『League of Legends』2016年初の新規チャンピオン「Jhin, the Virtuoso」を発表


Riot Gamesは1月13日、2016年初の『League of Legends』新チャンピオンとして「Jhin, the Virtuoso」を発表した。「Virtuoso(名手)」の二つ名を持つこの男性チャンピオンは、独特なフォルムの銃「Whisper」で遠距離攻撃を行うキャラクターであり、チャンピオン分類としてはマークスマンとなる。通常攻撃で敵をキルしオブジェクティブを獲得する役割であるマークスマンには、継続的にダメージを与え続けることにフォーカスした特性のチャンピオンが多いが、性能紹介によるとJhinはそのような継続的なダメージ出力には欠けており、能力を交えたバーストダメージ出力に長けたチャンピオンで、ADアサシンのように能力と通常攻撃の両方を駆使していくようだ。

“「奴らがやめろと言うまで、おれの仕事は続く。おれに選ぶ権利はない」
Jhinは殺人を芸術と信じる、細かい性格のサイコパス犯罪者だ。かつて彼はアイオニアの囚人だったが、アイオニアを支配する議会の暗部によって釈放され、現在は結社の手先として暗殺を行っている。彼は銃を絵筆とし、犠牲者と観衆の背筋を凍らせる、芸術的残虐行為の結晶を作り出す。恐怖という最強のメッセージを送る最高の選択肢である、歪んだ殺戮劇から、Jhinは残酷な快感を感じている。”
(PBEに1月14日実装されたキャラクター設定より)

Jhin発表に先駆けて公開されたティーザー。燃え散るバラの花びら、銃、体から育ちゆく木をまとう男性が描写されている。

 

Jhinの能力

lol-new-champion-jhin-the-virtuoso-001Jhinの特徴は、なんといっても手にした銃「Whisper」だ。昨年のマークスマン群のアップデートでリメイクされたGravesのように、この銃には装弾数が設定されており、メリットもあるが、特殊なデメリットも存在する。基本的に各種能力は物理ダメージを与えることに特化されているが、罠を設置する能力もあり、状況によって能力の組み合わせを考えていくことが求められるマークスマンだろう。使用リソースは「マナ」となっている。


ユーザーからJhinのポジションについて聞かれ、JhinのチャンピオンデザイナーであるGypsylord氏は「JhinはBotレーン・デュオのマークスマンとしてデザインしたが、Midでも非常に良いプレイができる感触はある」とコメントしている。


注:以下に掲載する能力詳細は、1月13日現在発表されたものと1月14日にPBEに実装された性能から引用。

lol-new-champion-jhin-the-virtuoso-002パッシブ: Whisper
Jhinの銃である「Whisper」の弾丸装填数は4発で、最後の弾丸は常にクリティカル攻撃となり、対象が失っている体力にもとづいて追加ダメージを与える。4発全てを発射し終えると、リロードにはしばらく時間がかかる。
Jhinのクリティカル攻撃は通常よりもダメージが低く、攻撃速度の伸びも通常より悪い。その代わりにJhinは、アイテムやルーンによって稼いだ攻撃速度およびクリティカル確率から通常攻撃ダメージを増しており、クリティカル攻撃が起こると攻撃速度にもとづいて移動速度が瞬間的に増す。

このパッシブが、Jhinの扱いづらさの原因となっている。ほとんどのマークスマンは継続的に攻撃を行うことで敵を削っていくが、Jhinの攻撃は、敵への攻撃機会を厳選した時に輝く。レーンでは、貴重な弾丸はラストヒットのために温存するのがいいだろう。常に残弾数を把握し、4発目の最も危険な弾丸を、レーンの相手に叩き込んでやるのだ。Jhinの通常攻撃射程はそれなり(550ユニット)であり、通常攻撃でのハラスはそれなりに可能だ。
 
lol-new-champion-jhin-the-virtuoso-003Q: Dancing Grenade
Jhinが対象の敵の近くに弾筒を投げる。地面に落ちると、弾筒は付近の敵に対して最大4回まで跳ね返ってヒットする。Dancing Grenadeで敵をキルすると、それ以降の跳ね返りに追加ダメージが発生する。

レーンでは、安全にラストヒットを取るために使うとよい。敵ミニオンと敵チャンピオンの位置が近ければ、効果的なハラスにすらなるだろう。集団戦においては、密集した敵たちにまとめてダメージを与えることができる。射程はあまり長くはないので、自衛や反撃、確定キルの状況など、ここぞという時に使うのがポイントだろう。
 
lol-new-champion-jhin-the-virtuoso-004W: Deadly Flourish
固有スキル:Jhinの通常攻撃、Captive Audience(E)もしくはJhinのチームメイトの攻撃を受けた敵チャンピオンには、マークが数秒間つく。
発動効果:Jhinが指定方向に敵ミニオンと敵チャンピオン1体にまで及ぶ超長射程の射撃を行う。既にマークがついているチャンピオンがこの射撃に当たった場合、4秒間のrooted(スネア)を受け、Jhinの移動速度が瞬間的に増加する。

このDeadly Flourishは、Jhinの立ち回りの鍵となる重要な能力だ。マークがついた敵チャンピオンにこの射撃が当てれば、動きを止めることができる。マークスマンはcrowd control手段に乏しく、発動条件も若干厳し目ではあるが、BotレーンでSupportとともにプレイしたり、味方Junglerとうまくコンビネーションを図ることによって、スネア発動を起点としたバースト攻撃がうまく決まるだろう。また移動速度が増加するため、Jhinは追撃戦も得意だ。スネア→追撃→通常攻撃4発目の確定クリティカル攻撃、という流れを意識することが、Jhinの基本行動となる。
 
lol-new-champion-jhin-the-virtuoso-005E: Captive Audience
Jhinが蓮の花の形をした罠(Lotus Trap)を地面に設置する。罠は設置後透明になる。敵チャンピオンがこの上を通ると罠が発動し、視界を取るとともにDeadly Flourish(W)のマークをつけ、周囲にスロウを与える大きな空間を作り出す。その後しばらくすると、罠は爆発し、爆発に巻き込まれた敵全員にダメージを与える。
固有スキル「Beauty in Death」:Jhinが敵チャンピオンをキルした場合、キルされたチャンピオンがいた場所に罠が出現し、爆発を起こす。

TeemoのultimateとCaitlynの罠を足して2で割ったような性能の能力。罠そのものがWardのように視界を取ることはできないようだ。この罠を重要オブジェクティブの周囲、敵が通るであろうルート上に設置すれば、ドラゴン等のオブジェクティブの獲得競争において大きな優位を取れるだろう。レーンでは、自タワー方向へ後退する前にこれを設置しておけば、罠に引っかかった敵チャンピオンをスネアさせてそのままバーストでキルするということもできる。味方JunglerのGankの補助にも適している。いっしょに行動しているチームメイトにcrowd controlが豊富であれば、敵が罠を踏んだ後の爆発も、ダメージ源として期待できるだろう。スネアの起点として、また視界を取るユーティリティとして、非常に使いでのある能力といえる。
 
lol-new-champion-jhin-the-virtuoso-006R: Curtain Call
Jhinが武器を完全に組み立ててから指定方向へと狙いをつけると、マークがついた対象全員のいる広範囲の視界を取る。その後、敵チャンピオンに当たるとそこで止まる貫通射撃を4回行うことができる。敵チャンピオンに射撃が当たると、スロウおよび対象が失っている体力にもとづいたダメージを与える。Curtain Callの4回めの射撃は、大きくダメージが増加するとともに、確定でクリティカル攻撃となる。

Curtain Callは、Jhinが準備を終えて狙撃場所を確保できれば、オブジェクティブに対して大きな影響を及ぼすことができる。この能力の射程は超長距離だが、操作できるのは角度だけであり、索敵を進めつつ考えるための要素を与えてくれる。近距離で狙撃を始めてしまえば、すぐに手痛い反撃をもらってしまう。敵からの距離が遠すぎれば、せっかくのultが無駄になってしまう。十分な備えをしておかなければ、戦闘が起こっている場所が移動した際に視界を失うリスクもある。正しい位置に着けば、戦闘場所が移る前に遠くから全てを破壊し尽くし、戦いを終わらせられるだろう。

また、集団戦でのJhinには、2つの戦略的選択肢がある。戦闘の最初に姿を現すか、最後に出てくるか。言うまでもなくこれは、ultをどう使うかということと直結している。チームメンバーといっしょに行動することを選んだ場合、Jhinはいわゆる後衛に着くこととなり、もろい仲間を守るために罠を設置しつつ、マークがついた敵に対してDeadly Flourishを当てていく立ち回りになる。敵チームが撤退を始めた時、JhinがWhisperを組み立てるための完璧な位置取りをしていれば、Curtain Callでの残敵の掃討が可能になる。一方で、早い段階で最初にultを撃ってしまうという選択肢もある。こうすると、少なくとも最初は集団戦に参加しないという変わった戦法を取ることになる。集団戦の序盤は、数の有利を取った敵チームが暴れまわるかもしれない。Curtain Callは体力が多く残っている敵に対するダメージは低いが、付属効果のスロウは敵前衛の移動を妨げ、Jhinのチームメイトたちから逃げる手段を持たないもろい敵たちを足止めできる。さらに重要なのは、敵のフォーメーションを崩すという要素だ。もろい敵は肉厚なチャンピオンの背後に隠れようとし、肉厚な敵は脆いチャンピオンをカバーしようとするはずだ。Ultで敵を仕留められなかったとしても、Deadly Flourishのマークがついた敵の動きを止めることができるので、味方が速やかに敵を一掃してくれることだろう。

 

コンビネーション、カウンターなど

チームを組むと良いコンビネーションが期待できるチャンピオンとしては、Darius・Nautilus・Morganaが挙げられている。JhinはDeadly Flourishによる対象拘束やCurtain Callといった能力で、Dariusの短所を補い、ダメージ出力を上げることができる。Crowd controlの塊であるNautilusは、スネア・ノックアップ・引き寄せ・スロウといった能力で、Jhinに近づこうとする敵を寄せ付けない。こうして守られたJhinは生き延びることができるのはもちろんだが、安全な距離に逃げるよりも、敵に近づいて通常攻撃でどんどんダメージを与えることができるようになるだろう。Support MorganaとJhinの組み合わせは非常に強力で、MorganaはJhinが敵にマークをつけるための信頼性の高い手段を数多く持っている。Dark Bindingでの足止め、Tormented Soilでのハラスからのマーク付与により、お互いにバーストダメージを与えるための起点となることができる。

苦手なチャンピオンとしては、「バーストダメージ耐性」「肉厚さと拘束力の両立」「機動力」といった特徴を持つYasuo・Jarvan IV・Lucianが挙げられている。Jhinの強さは4発の弾丸に集約されているため、その内の1~2発を無効化してしまうチャンピオンというのは、短時間のダメージ出力を半減させてしまうということだ。YasuoはWind WallでJhinの通常攻撃を遮り、返す刀であっという間にJhinを切り伏せてしまうだろう。4発の弾丸というのは、多くの場合敵を倒すのに十分ではあるが、旗をもって縦横無尽に駆け抜け、JhinをCataclysmに閉じ込めてしまうJ4を倒すには足りない。LucianはJhinにとっての大きな悩みの種で、Relentless Pursuitによるダッシュで方向指定能力による攻撃のほとんどを回避できてしまう。またLucianには豊富なバーストダメージもあるため、通常攻撃が弱いJhinにとっては天敵というほかない。

最近の新規マークスマンチャンピオンとしては、KalistaやKindredといった癖の強いチャンピオンが挙げられるが、今回発表されたJhinも癖が強く扱いづらいチャンピオンと推測される。個々の能力はコンボ性が高い上にダメージに特化しており、状況に合わせた組み合わせで敵を圧倒できればとても気持ちのいいキャラクターのはずだ。プロによって最高の戦術が駆使される公式試合での活躍も期待できる。実装が待ち遠しい新規チャンピオンである。

Jhin愛用の銃「Whisper」。Ultimate使用時には、長大な銃身を持つ対物ライフルのような形へと組み上がる。
Jhin愛用の銃「Whisper」。Ultimate使用時には、長大な銃身を持つ対物ライフルのような形へと組み上がる。