『GTA』シリーズ販売元、“レビュー爆撃”を「経営リスク」として恐れる。いろんな悪影響に繋がりうる

Take-Two Interactiveは現地時間5月22日、年次報告書を提出。そのなかで、いわゆる「レビュー爆撃」がリスク要素として強調されている。

Take-Two Interactiveは現地時間5月22日、年次報告書を提出した。同報告書では、同社の経営にまつわる詳細が幅広く網羅されている。そのなかで、いわゆる「レビュー爆撃」がリスク要素として強調されており、注目を集めている。Game Fileが伝えている。

Take-Two Interactiveは、米国を本拠地とするパブリッシャーだ。『グランド・セフト・オート』シリーズなどで知られるRockstar Gamesや、アクションゲームからスポーツゲームまで幅広く手がける2K、またインディゲームの販売をおこなうPrivate Divisionなどを傘下にもつ。

同社は現地時間5月22日、前会計年度(2024年3月31日まで)分の年次報告書(Form 10-K)をSEC(米証券取引委員会)に向けて提出した。この報告書は、業務内容や経営に影響を与えうるリスク要素(Risk Factorsなど、企業のさまざまな情報を詳細に記したものだ。一般向けにも公開されている。そして今年の同報告書では、前年分よりもいわゆる「レビュー爆撃」によるリスクが強調されているとして、注目を集めている。

レビュー爆撃とは、短期間かつ大量のレビュー投稿による、レビュースコアの操作行為のことだ。Steamといったプラットフォームのガイドラインでもこうした行為は禁じられている一方、ゲームの販売・運営方針に対する不満など、さまざまな理由をきっかけにしてしばしば発生している現状がある。ゲームのレビュースコアは、多くのユーザーがゲーム購入時の参考にするとの調べもある(ゲームエイジ総研)。レビュー爆撃行為による評価の低迷は、ゲームの売上低下にも繋がりかねないわけだ。

Kerbal Space Program』、ローカライズを発端にレビュー爆撃行為を受けた(関連記事)。


Take-Two Interactiveの今年の報告書のなかでは、経営におけるリスク要素が細かく列挙されている。「業界の競争性の高さ」「市場の不安定性」といった要素があげられる中、レビュー爆撃についても言及されているのだ。報告書にて同社は、「サードパーティーのプラットフォームにて高評価を維持することは、プレイヤーにゲームを見つけてもらう上で重要」と記述。そのため大量の不評レビューが投稿され、ゲームの評価が下がれば、プレイヤーたちがゲームを見つけたり、他者に勧めたりするのが難しくなるとしている。

報告書では続けて、同社タイトルの評価を下げるため「不評レビューを投じたり、中傷したりする運動」がおこなわれる可能性に言及。そうした行為が、プレイヤー数および収益を減少させたり、評判を低下させたり、追加の広告宣伝費用を発生させたりしうると分析している。

グランド・セフト・オート:サンアンドレアス:決定版』、クオリティの問題などで低評価が多数寄せられ、レビュー爆撃状態となった(関連記事)。


なお前述のとおり、前年分の報告書では、ここまではっきりとレビュー評価の重要さは強調されておらず、またレビュー爆撃の影響にも触れられてはいなかった。一方で今年の報告書では特にレビュー評価の影響やリスクが強調されており、この点がジャーナリストのStephen Totilo氏によるニュースレターGame Fileにて着目され、PCGamesNといったメディアも注目し取り上げられたかたちだ。

Take-Two Interactiveの携わる作品としては、『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』が多くの不評を受け、レビュー爆撃状態となった例がある。『グランド・セフト・オートVI』といったリリースを控える大型タイトルについても、注目度が高い分、さまざまな要因で大規模な不評レビュー投稿に繋がりかねない側面もあるだろう。大手パブリッシャーであるTake-Two Interactiveにとっても、レビュー爆撃は懸念として想定されているようだ。

なお『グランド・セフト・オートVI』はPS5/Xbox Series X|S向けに2025年秋の発売が予定されている。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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