Steam据置ゲーミングPC「Steam Machine」を1週間使ってみた感想。結論は「ザ・アベレージ・スペック・マシン」

この記事ではSteam Machineの操作性と使い心地、OSの互換性とパフォーマンスについてお届けする。

Steam Machineとは、Steamの運営元ことValveがお届けするリビングのためのゲーミングPCだ。2026年6月23日より早速発売開始されている。Steam Machineとはなにか。ずばり、「据置ゲーム機っぽいPC」である。以下の3点が特徴である。

・PCなのに、ゲームコントローラだけで操作できる
・Windowsでない独自OSによるソフト互換性
・LinuxのデスクトップPCとしても使える

本レビューは2本に分かれており、この記事ではSteam Machineの操作性と使い心地、OSの互換性とパフォーマンスについてお届けする。もう1本の記事はこちらのリンクから読める。

まずは外観を紹介しよう。PCといってもSteam Machineはほぼ立方体で、まさに箱の様相。今回のレビューでは、ValveよりSteam Machine 2TB SSDモデル、Steam Controllerが同梱、オマケでSteam Machineのプレート(木目、赤フェルト)を試遊させていただいた。筆者の手元に本格的な撮影環境がないためややお見苦しいライティングとなっているが、比較の参考としてSteam MachineをMac mini、Nintendo Switch 2、Xbox Series S、PS5初期型と比較した。

公式サイトの仕様によると「高さ152mm(脚を除くと148mm)、奥行き162.4mm、幅156mm」とあるが、なかなか人間の家屋にここまで立方体なオブジェクトはないため想像しづらいかもしれない。高さ・奥行き・幅がそれぞれ15cm定規ぐらい、あるいはiPhoneと同じぐらいの長さだと想像していただければよいだろう。

参考までに、筆者のゲーミングPCは体積が50リットル、そのほか市販のゲーミングPCは最安値でも体積40リットルといずれもデカブツなのだが、Steam Machineは体積3.85リットル。体積が相場のゲーミングPCの10%近くというのは、そうとうにコンパクトなサイズ感だ。Steam Machineを机の上においても邪魔になることはなく、テレビのそばに置いてあって違和感のないモノとして設計されている。

Steam Machineに同梱されているSteam Controllerについては弊誌に個別のレビュー記事がすでに掲載されているが、筆者の見解としては「いつもどおりのゲームコントローラ」だ。つまり、すでになんらかのゲームコントローラを触ったことのある人であればそのまま使えるということで、普段使いの品として申し分ない品質。有線接続も無線接続もできるので、お好みのスタイルでいこう。

なお、Steam MachineはNintendo Switch 2のPro Controller、PlayStation 5のDual Sense、Xbox Series X|SのXboxコントローラなど各主要ゲーム機のコントローラを挿して使うこともできる。しかし、ところどころSteam Controllerのトラックパッドが必要になる機会が来るので、よほどのこだわりがなければSteam Controllerをメイン使いにするのがいいだろう。これについてはのちほど詳細を説明する。

ゲーム機のような使い心地≒コントローラ操作

一般的に、PCのサービスはマウス操作で使いやすいように構成されている。なんらかのブラウザおよびウェブサイトのレイアウト、およびライブラリとして標準的な形。おおよそPCは利用者の目とモニターの距離が近いことから、全体的に細かく構成されていて、マウスでポインティング・クリックすることを前提に作られている。

しかし、ゲームのコントローラでPCと同じものは操作できない。ゲーム機はコントローラで操作できるよう、レイアウトをシンプルに調整している。SteamOSは、同様にSteamのレイアウトをゲーム機のようにシンプルにしたものである。

なにも難しいことはない。Steam Machine起動したらゲームのサムネイルがならんでいて、スティックや方向キーでゲームを選び、ボタンを押してゲームを起動させるだけ。まったくもってゲーム機そのものだ。ただし、カテゴリー分類や起動オプションで凝ったカスタマイズや設定を組めるのは、PCっぽさが強く残っている。

ストアを開けば、キーワードを入力してゲームを調べることができる。ただし、ストアを開いているのに「すでに持っているゲームとまだ持っていないゲームを、見分けがつきにくい状態で並べる」というUIは、ほんとうにこれが検索性に優れているのか甚だ疑問が残る。ユーザーがストアのページを開いているのであれば、まだ持っていないゲームを優先的に表示すべきではないだろうか。とはいえ、Steamのゲームをすでにそれなりの数を持っている状態であれば、Steam Machineでわざわざストアを閲覧する必要性も薄いだろう。

実はこれらのゲーム機風UIはSteam Machineオリジナルではない。Steamの右上にあるテレビのようなアイコンをマウスでクリックすれば、Steamのゲーム機のようなUI「Big Picture」をふつうのPCでも使うことができる。むろん、あなたのPCに入っているSteamでもできるので、Steam Machineを使っている気分を味わいたかったら、ぜひこの記事を読み終わったあとに押してみてほしい。

もともとBig Picrureは2015年に出た昔のSteam Machineに合わせて用意された機能であり、今のBigPictureのベースは2022年のSteam Deckに合わせてリニューアルしたものだ。そのため、Steam Deckをすでに使っている人であれば「ほぼ同じ」だととらえていただいてよい。Steam Deckを2022年から所持している筆者にとっては、むしろ顔なじみのUIだ。

余談ではあるが、Steam公式の開発者向けドキュメントでSteam Machineの項目では「Steam Machineの互換性を確保する最良の方法は、Steam Deckとの互換性に取り組むことです。 あなたのゲームがDeckで問題なく動作する場合、特別な作業なしでMachineでも問題なく動作します。」と書かれており、詳細な項目もすべてSteam Deckのページにリダイレクトされる。Steam Machineは、スペックこそ上昇しているが基本的にはデスクトップ版Steam Deckなのだ。

Steam OSの世界へ

冒頭で述べたようにSteam Machineはあくまでゲーム機っぽいPCなのだが、OSはSteamユーザーのうち9割を占めるWindowsではなく、Valve社がカスタマイズしたLinuxOSこと「SteamOS」を採用している。ふつうゲームソフトというものはOSが異なれば動かないもので、Steamで販売されているゲームはほぼWindows専用として作られている。しかし、Valveが開発したProtonというしくみのおかげで、ゲーム開発者が特別なことをしなくてもWindows用に作られたゲームをLinuxOS(SteamOS)でも動かせるのだ。なぜValveがわざわざSteamOSを作っているのかについてはこちらの解説記事を参照いただきたい。

Protonの情報を集めているデータベースサイト「ProtonDB」によれば、Steamでもっとも人気のゲーム(約6000個)のうち、Protonでちゃんと動くゲームの割合はおよそ6~7割。筆者がSteamで所有しているゲーム1261本のうち「SteamOS互換性あり」とされているのは794本で63%。「Steamで所有しているゲームのうち6割ぐらいはSteam Machineで動く」と考えてもらってよいだろう。

残りの3~4割がなんなのかといえば、「動作不可」と「未確認」の2つに分けられる。筆者のライブラリの中では『Buckshot Roulette』『Destiny 2』『Call of Duty』『Rainbow Six Siege』『The Elder Scrolls V: Skyrim Special Edition』などが動作不可となっていた。傾向としては、オンラインゲームがアンチチートの都合で動作不能とされていることが多いが、そうでないものも本当にまちまち(たとえばスクウェア・エニックスでも、『FFVIIリメイク』シリーズはSteamOS対応だが、『FINAL FANTASY XVI』はSteamOSで動作不可)。「未確認」は、名前の通りまだSteamOSでの確認がとれていないゲームだ。動くかどうか、試してみなければわからない。案外あっさり動くことも多い。基本的には、すでに持っていてSteam OSで動作するゲームがあなたのライブラリにあるはずなので、それを遊ぶのが吉。

この6割という数字をどう受け取るかが重要だ。事情があってWindowsPCに手を出せないが、SteamデビューのためにSteam Machineを買って、そのうえでSteam Machine対象タイトルだけ遊ぶと割り切れる人。あるいは、100本単位でゲームを持っていて、しかもそのうちまだプレイしていないものが大量にある人なら遊ぶタイトルには困らないだろう。逆に、そうでない人にとって、この6割という数字は悩ましいはず。とはいえ、Steam Deck認定プログラムの影響で開発中のゲームのSteam Deck動作検証を進めるゲーム開発スタジオは増えており、それと同じことがSteam Machineが起こる可能性はある(逆に言えば古いゲームへのサポートは進みづらいかもしれない)。

ザ・アベレージ・スペック・マシン

「Steam Machineの実態がゲーミングPCなのであれば、その性能はいかほどか?」と気になる方も多いのではなかろうか。結論から述べると「フルHD60fpsならだいたい動く」である。もっと簡単に言い換えると、ふつうのテレビでふつうに動く。

率直にいえばSteam MachineのスペックはゲーミングPCとしてそこまで高くはないし、これは省電力志向として設計された結果ともいえる。冒頭で述べたように、Steam MachineはゲーミングPCとして相当にコンパクトであり、ゲームをプレイしていてもファンの音がまったく聞こえないほど静かだ。

Steam Machineに使用されているパーツは明確に発表されていないが、仕様書のスペック記載からAMDのRadeon RX 7600ないしRX 7400相当のGPUだと推定されている。これは、AMDのライバルであるNVIDIAのRTX 2060以上RTX 3060未満のあたり。2026年時点においてはRTX 5050搭載のBTOゲーミングPC(20万円代前半)と並ぶほどで、ミドルレンジとしてもやや下の性能だ。

Steam Machineの開発者インタビューにてSteam Machineのスペックは「Steamの統計から決めた」としている。つまり、Steamユーザーの平均マシンスペックはSteam Machineと同じぐらいなのだ。あくまでざっくりとした精度ではあるが、いろいろなゲームでSteam Machineのフレームレートを測定した。SteamOSにはCPUやGPU、メモリの使用率を表示できる便利な機能があるので、スクリーンショットにそちらの情報も載せておく。なお、解像度設定はすべてフルHD(1080p)であり、一部FSRを使用しているが、なぜかSteamOSのグラフにはFSR OFFと表示されている。

『サイバーパンク2077』はベンチマークでプリセット「レイトレーシング:低」で60fpsを達成した。『サイバーパンク2077』でもっとも重いとされるドッグタウンを車でドライブしたが、これといったフレームレート低下は見られなかった。はっきりいって、筆者はSteam Machineのスペックではレイトレーシングを動かすことすらままならないと予想していたため、アップスケールありでプリセットが低設定といえどもレイトレーシングが動くことに驚いた。OSがWindows扱いになっているのも面白い。

次は『Alan Wake 2』のDLC『Lake House』。こちらはプリセット低、レイトレーシング無効でようやく60FPSを維持できているといった状況だ。やはりゲームによってはアップスケールを使えどレイトレーシングをわずかでも有効化した時点で60FPSの維持はできなくなってしまう。

なお、『バイオハザードレクイエム』および『プラグマタ』のデモ版ではレイトレーシングの設定項目が無効化されていた。カプコンのゲームエンジンRE ENGINEにとっては、Steam Machineは現時点ではレイトレーシングのサポート対象外のスペックだということがわかる。どちらもPCスペックに合わせてオプションを最適化してくれるので、まかせればフルHD60fpsで動作はする。

そのほか、『HITMAN World of Assassination』のベンチマークでは、デフォルトではレイトレなしアップスケールなしでフルHD60fps、レイトレありでフルHD30fps、アップスケールを有効化するとフルHD60fpsだった。

おおよそ、PS4/XboxOne世代のゲームはフルHD60fpsを中~高画質で動作、PS5/XboxSeries X|S世代のゲームはフルHD60fpsを低~中画質、原則レイトレ非推奨といったところ。

なお、これらのテストを4Kで検証していない理由は、Steam Machineが4Kでゲームを動かすには少しパワーが足りないからだ。むろん、調整次第では4Kの動作は可能であり、『エースコンバット7 スカイズアンノウン』や『Fallout 4: GOTY Edition』をわりとキレイな画質で4K60fpsで動作させることができた。ローポリゴンの3Dゲームだったり、2Dのインディーゲームでも4K60fps動作はたやすい。

しかし、『FINAL FANTASY XV: WINDOWS EDITION』は4Kだと60fpsを出すには低画質にしなければいけなかったし、そもそもSteam Machine自体が(たとえユーザーが4Kモニターを使っていても)ゲーム起動時の出力解像度のデフォルトをフルHDにしている。Steam Machineは「ゲーム機のように使うマシン」であることを考えると、4Kで動かすためにグラフィック設定をちまちまいじるよりは、最初からフルHDで抑えて無難に動かす方が本来のコンセプトに合っている。

また、近い将来にはPS6や次のXboxが控えている。それらを基準とした新たなゲームが出てきたとき、Steam Machineはどれくらいのパフォーマンスでゲームを動かせるのかは、はっきりとしたことは断定できない。一方で、Steamを動かすコンソールに近いデバイスとして新しい選択肢ができたのは喜ばしいところだ。

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Nobuaki Shibuya
Nobuaki Shibuya

VRを専門としつつ、ゲーム業界分析も書くライター。好きなゲームジャンルはイマーシブシム

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