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北山宏光さん主演ゲーム『AKIBA LOST』ってどんなゲーム?実写映像いっぱい物語いっぱいバッドエンドいっぱい、大ボリュームで贈る異色の群像劇サスペンス
本稿では先行プレビューとして、構想から6年という長い時間をかけて作り込まれた『AKIBA LOST』を紹介したい。

イザナギゲームズは9月17日、実写ビジュアルノベルゲーム『AKIBA LOST』を発売予定だ。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch。国内のアドベンチャーゲームといえば、アニメ絵による静止画でビジュアルが構成されている作品が多いが、本作は全編が実写映像で構成されているのが特徴。実力派俳優陣による演技をじっくりと楽しめる作りになっている。
本稿では先行プレビューとして、構想から6年という長い時間をかけて作り込まれた『AKIBA LOST』を紹介したい。
※イザナギゲームズから提供されたレビュー用コード(PC版)でのプレイにもとづき執筆

本作は、未解決事件にまつわる実写ゲームの発表を契機に再び不可解な失踪事件が発生する、実写群像劇型のマルチアングルサスペンスゲーム。作中では、13年前に秋葉原で通称「アキバの神隠し」と呼ばれる未解決事件が発生し、6人の少女たちが姿を消すという事態が起こった。
北山宏光氏が演じる主人公の新城⼤輝は、その事件にて妹を失ったという設定の人物。ゲームクリエイターである彼は現在も妹の生存を信じており、ある決断をする。新作ゲームの発表会にて、アキバの神隠しを題材にしたゲーム「アキバロスト」を発表したのだ。

発表会では本来、別のゲームがお披露目される予定だったこともあり、新城が所属するスタジオ「シロサワゲームズ」の面々は大混乱。実際かなり無茶な行為だが、新城にはどうしてもの事情があった。難病によって、寿命が残り1年ほどしか残されていなかったのだ。
そもそも新城は、大学時代の友人である高澤雅彦と一緒にシロサワゲームズを立ち上げ、デビュー作として「ホワイトクラッシュ」というヒット作品を作り出した経歴を有する。だがその後は成功に恵まれず低迷状態。アキバロストの発表も、注目を集めるための行為と邪推され、SNSなどで炎上する事態になってしまう。そんな前途多難な船出のなか、新城は行方不明者を演じる6名の女性を決める。アキバロストの行方不明者は、メイドやゲーム配信者、コスプレイヤーといった職業と設定されている。演じる人を選ぶにあたって新城は、実際にアキバで、同じ仕事をしている人を配役することを決断したのである。
募集や選考など通過して集まったのは、シロサワゲームズ社員でありゲーム配信者の倉橋佑季美、コスプレイヤーの遊佐若菜、グルメライターの黒須萌、地下アイドルの長門ここね、神社で巫女のアルバイトをする神保千尋、そしてメイド喫茶の店員で、新城の妹である新城葵の6人。一見すると“よくある”雰囲気の集まりだが、こういったゲームのお約束として、それぞれに隠された動機やアキバの神隠しとの繋がりが設定されている。物語が進むにつれて、そういった“裏事情”が開示され、各キャラクターが深堀りされていくわけだ。



筆者的には、特にお気に入りなのは地下アイドルの長門ここねだ。ここねは売り出し中ではあるもののパッとしない「ベイビー☆マカロン」というグループに所属している身。アキバロストには、自身の知名度を高めたいという率直な思いで応募し、無事採用されたという人物だ。
そんなここねだが、日々の収入はイマイチで、生活費のためにパパ活に手を染めているという一面もある。このように書くと、いわゆる腹黒キャラに聞こえるし、実際にそんな部分もあるのだが、芸能活動自体には(ここね本人目線では)比較的真摯に向き合っており、仕事を積極的に獲得しようという気概も強い。そんなハングリー精神が強い部分が印象に残った次第だ。


またここね編と関連エピソードでは、グループのプロデューサーである祝部武蔵という人物が登場するのだが、これがまた濃い。以前は大物の業界人だったという設定なのだが、ピンクのセーターをプロデューサー巻きするおじちゃんであり、横文字を逆さ読み(例:タクシー→シータク)しまくるという、思いつく個性すべて詰め込んだような性格だ。演じる岩田丸氏の演技も全力で、登場シーンではいつも下記画像のような雰囲気。ダメ押しとばかりに、“昭和感”ある専用BGMも用意されているという、力の入れようである。


本作は、主人公である新城と、集まった女性6人を視点人物とした群像劇として展開される。物語の期間は7日間。それぞれの日の午前と午後に各キャラクターが何をしていたのかが描写されていくという流れだ。新城の視点を開くためには、その時間帯の女性陣の行動をすべて見なければならない。そうすることでゲージが貯まり新城パートが解放。次の時間帯に進むというシステムになっている。
先述したように、本作はすべてが実写映像で構成されている。具体的には、映画やドラマのように動画で進行するムービーパートと、実写映像を背景に、テキストで心理描写や会話が展開されるノベルパートが存在。それらが混ざりながらストーリーが展開していく。またノベルパートでは、文章の各所に小ネタのTIPSも埋め込まれているのも特徴だ。TIPSはバリエーション豊かで、基本的な用語説明や日本のサブカルチャーに関する掘り下げから、明日使えるかもしれない無駄知識まで幅広いワードを網羅。ときにはゲームを進めるためのヒントも隠されているので、定期的にチェックすることをオススメしたい。



また女性キャラクターたちは、時間帯や状況によっては共に行動することがあり、そこは「共通パート」として展開される。このパートは、どの視点で見ても大枠の流れは同じなのだが、選んでいる人物によって心理面の文章描写が変化。読み比べることで、それぞれの内心を理解できるようになっている。例えば、ここねが若菜と千尋を誘い、カフェで女子会をするシーンがあるのだが、ここね目線だと若菜は最後、会話を切り上げたくて去ってしまったようにも見える。一方で千尋側の視点だと、実際にアルバイトがあるため移動する必要があったのが分かるのだ。
しかも各人物の物語は密接に絡み合っており、時には「FREEZE(フリーズ)」と表示され、ストーリー展開が中断されることもある。これは特定のフラグを立ててないために発生する現象で、対応するキャラクターのパートで、紫色の文字を見つけて選ぶことでフリーズ状態が解除されるようになっている。またある人物で特定の選択肢を選んでいない場合、他の視点人物の物語の途中で、そのままバッドエンドに直行してしまうこともあるので、要注意だ。



そんなノベルパートをさらに奥深くしているのが、視点人物の周囲や進む先などを調べる捜査モードだ。このモードに入ると、画面は視点人物の主観視点へと移行。カメラを360度自由に動かせるようになり、周囲を見回せるようになる。雰囲気としては、YouTubeのVR向け360度映像が静止画像になり、より細かく操作できるようになった感じだ。ここから回収できるTIPSもあるので、余裕があれば注意しながら調査を進めるといいだろう。
ちなみにTIPSは、一定数集めるとギャラリーにて特別画像が解放される仕組みになっている。画像は主に本作のムービーパートから抜粋されたものとなっており、すぐ流れてしまうシーンをじっくりと鑑賞できるようになっている。



最後になるが、本作は非常に多彩なバッドエンディングが用意されているのも見所の一つだ。記事の冒頭にて新城がアキバロストを発表するというあらすじを紹介したが、選択肢によっては、そもそもゲームを発表しないという決断もできる。この場合、当然物語は進行せず、新城自身もすぐにこの世を去ってしまう。また“バッド”ではあるものの、物語の裏で暗躍している何かが垣間見えるエンディングもあるので、ED回収もやり甲斐がある作りになっている。
『AKIBA LOST』は、謎めいた過去の行方不明事件と現在がリンクするストーリーが展開される、ミステリーノベルゲームである。全編実写という部分に目を奪われがちだが、ゲーム配信者や地下アイドルといった、現在のアキバ(サブカル)文化を積極的に取り込んだ物語になっているのも注目ポイントと言えるだろう。また個人的には、最近のゲームにしては珍しく、文字サイズがデフォルトで大きかったのも好印象だ。謎が謎を呼ぶ本作のストーリーの結末は、ぜひその目で見届けてほしい。

『AKIBA LOST』はPS5/Nintendo Switch/Nintendo Switch 2/PC(Steam)向けに、9月17日発売予定だ。ダウンロード版の価格は税込5500円。コンソール向けの通常パッケージ版は税込6480円。早期購入特典としてゲーム内の特典スチル画像や、店舗特典も用意されている。
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