“フルボッコ系”FPSのVR版『Bulletstorm VR』配信開始されるも、国内PS VR2版が突如取り下げ。開発元は「レーティングを取得できなかった」と説明

People Can Flyは1月19日、VRアクションシューティングゲーム『Bulletstorm VR』を発売。しかしその後PS5(PS VR2)版について、日本と韓国での配信を中止した。レーティングを取得できなかったことが原因だという。

デベロッパーのPeople Can Flyは1月19日、VRアクションシューティングゲーム『Bulletstorm VR』を発売。しかしその後PS5(PS VR2)版について、日本と韓国での配信を中止した。レーティングを取得できなかったことが原因だという。

『Bulletstorm VR』は、2011年に発売された“フルボッコ系”FPS『Bulletstorm』をVR化した作品だ。開発は『Layers of Fear VR』や『Green Hell VR』などを手がけたIncuvoが担当。本作にてプレイヤーは元暗殺者のグレイソン・ハントとなり、自身を組織から追い出したサラノ将軍への復讐を目指す。

本作は、多彩な武器を駆使したハイテンションなゲームプレイが特徴となっており、これを支える要素としてスキルショットシステムが存在。たとえば、蹴り飛ばした敵を空中で蜂の巣にしたり、周囲の危険なオブジェクトにぶち込んだりと、さまざまなアクションで敵を倒すことができる。その際にスキルポイントを獲得し、武器のアンロックや強化に繋がる仕組みだ。本作では、そうしたプレイヤーの創造性を試されるド派手なバトルをVRにて楽しめる。


本作は、PC(Steam)/Meta Quest/PS5(PS VR2)向けに1月19日に発売。このうちPS5版は日本でも配信開始されたが、1月20日になって突然プレイ不可になった。購入者には、本作をアカウントから削除し購入代金を返金するとのメッセージが、SIEから送付されたという。またそのメッセージでは、「『Bulletstorm VR』のコンテンツに一部不備があることが判明した」と説明されていたとのこと。

突然の強制返金対応が実施されたことを受けて、あるユーザーが経緯をRedditに投稿。そこにPeople Can Flyが返信し、日本と韓国にてPS5版の発売を取り下げ、返金対応をおこなっている事実を認めた。同スタジオによると、「本作の流血・残虐表現が過激すぎて、レーティングを取得できなかった(it was unable to obtain a rating – too much blood and gore)」ことが発売中止の理由とのこと。


本作のPS5版は、IARC(International Age Rating Coalition)のレーティングを取得して配信されている。IARCは、ダウンロード専用ゲーム・アプリのみを審査対象とする、海外に拠点を置くレーティング団体。北米のESRBや欧州のPEGIなど各国・地域のレーティング団体が加盟して成り立っており、審査結果に応じて加盟各団体のレーティングに変換される仕組みとなっている。なお、現時点では日本のCEROは加盟していない。

本作のIARCレーティングを確認してみると、昨年8月時点では「16+(16才以上対象)」になると案内されていたが、現在PS StoreやMeta Storeでは「18+(18才以上対象)」のラベルが掲載されている。対象年齢が引き上げられた経緯は不明だが、これが国内PS5版の発売中止理由とされた「コンテンツの一部不備」にあたる可能性がありそうだ。

任天堂サポートサイトより


国内PS Storeでは、IARCレーティングを使用してのゲームの配信が2022年3月に解禁された。ただ当時SIEは弊誌の取材に対し、18才以上を対象とするタイトルに関しては、従来どおりCEROレーティングの取得をメーカーに求めると説明。青少年保護の観点から、日本市場に特化したレーティング審査に長年実績のあるCEROの審査を経て配信することが望ましいと判断したとのこと(関連記事)。つまりCERO:Z(18才以上のみ対象)相当のゲームの場合は、CEROレーティング取得が必要になるのだ。

『Bulletstorm VR』は、IARCレーティングが「16+」から「18+」に引き上げられたことで、日本では配信できなくなってしまったようだ。それならば、CEROレーティングを取得することで問題は解決されそうだが、People Can Flyは「レーティングを取得できなかった」と説明していることから、そちらも難しかったのかもしれない。

ちなみに本作のオリジナル版およびリマスター版は、日本では表現規制が導入されたうえで、CERO:D(17才以上対象)にレーティングされている。『Bulletstorm VR』での表現規制の有無は不明ながら、VR化されたゲームプレイにおいて審査結果が変わり、CERO:Zにさえ収まらなかったのだろうか。あるいは、コストをかけてCEROレーティングを取得することは最初から選択肢になく、(審査無料の)IARCにて「16+」を取得できなかったという意味で、「レーティングを取得できなかった」と説明した可能性もあるだろう。

『Bulletstorm VR』は、PC(Steam)/Meta Quest向けに配信中。国内で発売中止となってしまったPS5(PS VR2)版に関しては、今のところ再配信に向けた取り組みについての説明もなく、海外向けのみのままとなるようだ。

ちなみに本作の発売後には、VR化における最適化不足やゲームバランスなどについて、プレイヤーから厳しい評価が寄せられている。Steamのユーザーレビューでは、本稿執筆時点で31%が好評とする「やや不評」ステータス。People Can Flyは、コミュニティの意見に耳を傾け改善させていくと約束した。今週中にも最初のパッチが配信されるそうだ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

Articles: 6855