『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は“初日アプデ”でパフォーマンスが劇的に向上していたとの検証報告。Nintendo Switchの限界を突き詰める

 
Image Credit: Digital Foundry on YouTube

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』における発売初日のアップデートにて、パフォーマンスが大きく向上していたことが海外メディアの検証動画により示されている。また動画ではNintendo Switch現行モデルおよび有機ELモデルと、2019年以前に発売された旧モデルのパフォーマンス比較もおこなわれている。


『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はNintendo Switch向けのアクションアドベンチャーゲームだ。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の続編にあたる。新作においては、ハイラルの地が突如として天変地異に見舞われる。城は宙へと浮かび上がり、空からは謎の遺跡群が降り注ぐ。大地と大空が広がった世界にて、“右手”に力を宿したリンクがハイラルの異変に立ち向かう。

本作に向けては、パフォーマンス面や技術面などからグラフィックを検証する動画がユーザーにより多数公開されている。発売直後には前作とのグラフィック比較動画も制作されていた(関連記事)。今回、Digital Foundryも本作のグラフィック検証を実施し、動画を公開している。Digital Foundry はゲームに関する技術やハードウェア検証に定評のある人気YouTubeチャンネルだ。

今回の動画にはDigital FoundryのJohn Linneman氏、およびゲストとしてModern Vintage Gamer(以下、MVG)ことDimitris Giannakis氏が出演している。MVG氏も人気YouTuberであり、Limited Run Gamesにて同社の開発ツール「Carbon Engine」のリード開発者を務めているゲームの技術面への造詣が深い人物。そんな2人が出演する動画にてトピックとしてまず紹介されたのが、発売初日に配信されたVer.1.1.0適用前後でのパフォーマンス比較だ。

この検証では、Ver.1.1.0パッチ適用前はウルトラハンド使用時のパフォーマンスが比較的悪く、フレームレートは約20 fpsまで落ち込んでいる。またオープニングで始まりの空島に降下するシーンでもカクつきが見られ、MVG氏いわく約1秒間の停止に遭遇することもあったという。一方Ver.1.1.0パッチ適用後はウルトラハンド使用時のフレームレート低下が緩やかになるなど、パフォーマンスが向上していることが確認できる。出荷から発売までの期間で最適化などが進み、発売時にはさらに遊びやすい状態となったわけだ。

Image Credit: Digital Foundry on YouTube


また動画では、携帯モードでのパフォーマンスにも言及。本作はドッキング時(TVモード)は1600×900 px、携帯モード時は1280×720 pxの解像度で動作しているとされ、いずれのモードでも解像度は可変とされている。John氏によると、携帯モードでは予想よりも720 pxで安定して動作するシーンが多いとの印象を受けているそうだ。またグラフィックの鮮明さや、有機ELモデルのディスプレイでの表現力を大きく評価している。

なおVer.1.1.0パッチ適用前の携帯モードでは、パフォーマンス悪化がTVモード以上に顕著に見られたそうだ。しかしVer.1.1.0適用後には非常に良好なパフォーマンスを発揮しているとのこと。ただしウルトラハンド使用時などはフレームレートが約20 fpsまで低下。携帯モードでは、パッチ適用後でも重いシーンもあるという。

両氏は、本作ではNintendo Switchの性能の限界が引き出されているとコメント。MVG氏はVer.1.1.0パッチはリリース初日に備えて相当な苦労の末に準備されたのではないかと推察し、自分の知るゲームのなかで最高のパフォーマンスアップデートであると称賛している。また同氏は、今後はVer.1.1.0パッチのような大規模なものではなく、個別の問題に対処していくような小規模なパフォーマンスアップデートが実施されていくかもしれないとの見解を述べた。今後携帯モードでのさらなる遊びやすさ向上がおこなわれていく可能性もあるだろう。

Image Credit: Digital Foundry on YouTube


そのほか動画では、Nintendo Switchのモデルによるパフォーマンスの違いにも言及された。Nintendo Switchは2019年にモデルチェンジがおこなわれ、バッテリーの持続時間が向上。また2021年にはディスプレイパネルなどが変更された有機ELモデルのNintendo Switchが発売された。

動画では2017年版の旧モデルと有機ELモデルのNintendo Switchでの比較検証がおこなわれている。始まりの空島に降下するシーンが比較シーンとして用いられており、旧モデルのNintendo Switchでは飛び降りた直後にわずかにフレームレートが低下。両氏の説明いわく、これは旧モデルと、現行および有機ELモデルのメモリ速度(Memory Latency)の違いに起因するという。旧モデルでは上記シーンなどでメモリのクロック数がわずかに遅まり、フレームの描画が数ミリ秒遅くなることがフレームレート低下に繋がるのではないかとJohn氏は推察している。

Image Credit: Digital Foundry on YouTube


発売初日に配信されたVer.1.1.0パッチでの目覚ましいパフォーマンス向上などを示すDigital Foundryの検証動画。本作は幅広く自由な遊び方に加えて、広大なフィールドでの冒険も持ち味のひとつだ。プレイヤー思い思いの遊び方をしっかりと受け止めてくれるパフォーマンスを含めたゲームの安定性も、本作の魅力を下支えしている部分だろう。本作は発売後わずか3日間で売上1000万本を達成したことが伝えられており、これも発売ギリギリまで余念なく磨き上げられた結果といえそうだ(関連記事)。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はNintendo Switch向けに発売中。