してほしい。

募集ポジション:

【募集人員】
ゲームプランナー
ゲームプログラマー
テクニカルアーティスト
キャラクターデザイナー
背景デザイナー
VFXアーティスト
モーションデザイナー
セットアップデザイナー
3DCGジェネラリスト
UI/UXデザイナー


今だからこそ採用

──ゲーム業界全体では採用に慎重な空気もあるなか、MUTANもブラウニーズも積極的に人を募っています。受託は冬の時代というお話もありますが、このタイミングで採用を強化するのは……失礼かもしれませんが、大丈夫なんでしょうか。

渡邊弘之氏(以下、渡邊氏):
大丈夫です(笑)おかげさまで受託の方は色々やらせていただいていて、MUTANもブラウニーズもどちらもパンパンに開発を一生懸命やっているような状況なので、そこに関してはまったく問題ないです。

──MUTANもブラウニーズも両方しっかり仕事が来ていると。

渡邊氏:
はい、今のところ。

亀岡慎一氏(以下、亀岡氏):
私は……MUTANは何やってるんだろうとなり、気になってときどき見てます(笑)

──ブラウニーズも受託案件を継続して受けられている印象があります。

亀岡氏:
うちはひとつ大きな仕事が入ると全員で一気に回すような体制なんです。逆に仕事がなければ全員に影響が出る、かなりシンプルな会社でもあります。そういう意味では、今のところはありがたいことにお仕事をいただけている、という感じですね。

──なるほど、両社ともに調子がいいと。今回の求人は、つまるところ人が足りないということでしょうか。

渡邊氏:
はい、人が足りないんです。ただ大手さんは給与の水準をアップしていい人材確保を頑張ってやってらっしゃると思うので、我らはデベロッパーは別の魅力をアピールしていかないとちょっと苦しい時代だと思ってもいます。

それでいうと、小中規模のデベロッパーにおいては、自分が中心で活躍していきたいんだという野望を持った若手世代の子を採用するチャンスかなと。たとえば30代前後ぐらいで、そろそろディレクションやそれに近いところで仕事をして、自分の思い描いたゲームを作っていきたいというモチベーションのある層を、うまく採用していけたらいいなという感じですね。

──狙いは伝わりました。では改めて、MUTANはどんな会社だと説明しますか。

渡邊氏:
MUTANは3つの事業部に分かれていて、ひとつは受託開発、もうひとつはオリジナルタイトルを作る事業部、あとはCG制作を中心とした事業部です。

ブラウニーズはオリジナル企画や独自の世界観を持ち込んで大きな仕事につなげていく会社です。MUTANのオリジナル側は自社の体力で勝負していて、外圧が少ない状況でチャレンジができる点がブラウニーズとの違いですね。

MUTANがリリースした『ソフィアは嘘と引き換えに』。Steamでも高い評価を誇る

──MUTANの「いいからゲーム作ろうぜ」という社是が印象的です。これはどこから来たんでしょうか。

渡邊氏:
亀岡さんと同じで私も割とワンマンだったんですが、40人を超えたぐらいの時にいろいろ歪みというか、人間同士のトラブルが多くなってきて。「あんなやつを許していいんですか」といった声が直接聞こえるようになってきました。

それに対して、ゲームを作りたくてここに来てるんだから、あいつが気に入らないとかそんな話はどうでもよくて、君はゲームをちゃんと作ってるのかい、と思ったのがきっかけですね。同じ方向を向かせたくてこの言葉を選びました。

──受託と自社パブリッシングの挑戦比率はどのようになっていますか。

渡邊氏:
私の目指してるイメージとしては、受託90%、オリジナル10%というのが理想の形だと思ってやってます。ただ、オリジナルがどうしても10%より大きくなりがちではあります。20%ぐらいまででいったり。

──オリジナル(自社パブリッシング)の挑戦率が20%はいいことのようにも思えますが。

渡邊氏:
オリジナルは、売れるか売れないか分からないものを作っている、つまりチャレンジだというのが土台にあります。受託は開発して納品するところに対して売上をいただいているんですが、一方でオリジナルは本当に作ってもどれぐらい売れるかわからないし、作り切って売るまで1円にもならないんですよね。

ここのパーセンテージが大きくなっていくと企業的な体力が削られていくので、常に10%ぐらいにしておきたいなとは思いつつも、開発終盤に熱量が高まってきて、ちょうどよく人が空いたりすると勢いで投入し、オリジナルの比率は上振れしがちではあります。

──入社すれば受託でもオリジナルも挑戦できるチャンスがあるというのはいいですね。

渡邊氏:
そうですね、そこが採用では強いところかなと。(ブラウニーズと合併する前の話ですが)我々MUTANの知名度はそんなに高くないのに応募数はかなり多かったので、オリジナルを割とちゃんとやってるというのがいい方向に働いたのかなと思いますね。

亀岡氏:
ブラウニーズについては、基本的にはオリジナルのIPを作ろうと言って立ち上げた会社なんです。オリジナルの企画を持ち込んで仕事をもらうというスタンスで。それなりに大きいタイトルになるとやっぱりIPものに勝てないというか、結果が求められちゃうのでそのあたりのバランスは難しいんですが、基本的にはうちはオリジナルを作っていきたいなと。

4月にも小規模なゲームをリリース


“ダブルチャンス”のある採用方式

──今回、特に来てほしいのはどんな人材でしょうか。

渡邊氏:
特に来て欲しいのは30代や30前後の人で、プロジェクトのリーダーとかディレクション、あるいはチームを率いるポジションを近い将来すぐにでもやりたいというモチベーションがある人ですね。欲しいセクションは、ゲーム開発に関わる職種であれば全部ですね。特設サイトができるので詳しくはそこを見ていただければと。基本的には全職種大募集しています。

——ブラウニーズは2Dのイメージが強いですが、実際は3Dゲームもかなり手がけていますよね。

亀岡氏:
そうですね、2Dメインのスタッフでも3Dはちょっとかじってもらってます。だからもう完全な2Dだけのスタッフというのはいないんじゃないかなと。小さな会社だったので、絵が描けてモデリングまでできる、テクスチャも自分で書いていく、ひとりでだいたい全部できるように育ててきました。

──昨年にMUTANがブラウニーズを子会社化しましたが、それぞれ採用経路はまったく違いますか。

渡邊氏:
今は別なんですが、4月以降は一緒にやっていこうと思ってます。

──なるほど、では入り口は同じで「MUTAN・ブラウニーズ」みたいな感じだと。

渡邊氏:
採用時にMUTANとブラウニーズどちらを目がけてくるのかはそれぞれだと思います。応募者の希望で「ブラウニーズの配属を希望します」と言ったらブラウニーズの基準で選考をします。ただ入り口は一つにまとめて、書類審査から始まって、どこの配属希望なのかを踏まえて選考を進める流れになるかなと思います。

その中で、「ブラウニーズでは採用できないけど、MUTANだったら」という子もいると思うんですよね。その辺は本人とも話しながら「じゃあMUTANでもチャレンジしたい」ということであればMUTANに入ってもらう、みたいなことも今後は出てくるかもしれません。

──ダブルチャンス的な採用ですか。

渡邊氏:
そうですね。

──部署ならまだしも、1つの入り口で会社を2つ選べるというのはかなり型破りな発想ですね。

渡邊氏:
基本的にはどちらかを目がけてくると思うんですよね。ただ一方でダメだったからおしまいじゃなくて、もしかしたらもう一方の会社では活躍の場があるかも、というところをうまく拾えるようにしていきたいなと思ってます。


タイトルやスタッフの傾向は全部バラバラ。だからこそ

──MUTANだからこそこういう経験ができるといったことはありますか。キャリアやスキル面でどこが強みですか。

渡邊氏:
MUTANの方はオリジナル作品の開発も経験できますし、受託の事業部は割とAAAゲームに関われていたりとか。過去の実績を見ていただくと、『ファイナルファンタジー』だったり『モンスターハンター』だったり、人気作もやらせていただいているので、そこは強みですね。

それと、平均年齢も若いので、リーダークラスになるチャンスがある。大きな開発を率いるチャンスもあるというのが、いい経験になるんじゃないかなと思います。

──なるほど、ちなみに両社のスタッフの年齢層はどれくらいなんでしょうか。

渡邊氏:
平均年齢は、MUTANとブラウニーズを合わせて30歳ちょうどぐらいだと思います。上の人もいるけど、若い人も多いですね。

亀岡氏:
そうですね、入れ替わりもあるので若くなってきてます。

──大きなタイトルに携わりたい人は、大手に入る以外の入り方にもなると。

渡邊氏:
そうですね、たとえば某大手ゲーム会社にすごく行きたかった人が中途で30代半ばで入ってきたんです。その時私たちはその会社のゲーム受託で作っていて、その子はその案件ですごい活躍をして、最終的にリーダーになったんですね。

大手さんとやりとりしつつ、MUTAN側のリーダーとして大好きな作品の開発トップになれた、というのはありますね。……まぁ……その子はそのままその大手に転職していっちゃいましたけど。(笑)

──キレイなオチがついてる(笑)

亀岡氏:
良いのか悪いのか(笑)

渡邊氏:
転職は致し方ないので、偉くなって仕事ちょうだいねと言っています(笑)いつかお仕事をいただければOKです。

一同:
(笑)

──MUTANやブラウニーズに、合う人はどういう人だと思いますか。

渡邊氏:
合う人は事業部によって違うかなと。オリジナル(自社パブ)の事業部は、0から1を作りたくて、産みの苦しみみたいなところも含めて楽しめる人がいいなと思います。受託の事業部は皆さんがご存じのゲームを作っているところなので、ちょっとミーハーなところがあってもよくて、ゲーマーの開発者がいいかなと。

ブラウニーズで言うと、世界観とかビジュアルに妥協しない、今までのブラウニーズの流れをしっかり維持・発展していきたいという人がいいのかなという気がします。

──MUTANやブラウニーズで今活躍されている人の特徴やキャラクターの共通点はありますか。

渡邊氏:
活躍してる人は誰ですかね、年代はみんな今30代とかではありますね。どういう人なんだろう。MBTIで言うと「指揮官」「主人公」辺りは多いかもしれません(笑)

亀岡氏:
うちもスタッフみんな同じような性格ではなく、寡黙な人やらなにやら色々いるので、静かに活躍してる感じですね。派手に現場仕切ってバリバリやってるというタイプではないかなと。

──「傾向はないです、みんなそれぞれ違うので」というのは逆に面白いですね。インタビュー向けの回答っぽくはないですが……(笑)

渡邊氏:
当たり前ですが、厳しい人もいれば優しい人もいます。活躍してるトップレイヤーの子たちは共通点がないかもしれないですね。

亀岡氏:
上が「こういう教育しろ」という時代じゃないんでね。部下をこうやって扱えとかそういうのもないので。

──自社パブリッシングのオリジナル作品がいい、受託がいいなど、携わるタイトルの方向性は入社してから選べるんでしょうか。

渡邊氏:
一応希望は聞いて、あとは適性次第です。仮に自社パブリッシングの方に行って、そこで活躍の場のない子は本人も不幸になってしまうので、その辺は見守りながらですね。

──たとえばオリジナルを作るチームに入っても、ずっとオリジナルを作ってきた先輩がいて、その中でコアメンバーになるにはかなりのステップを踏まないといけないというケースも想像できますが、そのあたりはどうでしょうか。

渡邊氏:
そうでもないですよ。というのも、若い方に作ってもらうほうがいい場面があるんですよね。私たちが触ってきたスーパーファミコンやPlayStationの世代じゃない、新しいゲームで育ってきた今時の感性が活きてきたりとか。あとは正直、若い方がコストを抑えて作れるという側面もあります。

業界での経験がある人は受託でも活躍しやすいですしね。オリジナルは柱になる中堅以上の人材はしっかり置きつつも、チーム全体としては若い子たちが入ることが多いです。なので、入ってきてすぐにチャンスがあるのは、むしろオリジナルチームの方かもしれないですね。


「いいからゲーム作ろうぜ」。我が道を行く2社のこれから

──MUTAN自体がもう20期目ですが、今どういうフェーズにあると思いますか。

渡邊氏:
やりたいチャレンジがある程度金銭的な体力を使いながらできるようになってきてはいるので、オリジナルで体力を削っても受託が頑丈な土台になっているというかたちでやっています。オリジナルも道楽で作っているわけじゃなくて、いろんな人に楽しんでもらえるヒット作を送り出したいというのがベースにあります。そこで利益を出して、次のオリジナルゲームもコストをかけてやるというサイクルにしていきたいなと思っています。

オリジナルタイトルにはずっと取り組んでますが、受託の方で土台を作りながら10%だけチャレンジをするというかたちになっているので、ここの10%のチャレンジをオリジナルの売上でしっかりと増やしていけるようにしないといけないなというのが今の課題ですね。

──スタッフが2社合わせて100人ほどいて、100人分の給料を払わないといけないですよね。ドキドキしませんか。

渡邊氏:
……最近はもうあまり考えないようになりました。

一同:
(笑)

渡邊氏:
お金が足りない危機は20代の時に何度も越えているので、足りるように工夫ができるようになったかなと。

──亀岡さんはずっと社長をやられていましたが、そういう時代はありましたか。

亀岡氏:
私は真逆なんですよね。意外と堅実というか、借金とかも無理だし、お金借りるんだったら会社は閉じるというスタンスでした。

あとは全部自分で見たいタイプなので、人に任せられないんですよ。だから全社員を自分が見ないと不安になる。多分渡邊社長はもっと下に管理を任せられると思うんですけど、私はひとりで見るんだったら3~40人が限界でしたね。

──MUTANとしてもブラウニーズとしても、オリジナルゲームの新作は仕込まれていますか。

渡邊氏:
はい、仕込んでいます。MUTAN側でやってるものはまだ企画コンペ段階という状態です。

──ブラウニーズの新作はどういうものを作られていますか。

亀岡氏:
2本ありますが、オリジナルの方は今のところクライアントをつけてないので好き勝手にやらせてもらっています。もしかしたら発表とかもポロっとどこかで言っちゃうぐらいのレベルですね。

──あのブラウニーズの新作と言ったら、絵柄も含めてゲームファンは期待してしまうところもあります。

亀岡氏:
元は私と津田(編注:グラフィックデザイナーの津田幸治氏)が『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』を作ったときの絵柄がうちのカラーみたいになってたんですけど、そろそろ二人とも隠居の年なんで、次の世代に引き継がなきゃいけないなと。なので『トワと神樹の祈り子たち』とかは次の世代に絵面を任せてみました。どういう絵柄がうちのスタイルとして思われているのかなというのはちょっと気になりますね。

──ブラウニーズのゲームは、一見どういうゲームなのかわからないようなユニークなものが多い印象です。

亀岡氏:
自分では普通のもの作ってたつもりなんですが(笑)。でも常に新しい挑戦はしたいと思っています。ただそれも最近はなかなか厳しくて、ユーザーも新しいものを受け入れられないような時代になってきていますが。

──“あのゲームっぽい”が、より好まれる時代ですよね。

亀岡氏:
「ハクスラ系」とか、ジャンルが決まらないとユーザーも手を出さないみたいなのがちょっと悲しいんですよね。PlayStationの立ち上げの頃はおかしなゲームばかりで面白かったんですが。

システムはどこかと一緒で、そのままガワだけ変えるのでは意味が無いと思うので。こういうシステムのゲームをまず作りたいっていうのがあって、そこに世界観を構築するほうが私は面白いなと思っています。

──システムから作られるんですか。

亀岡氏:
システムから考えてます。絵はスタッフに任せておいても良いものを作ってくれるので、中身の方でちゃんと考えていきたいなと。

絵もこっちがこういう絵柄にしろという指示はあえて全然していないです。そういうテイストにしてもらえるならそんな簡単なことはないじゃないですか。そこら辺は難しいので、良い絵を描くスタッフに「もう好きにやっていいよ」という感じでやらせてますね。

──ありがとうございます。あらためて今後の展望をお聞かせください。

渡邊氏:
多分私と亀岡会長の共通点は、「人にやいのやいの言われたくない」というところかと思っています(笑)

亀岡氏:
経営者なんでね。

渡邊氏:
そういう意味で、やっぱりオリジナルでヒットを出すというのは当面の目標かなと思っています。

──バランスを取りつつ進んでいくわけですね。ありがとうございました。

MUTANとブラウニーズは、かなりユニークな立ち位置にあるデベロッパーだ。会社の空気は決して同じではなく、求める人物像もひとことでは括れない。ただそのぶん、受託かオリジナルか、世界観重視か幅広い経験かといった志向に応じて、自分に合う場所を見つけやすい環境ともいえるだろう。率直な言葉が多く飛び交った今回のインタビューからは、真っ直ぐな気持ちと、それでも面白いゲームを作り続けたいという両社の姿勢が、伝わってきた。

改めて、以下がMUTAN・ブラウニーズが現在求めている職種である:

そのほかの職種についても募集中なので、求人ページをチェックしてほしい。

ゲームプランナー
ゲームプログラマー
テクニカルアーティスト
キャラクターデザイナー
背景デザイナー
VFXアーティスト
モーションデザイナー
セットアップデザイナー
3DCGジェネラリスト
UI/UXデザイナー

[執筆・編集:Yusuke Sonta]
[撮影・聞き手・編集:Ayuo Kawase]

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