日産自動車は10月25日、『フォートナイト』上で遊べるゲーム「Electrify the World」を公開した。「Electrify the World」は10月28日~11月5日まで一般公開中の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(旧:東京モーターショー)」に向け発表されたEVコンセプトカーの世界を体感できる作品となっている。
「Electrify the World」は、EV(電気自動車)が提供する未来の世界をテーマとしたゲームだ。舞台となるのは、電気を通じて街とクルマがつながる「NISSAN WORLD」。プレイヤーは突如闇に覆われた街を復旧するために、世界に散らばったバッテリーを集め、EVコンセプトカーに電気をチャージしていく。本作は、『フォートナイト』上でコンテンツが制作できる「Unreal Editor for Fortnite」(以下、UEFN)にて制作。開発を担当したのは、国内デベロッパーのヒストリアによるUEFNに特化したクリエイティブチームであるSLASHHだ。
また、日産自動車のほかにも、各自動車・バイクメーカーのプロモーションに、コンテンツ制作ツール「UEFN)が活用されているようだ。BMWは、2024年導入予定の最新電動SUV「iX2」を『フォートナイト』上で試運転することができる「Hypnopolis(ヒプノポリス)」を公開している。
「Hypnopolis」は、小型電動SUVクーペ「iX2」をテーマとしたゲームだ。舞台となるのは架空の未来都市ヒプノポリス。プレイヤーはひとり、もしくは最大4人までのプレイヤーで「iX2」でヒプノポリスを自由に冒険することができる。「iX2」自体は10月4日にティザーイメージが世界初公開、同時に「Hypnopolis」が公開され外装が隠されたプロトタイプの「iX2」を試運転できた。10月11日には、「iX2」が正式に発表。それに合わせて実際に市販される「iX2」のカラーリングやホイールなどのカスタマイズできるアップデートを実施。新車のプロモーションのタイミングに合わせ、ゲーム自体もアップグレードさせていったかたちだ。
また、ヤマハ株式会社は、11月10日発売予定の新型バイク「MT-125」のプロモーションとして、eスポーツチームREJECTとコラボレーション。その一環として、UEFN製ゲーム「YAMAHA Cyber Race」を公開した。このゲームは、「MT-125」で近未来の日本をイメージしたネオン街を自由に駆けることができる作品だ。
こういった各自動車・バイクメーカーのプロモーションに、UEFNが使われる理由のひとつとして、Unreal Engineをはじめとするゲームエンジンが自動車産業と密接に関わっていることが考えられる。昨今のゲームエンジンは、製造などの産業分野での利用が増えており、特に自動車メーカーは、ゲームエンジンを幅広い用途で使用している代表例のひとつ。Unreal Engine製品ページでは、Audi、Chevrolet、Volkswagenなどの大手自動車メーカーがデザインから販売までの過程で利用していることが紹介されている。
また、2021年7月には、フェラーリがEpic Gamesと提携。『フォートナイト』上にて、「フェラーリ296GTB」を期間限定で登場させている。これは、フェラーリが長年Unreal Engineのリアルタイム技術を使ったことにより可能となったコラボレーションだという。
このようにUnreal Engineの技術が自動車・バイクメーカーをはじめとした産業分野で利用され、精密な車両がゲームエンジン上にて再現されることで、UEFNによるプロモーションが行いやすくなったのではないだろうか。自動車業界以外にもNIKEや、Netflixなど多くの大手企業がUEFN製ゲームによる商品・作品の宣伝を行っている。メタバースをはじめとするWeb3の技術が注目されている昨今。UEFNによるゲームを通じた実際の商品の宣伝は今後増えていくのではないだろうか。