『Slay the Spire 2』開発者、「1のアプデをずっと続ける計画もあった」と告白。“パブリッシャーの閉鎖疑惑”により、そうもいかなくなった

『Slay the Spire 2』を手がけるMega Critは、当初は1作目のアップデートを続けていく方針だったという。方針転換にはさまざまな事情があったようだ。

大人気ローグライトゲーム『Slay the Spire 2』を手がけるMega Critだが、当初は続編ではなく1作目のアップデートを続けてコンテンツを拡張していく方針だったのだという。ところがパブリッシャーの閉鎖疑惑騒動を含むさまざまな事情から、最終的に続編の開発に全面的に注力する方針へと転換したのだそうだ。英ゲーム情報誌Edge MagazineのインタビューでYano氏が語り、GamesRadar+などが報じている。 

『Slay the Spire 2』はMega Critが手がけるデッキ構築型ローグライクゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam)。前作『Slay the Spire』は2017年より早期アクセス配信を開始し2019年に正式リリース、同ジャンルの金字塔として高い評価を受けている。その続編となる『Slay the Spire 2』は2026年3月6日に早期アクセスの配信を開始した。本作では、プレイヤーは三層に重なる塔をモンスターとの戦闘を挟みながら登頂していく。戦闘は毎ターンデッキから引かれる5枚のカードの中から行動を選択して展開する。カードは戦闘報酬などで1枚ずつ入手でき、塔を登るたびにデッキ構成が変化していく。 

同スタジオの共同創設者であるCasey Yano氏がインタビューとして語ったところによると、当初は1作目『Slay the Spire』をより長くアップデートしていく方針で、新機能や調整を継続して加えていく予定だったという。Yano氏はかつてReddit上で続編は制作しないと宣言したこともあると明かし、1作目を更新し続ければ続編を作る必要はないという考えを当時は持っていたと伝えた。しかし現在では「ちょっとナイーブだった(But I guess we were a little naive. )」と考えを見直しているようだ。

事実、『Slay the Spire』は2019年に正式リリースされた後も、2020年に新キャラクター・ウォッチャーが正式に追加されるなど、バランス調整のみならず積極的なアップデートが施されていた。そんなMega Critが同作の拡張ではなく『Slay the Spire 2』 の制作に踏み切ったのはコロナ禍のさなかだったという。当時はさまざまな新作ゲームのプロトタイプを制作しており、次作を完全新作のゲームにするか、あるいは『Slay the Spire』の続編を手がけるのか、社内でも意見が分かれていたそうだ。最終的にはコイントスで決めることになり、表が出た結果として『Slay the Spire 2』の制作が決定したそうだ(関連記事)。

現在、Mega Critは『Slay the Spire』にて大規模なアップデートを行う予定はないようだ。それは続編の開発が今も続いていることに加えて、とあるパブリッシャーの存在が関係している。PC向けの『Slay the Spire』ではMega Critがパブリッシングを行っていたが、コンシューマーやモバイル向けにはHumble Gamesがパブリッシャーを担当していた。

Humble Gamesはゲームのバンドル販売で有名なHumble Bundleが興したゲームパブリッシャーだ。ところが同パブリッシャーはインディーゲーム販売において厳しい経済状況にあるとして、2024年に大規模なレイオフを実施。事業閉鎖の噂も流れ、有名パブリッシャーの突然の危機にショックを受ける開発者の声が当時多くみられた(関連記事)。その後、Humble Gamesは外部企業のGood Games Groupと連帯し、既存タイトルのサポートは継続していくことを表明(関連記事)。2026年3月にはGood Games Groupが、Humble Gamesが関わったすべての作品のパブリッシング権を取得している(GamesIndustry.biz)。

パブリッシャーが混乱に見舞われたことで、コンシューマー・モバイル向けの『Slay the Spire』は厳しい状況に置かれることになった 。将来の見通しが著しく不透明になったので、これ以上『Slay the Spire』のために働くことが出来なくなってしまったとYano氏は語る。パブリッシャーとの連携が不安定となったコンシューマー版やモバイル版に向けて、PC版と同様のアップデートを保証するのは困難という判断なのだろう。

こうした状況を受けて、Mega Critはゲームに新要素を追加していくのではなく“続編を作らなければならない”という決断に到ったのだという。ちなみに、続編開発を発表した2024年4月のニュースレターでは、1作目はコードの保守性が低く多々ある問題点を改修するのが困難となっており、そのためよりクリーンで拡張性の高いアーキテクチャを構築することが続編を制作する目的の一つとして伝えられていた。

さまざまな必然性から、『Slay the Spire』のアップデートを終了し、『Slay the Spire 2』を開発するという流れになったようだ。そして5年近い開発期間を経て『Slay the Spire 2』は今年3月6日についに早期アクセスの配信を開始した。同作は57万人というインディゲームとしては異例の最大同時接続プレイヤー数を記録する大ヒット作となった(SteamDB)。現在はバランス調整にまつわる開発方針が賛否分かれているものの、未だに根強い支持を集めている。結果的には、1作目のアップデートを諦め続編の開発に注力するという判断は正解だったのかも知れない。

この度はMega Critが続編の制作を決断するまでの紆余曲折が語られたかたち。昨今は『Terraria』や『No Man’s Sky』といった継続的なアップデートで評価を高めていくタイトルも多く、一時はMega Critも同様の運営方針を理想としていたようだが、さまざまな事情から新たに続編を作ることになったようだ。パブリッシャーの事業縮小や“コイントス”など、本作『Slay the Spire 2』は予想できなかった出来事の結果として生まれた作品のようである。

『Slay the Spire 2』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中だ。 

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

Kousetsu Taguchi
Kousetsu Taguchi

レトロゲームショップに入ると真っ先にセガサターンのコーナーを確認するタイプです。

記事本文: 86