メカカスタマイズSRPG『鋼嵐 – メタルストーム』は、「メカゲーを遊んでいる」という感覚が常に押し寄せる。重厚な鋼のぶつかり合い体験
我々の肉体活動に鉄分が必要なように、一部の人間は生活に「心の鉄分」を欲する。心の鉄分とは、メカ同士がぶつかり合うことにより発生する栄養。ぶつかり合う時の迫力、音、パイロットのストーリー、背景の世界設定の内容などで栄養素が大きく変わる極めて珍しい栄養となっている。しかし、この心の鉄分、なかなかに摂取が難しい。筆者は最近心の鉄分不足に悩み、いつか来る心の栄養失調に震えていた。そんな時に『鋼嵐 – メタルストーム』というストレートに楽しめるメカゲーのクローズドβがやってきたのだった。おかげで鉄分が一気に補給できた。
『鋼嵐 – メタルストーム』は、HK TEN TREE LIMITEDが国内向けに2024年内にリリースを予定している、メカシミュレーションRPGだ。対応プラットフォームはPC/iOS/Androidで、基本プレイ無料にて提供予定となっている。本日より事前登録受付が開始されている。
本作を遊んでみて何よりも感じたのは、メカシミュレーションRPGとして、重厚なつくりとなっており、ストレートにメカゲーを楽しめたという点だ。戦闘、ストーリー、アニメーション、メカカスタマイズ、どれもが本格的。そのクオリティの高さもあり、戦闘シーンやアニメーションで行われるメカのぶつかり合いに安心し、そして興奮できたというわけである。
序盤からシビれる
本作は、二足型メカ同士の戦闘が繰り広げられるターン制のシミュレーションRPG。舞台となるのは機械工学に大きな発展をもたらした物質「シエラム元素」が発見された植民島、ミハマ島。シエラム元素をもととした素材「シエラム合金」によってさらに機械工学が進化し、二足型メカ「ST」が開発された。
シエラム合金によって発展を遂げたミハマ島だったが、各勢力がシエラム元素を巡り、数少ない資源を争う激戦地と化してしまう。プレイヤーは主人公「カイ・ニューマン」として、仲間、そしてカスタマイズ可能なメカ、STと共にミハマ島での戦いに身を投じることとなる。
とある素材によって機械工学が発展し豊かになるも、今度はその素材が戦争の火種となるという世界背景は悲哀がありながらも、リアリティがある。本作をはじめてすぐ、その話がムービーと共に語られるのだが、本当の記録映像かのようなクオリティでSTが戦闘する姿が映される。この現実味ある映像で描かれるSTの渋カッコよさに筆者は早速シビれてしまった。
STのかっこいいシーンは、ゲームプレイパートが始まってすぐにも存分に披露される。格闘を得意とするカイのSTがパイルバンカーで敵STに重たい一撃を食らわせる瞬間や、カイと行動を共にする女性、ディアナの的確な狙撃シーンなど、ゲーム最序盤から早速渋カッコいい戦闘アニメーションが流れるのだが、筆者が特にシビれたのは戦闘中突如現れた謎の女性パイロット、ローズの戦闘アニメーション。彼女の乗る白いST「XR」から放たれるレールガンの攻撃で敵STの軍勢が一気に壊滅。「か、かっけぇ~……!」と思わず声が漏れ出る筆者。完全に本作に心をつかまれた瞬間だった。
ムービー、アニメーションのクオリティが高い本作だが、筆者がプレイしたのが美麗なグラフィックでゲームが楽しめるPC版だったというのも大きいだろう。PC版ではメカのダイナミックな動きから爆発や砂煙などのエフェクトまで美しく表現されるため、ただでさえカッコいいムービーがさらに没入感を増している。
また、本作はiOS/AndoroidとPC版のマルチプラットフォームでの提供となっており、アカウント共有も可能だ。ちょっとした時間で、スマホでサクッとミッションを進め、時間が出来たときには、PCで腰を据えてじっくりストーリーを楽しむといった自由なプレイスタイルが楽しめるのも本作のいいところ。スマートフォンでカジュアルに遊ぶのもいいだろう。しかし、本作はムービー、アニメーションにかなりこだわりを感じる一作となっており、それをじっくりと楽しみたいプレイヤーは、迷わずPC版をプレイしてほしい。
メカゲーを遊んでいるという感覚
ゲームを始めて早々、ムービー、アニメーションのクオリティの高さ、そしてSTのカッコよさに心を掴まれた筆者だったが、そこからさらに進めていくとじわじわとシミュレーションパートの面白さに気づかされる。本作はSRPGとしてはもっともスタンダードな形であろう、マス目状に仕切られたフィールドが舞台のターン制シミュレーション。いわゆる王道スタイルのゲームプレイを楽しむことができるのだが、本作ならではの様々な要素が戦闘の駆け引きをさらに面白くしてくれる。
その中で特にこのゲームを大きく印象付け、メカゲーならではの要素が、「部位破壊」システムだ。本作に登場するSTは「頭部」「右腕」「左腕」「足」の4つのパーツで構成されており、それぞれに耐久値が割り振られている。
パーツは破壊されると、STの機能が低下することとなる。頭部は0となったらSTが戦闘不能になるが、耐久度は高い。左右の腕は片方が破壊されると、使用不能になり、破壊された部位に装備している武器が使えなくなる(両腕武器だった場合、命中率が降下)。耐久度こそ低めなものの、片腕を壊した程度じゃ致命傷は与えられない。そして足は破壊されると移動力が大幅に減少する。が、遠距離武器主軸のSTであったら、壊してもメリットは少ない。
このようにパーツごとにメリット・デメリットが存在しており、さらに敵・味方STどちらにもこの要素は適応されるため、駆け引きが生まれてくる。STの攻撃が強力であれば腕を破壊したいし、迫りくる軍勢を止めたいのであれば足を破壊したい。できたら頭部を破壊していきたい。しかし本作、通常の攻撃ではパーツを狙って攻撃することができないのだ。そこで役に立つのが「APシステム」だ。
APシステムは、STの操縦士はそれぞれ職業とAPがあり、戦闘にてAPを消費してそのキャラクター固有、もしくは職業ならではの特殊アクションができるというシステムだ。例えば、主人公のカイの職業は「格闘家」となっており、近接戦闘を得意とし、APを消費すれば腕を狙った攻撃が可能。最序盤から使えるディアナの職業は「狙撃手」で、APを消費すれば特定の部位を狙撃することが可能だ。ほかにも修理ができる「整備士」や、耐久値が高く、STを守る「守護者」など職業と特殊アクションはさまざまとなっている。
狙撃時の部位攻撃にもただならぬこだわりを感じる
なので、部位を破壊したければ、格闘家や狙撃手を使用し、APを消費すれば攻撃が可能。しかし、APも回復はするものの限りがあるため、無闇矢鱈に使えないというのが悩みどころ。この部位破壊とAPシステムが戦闘に駆け引きを生み、戦闘に緊張感を走らせる。
さらに、操縦士は育てると使える特殊アクションや、条件下で発生する特殊効果が増えていくので、さらに駆け引きを加速させる。カイは育てると部位を破壊するごとに再攻撃が可能となり、ディアナは頭部を破壊すると再行動が可能となる。
筆者はこれを組み合わせ、カイをまず敵陣の最前線に送り込み、部位を破壊。再攻撃で敵STの部位を順番に破壊し、最後は頭部に一撃。そしてディアナで弱った頭部を狙撃。頭部が無事破壊されたらディアナは再行動で、さらに他STを攻撃、次のターンで弱った部位をカイが攻撃……という戦術を編み出した。バーサーカーの如く敵の部位を破壊しまくるカイと弱ったSTの頭を必ず撃ち抜くディアナ。このコンビネーションがなんとも気持ちよく、ついつい使ってしまう定番戦術となってしまった。
お互いに部位破壊ができることで生まれる駆け引きや、戦術の多様性は、メカ同士が戦う本作だからこそできる要素だろう。そのため、本作を遊び、駆け引きや戦術を楽しんでいると「メカゲーを遊んでいる」という感覚が呼び起こされる。筆者が本作をストレートに楽しめるというのもこの感覚があるからこそだろう。
メカいじりも忘れるな
「メカゲーを遊んでいる」という感覚は戦闘システムだけではない。やっぱりメカゲーでいえば忘れてはならないのは、楽しいメカいじり……STのカスタマイズ要素だ。本作は上述したとおり、頭部、左右腕、足の4パーツが存在するのだが、カスタマイズパートでももちろん、パーツそれぞれをカスタマイズすることが可能。パーツの能力値と、STが搭載できる重量を確認しながら、好きなパーツをつけていくのがこれまた楽しい。攻撃力高い武器を持つ腕は耐久度高めにしたいけど、能力が高いのを選ぶと重量がかかるので、変わりに足を軽めのものにするなどのプレイヤーの戦術に合わせて、熟考してSTを改造していくのだ。
また、武器も自由に持ち替え可能となっているので、マシンガンをショットガンにしたり、小盾を持ったりと自由自在。筆者のカイは、片腕に装備していた初期装備のショットガンを捨て、両腕を使い巨大な近接武器を装備。近接特攻STにすることで、戦闘でより輝く存在となっている。また、肩にキャノンや背中にレールガンを装備することも可能。強力な装備なのだが、どちらも非常に重量があるため、装着するときはどこかのパーツが犠牲になるだろう……。
近接特攻バーサーカーのカイ
この豊富なカスタマイズに頭を悩まされ、パーツ一覧を見ながら何度も装備を付け替えることとなるのだが、この自由さと制限が本作のメカいじりの楽しいところ。さらに本作はパーツのレベルアップやランクアップのシステムもあり、思わず鼻息が荒くなる。メカいじりは一度始まったら止まることは早々ないのだ。
塗装でさらに興奮
豊富なパーツからなるSTのカスタマイズで思わず興奮してしまうが、そこにさらなる(嬉しい)追い打ちをかけるのが本作の塗装要素。メカゲーといえば作り上げたメカに自分だけの色を反映することができる塗装は注目されがち。塗装がどれだけ細かくできるかで自分の想像したカッコいいメカをどれだけ再現できるかが変わってくる。本作の塗装要素は……かなり細かい。これは嬉しい。
まず、設定できる塗装のカラーバリエーション。赤、紫、青といった原色だけでなく、暗めの赤や明るい水色などグラデーションのように細かく色が用意されてることはもちろん、メタリックや、光沢といった特殊なバリエーションも用意されており、新品風の美しいSTを作ることだって可能だ。また、色はSTのパーツや細かな部位ごとに設定が可能。さまざまな色を織り交ぜたSTも作れるし、一色で染め上げ細かなラインだけアクセントで別の色が入っているといったこともできる。大まかに部位ごとのカラーのパターンを決めることもできるため、どれだけ塗装にこだわるかはプレイヤー次第だ。
筆者はベースカラーを黒にし、頭部周辺を赤、アクセントでラインに青を入れてみた。
さらにSTにワンポイント貼り付けることができるエンブレムも本作には存在する。メカカスタマイズで熟考して作り上げたSTを次は塗装とエンブレムでさらに熟成させるというわけだ。これをワンチーム分作っていたら、時間がいくら合っても足りっこない……!
気持ちいいところ強めに押してくれる
このように『鋼嵐 – メタルストーム』は、さまざまな要素が本格的で、際限なくメカゲーとしてストレートに楽しめるような作品となっている。本作、メカをテーマとしたどっしりSRPGとして、どこをこだわって、何を充実させればメカ好きは喜ぶのか、ということがよくわかっている。我々のツボを理解しており、変なツボは刺激せず、気持ちの良いところだけを刺激してくれる。さらに、その気持ちの良いところをこれでもかと強めに押してくれる。筆者はそのストレートさにガッツリと心を奪われ、本作にのめり込んでしまったのだ。
そんな本作、現在正式リリースを控え、事前登録者を募集中。事前登録することで、強力なSTや限定エンブレムなど、以下のアイテムがゲットできる。
·選べるAクラスST(ワニガメ、ロードランナー、オーロラのいずれか1機)
·事前登録記念限定エンブレム
·運航許可証×3
·初級戦闘映像×10
また、事前登録者が増えるとさらに報酬も豪華になるため、ストレートなメカゲーという文言に惹かれたのであればぜひ事前登録していただきたい。