『ファイナルファンタジー IX』Nintendo Switch版が、日・米・英でeショップ首位を独占中。発売から19年を経て、再び脚光浴びる

 

スクウェア・エニックスは2月14日、『ファイナルファンタジー IX』をNintendo SwitchおよびXbox One向けに配信開始した。価格は税込2500円で、ダウンロードでの販売となる。同作はもともと2000年にPlayStation向けに発売された作品。近年になり、リマスターに近い形でスマートフォンやWindows(Steam)、PlayStation 4で配信されていた。そして2019年2月14日にNintendo SwitchおよびXbox One向けに移植されたわけだが、リマスターの移植とは思えないほどの好調な滑り出しを果たしている。

具体的にどのように好調なのかというと、2月14日に配信されて以来、『ファイナルファンタジー IX』は日本とアメリカ、そしてイギリスのニンテンドーeショップの売上ランキング首位を走っている。首位を“維持し続けた”のかは計測手段がないため断言できないが、少なくとも配信開始から12日が経過した2月26日20時現在、前述3国の首位に君臨している。

興味深いのは、これらのチャートは「ダウンロード専用ソフト」だけでなく「すべてのソフト」を対象としたランキングでも首位に居座っていること。今年の2月は、Nintendo Switchではほかの月に比べると有力タイトルは存在していないので、そうした背景を考慮する必要があるが、それでも『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』や『マインクラフト』といったタイトルの上をキープし続けているというのは、特筆すべき現象だと言えるだろう。eショップチャートでは、総額ではなく売れた数でランキングが決められる。2500円という価格だから首位なのではなく、単純に多く売れているのだ。首位というわけではないが、Microsoft StoreのXbox One向け「トップ有料ゲーム」のチャートでは、同作が5位にランクインしており、こちらも好調であることが確認できる。

『ファイナルファンタジー IX』は、シリーズナンバリングタイトル9作目にあたる作品。主人公は、タンタラス団の団員ジタンだ。アレクサンドリア王国の王女ガーネットを誘拐しようとしたところ、偶然にもガーネットもまた国を出ることを望んでいた。奇妙な利害の一致により始まった旅は、クリスタルをめぐるこの星の壮大な運命に巻き込まれていく。リマスターにおいては、キャラクターやプリレンダムービーが高解像度化されているほか、高速モード、敵出現無しなどの7種類のブースト機能を実装。オートセーブなども搭載されており、美しくなりながらも遊びやすく蘇ったわけだ。

『ファイナルファンタジー IX』の制作においては「原点回帰」が掲げられていたといい、初期作品と同様に「クリスタル」が重要な意味を持つ作品として発売された。それまでSF色が濃かったシリーズから一転、ファンタジーRPGとしてデザインされている。どこか懐かしいファンタジー世界を舞台に展開される、自らの信念を持ち真っ直ぐな性格のジタンを中心とした物語に、心を打たれた方も多いのではないだろうか。実際同作は海外人気も高いようで、RPG専門のメディアRPG Siteが2017年末に『ファイナルファンタジー』シリーズ30周年を記念し、アンケートを実施。3週間にわたり実施した数千集まったアンケートの結果では、『ファイナルファンタジーIX』は『ファイナルファンタジーVII』に次ぐ2位にランクインしている。上位3作品だけでアンケート票数の約半分を占めたという結果は、『ファイナルファンタジーIX』の人気ぶりを説明している。

一方で、オリジナル版は戦闘におけるロード時間の長さや、演出を重視した戦闘テンポの悪さが指摘されていた。スマートフォンを皮切りに配信されたリマスター版においては、前述したように、オリジナル版の課題に取り組まれており、快適に遊べるような機能が加えられている。内容自体は他機種版と変わりないようであるが、これまで任天堂ハードおよびXboxハードで発売されてなかったことや、Nintendo Switchでは携帯モードで遊べることなど、さまざまな理由が重なり、多くの人々に遊ばれているのだろう。

スクウェア・エニックスの広報担当者に、今回の件についてコメントを求めたところ、「おかげさまでご好評いただけているようで大変うれしく、またありがたい気持ちでおります。改めて、FINAL FANTASYが世界の皆様に愛されているという事を認識いたしました。この後も3月、4月とFFVII、X/X-2、XIIの発売(配信)が続きますので、楽しみにお待ちいただければと思います。」との回答をいただいた。各国のeショップ上位を独占する現状ついては、同社も手応えを感じているのかもしれない。

『ファイナルファンタジー』の移植は今後も続き、Nintendo SwitchおよびXbox One向けとしては3月26日に『ファイナルファンタジーVII』が配信予定。続いて、『ファイナルファンタジーX/X-2 HD リマスター』は4月11日、『ファイナルファンタジーXII ザ ゾディアック エイジ』は4月25日に配信予定。これらの作品もまた、ニンテンドーeショップおよびトップ有料ゲームのチャートを賑わせそうだ。

 

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