ゲームのフレームレート、“30fpsと60fpsの違いなんてわからない”議論が勃発。「30fpsで問題ない派」と「60fpsじゃないと遊べない派」の終わりなき意見バトル

 
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X上にて、とあるユーザーが「ゲームのフレームレート、30fpsと60fpsの違いなどほとんどの人にわからない」と熱弁。この主張に対して海外ユーザーを中心に議論が紛糾し、反論や同意の声などさまざまな意見が数多く寄せられている。

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フレームレートなんて30fpsで十分だ、という主張

フレームレート(fps)とは、ゲームにおいてはゲーム画面が1秒間あたり何枚の画像で描画されているかの指標だ。たとえば30fpsでは、1秒間に30回画面が更新され、60fpsではその2倍となる。この更新頻度が高ければ、プレイヤーは映像がなめらかに感じるとされ、逆に低すぎれば「カクカク」や「紙芝居」と表現される体験となる。画面の動きが激しくなるアクションゲームでは特に重要視されがちで、対戦FPSゲームといったジャンルでは最優先で追求される指標でもある。

そんなフレームレートについて、とある海外ユーザーが「ほとんどのユーザーは30fpsと60fpsの違いなどわからない」と力説し、大きな反響を読んでいる。同ユーザーはXポストにて、「“30fpsのゲームなんて遊べない”という言説は最悪の流行だ」とし、95%のユーザーは、30fpsと60fpsの違いを誰かに教えてもらわずに判断などできないとの見解を述べた。30fps動作のゲームが、それだけで不当に低い評価を受けており、30fps/60fps間に違いなどほとんどないとの主張だろう。

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上述の“ゲームは30fpsで十分論”は、本稿執筆時点で2300件を超えるリプライ、1500件以上のシェア数を集めて大きな反響を呼んでいる。例として「たしかに30fpsと60fpsの違いなどわからない」と元投稿者に同意する声や、逆に「現代に30fpsのゲームなんてありえない」と断じる意見もある。両論あるなか、もっとも目立つのは「30fpsと60fpsの違いははっきりわかる」との意見だ。


30fpsと60fpsでは大違い

実際に、30fpsと60fpsでは、描画上かなりの変化がある。ゲームをプレイする上では感覚的に捉えるしかないものの、比較すれば一目瞭然だ。実際に端末上で確認することもできる。高リフレッシュレートモニターや描画関連技術などの情報を提供するBlur Bustersのテストページでは、15/30/60fpsやそれ以上のフレームレートの描画比較が確認できる。

あくまで個人の視覚によるものの、30fpsより60fpsのほうが明瞭に描画されていることがわかるはずだ。同テストはPC/モバイルいずれでも動作するものの、60hz以上の描画に対応したモニターおよび、対応するブラウザの利用が必要な点には留意してほしい。

Blur Busters UFO Motion Tests


また、発端となったポストにつけられたコミュニティノートでは、「映像において視聴者は(どちらが高いか知らずとも)高いフレームレートを好む」との傾向を示す論文や、「ゲームにおいて高フレームレートはプレイヤーのパフォーマンスを上げ、遊びやすさ・楽しさの向上につながる」との実験結果が紹介されている。こうした研究の結果とあわせても、「30fpsと60fpsの差はわかりやすい」といえるだろう。


ただし30fpsでも名作はある

そして、「30fpsと60fpsの差は明白ながら、“30fpsだから作品がつまらない”わけではない」との意見もまた複数のユーザーから投じられている。高フレームレートの方がゲーム体験はなめらかになるものの、「30fpsでも面白いゲームは面白い」として元ポスト主に一部同意する意見だろう。

そうした「30fps動作で面白いゲーム」の顕著な例として、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はMetacriticにてメタスコア96(100点満点中)、ユーザースコア8.4(10点満点中)を記録した傑作だ。一方で、同作はアクションゲームながら最大30fps動作となっていることが、メディア検証によりわかっている(関連記事)。

ほかにも、設計上30fpsを採用している様子ながら高評価を獲得している作品は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』や『星のカービィ ディスカバリー』などアクションゲームでもしばしば見られる。「30fpsのゲームなんて遊べない」といった言説が極端すぎることの証左だろう。

また、特殊な例ではあるものの、オープンワールドゲーム『Sable』が演出のためにあえて30fpsを採用した例などがある(関連記事)。ゲーム機の性能や、プレイヤーに与えたい体験も総合的に踏まえて、ゲームの最大動作fpsは決定されるのだろう。たしかに60fpsの方がなめらか体験ではあるものの、プレイヤーがさほど気にならなければ差し支えないともいえる。当たり前ではあるものの、ゲームとして面白いかどうかが重要なのだろう。ただし、そうした面白さにフレームレートが絡んでくるような作品であれば、こうした議論は巻き起こりそうである。