Perfect World Gamesは4月29日、『NTE: Neverness to Everness』をリリースした。本作はPC/PS5/iOS/Android向けに配信中の、基本プレイ無料・超自然都市オープンワールドRPGだ。プレイヤーは骨董品屋エイボンに所属する“異象ハンター”として、大都市「ヘテロシティ」を巡り、街に潜む異象を収容・解決していく。

弊誌はPC版『NTE』を先行プレイする機会を得た。本連載では、異象が潜む大都市・ヘテロシティの気になるポイントを全10回にわたって掘り下げていく。今回は第4回であり、第3回はこちら。なお先行プレイのため、一部仕様が製品版とは異なる場合がある点には留意してほしい。

今回取り上げるのは、ハウジング要素だ。オープンワールド作品における家は、ともすればアイテムを並べるための趣味的な空間か、次の探索へ向かうための簡素な拠点に留まりがちだ。しかし『NTE』のハウジングは、そうした役割だけに収まらない。家具配置の自由度、実利をもたらす「異象家具」、そしてキャラクターと同居できるシステムによって、家そのものに“帰る理由”が生まれている。

街を歩き、家具を集め、キャラと触れ合う。戦闘や探索、買い物や親密度といった本作のさまざまな要素が、最終的に家へと結びついていくのだ。今回は特徴の異なる3件の物件を巡りながら、『NTE』のハウジングがどのようにヘテロシティを“暮らすための街”へ変えているのかを見ていきたい。

「借り物感」のない自由なカスタマイズ

まず訪れたのは、絵空町にある「メゾンVINA」。コンパクトなワンルームマンションで、徒歩圏内には商店街もある。最初に入居するにはちょうどよさそうな、比較的リーズナブルな物件だ。

この物件でもっとも印象的だったのは、屋外とは異なる室内の生活感だった。入居直後の部屋は物が少なく、雑然とした暮らしの気配があるわけではない。それでも、フローリングや窓ガラスの質感、少し手狭な間取り、ロフトのような空間などによって、大都市の中にある一室としての雰囲気がしっかりと出ている。

とくに強く実感したのは、窓から街を見下ろした瞬間だ。窓の外には、ビルの屋上に並ぶダクトや空調設備が目いっぱい広がっている。いかにも大都市らしい眺望だが、眼下では人や車もきちんと行き交っている。一人称視点で窓際に立つと、差し込む光や時間帯による明るさの変化も相まって、そこが単なる背景ではなく、自分の部屋の外に続く生活圏として見えてくる。ヘテロシティを外から眺めるのとはまた違う、この街での新生活が始まった感覚がある。

その感覚は、家のカスタマイズによってさらに強まる。たとえば家具を設置する際は、位置や角度をかなり細かく調整できる。壁に絵画を斜めに掛けたり、風呂場にソファを詰め込んだりと、かなり無茶な置き方も可能だ。別に風呂場へソファを置きたいわけではない。それでも、置こうと思えば置けてしまう余地があるだけで、用意されたショールームを眺めているのではなく、自分の部屋を作っている感覚は強まる。

家具は先行プレイ時点でも数百種類が用意されており、配置の自由度とあわせて、本格的な内装作りを楽しめるだけの素地がある。壁紙や床材を個別に変えることはできないものの、一部の家では数種類の内装バリエーションを選んで「リフォーム」することも可能だ。細部をちまちま調整しなくとも、部屋全体の雰囲気を大きく変えられる。

また、もともと設置されている家具の位置を変えることも可能だ。キッチンなど一部の設備は固定だが、テーブルやテレビなど、動かせそうな家具はおおむね移動・収納できる。空虚な部屋にゼロから家具を並べるのではなく、かといってすべてが固定された「借り物」の部屋でもない。最初からそこにある空間へ少しずつ手を入れ、自分の部屋にしていく感覚がある。

家具配置の操作には少し癖もあり、マウスとコントローラーを行き来しながら調整した場面もあった。ただ、置ける範囲そのものは広く、細かくいじれるぶん試行錯誤する甲斐もある。戦闘や探索に疲れたあと、黙々と家具を動かして部屋を整える。そうした時間が自然に生まれていた。ただし、『NTE』の家はロールプレイ用の空間に留まらない。次に訪れた物件では、ハウジングがゲームプレイ上の実利とも結びついていることを実感できた。

家と街を繋ぐ「異象家具」

橋間地にある「レジスEDEN」は、海を一望できるロケーションが特徴のタワーマンションだ。高層階の部屋からは街と海をまとめて見渡せるうえ、バルコニーへ出ることもできる。細かい点だが、このバルコニーには「壁」がない。ハウジング要素のあるゲームでは、家の中と外が見えない壁で区切られ、正規の出入口以外からは移動できないことも多い。しかし本作では、バルコニーからそのまま外へ飛び出し、街へ降りていくこともできる。家が独立した箱ではなく、ヘテロシティの一部としてつながっていると感じられる部分だ。

この物件で目立っていたのが、遊び心のある家具と「異象家具」の存在である。異象家具は、条件を満たし解放することでゲームプレイ上のメリットをもたらす特殊な家具だ。たとえば指名手配レベルをリセットしてくれる「ホーホー警報」や、車両を気軽に修理できる「メカニック」といった日常的に使えるものがある。ほかにも、攻撃力やクリティカルダメージを高めるもの、定期的に装備品やアイテムを入手できるものなど、持っているだけで得をする家具が多い。

見た目にも、『NTE』らしい奇妙さがある。蝶ネクタイと手袋だけが見える透明な執事や、カプセルに入った巨大なハムスターなど、現実的な室内に少しだけ不思議なものが混ざっている。ヘテロシティが、日常の中に異常が入り込む場所だとすれば、異象家具はその縮図のような存在だ。便利なだけでなく、部屋に置いたときの絵面としても楽しい。

通常の家具にも、ひねりが加えられたものが少なくない。クレーンゲームやガチャガチャで手に入れたフィギュアは専用の棚に飾れるし、人の背丈を超える巨大なフィギュアを部屋に並べることもできる。映画が見られるテレビ、音楽を流せるレコードプレイヤー、実際に遊べる麻雀卓、弾けるピアノやドラムなども存在する。ひとつひとつは生活を大きく変えるほどではないが、ちょっとした遊びの積み重ねが嬉しい。

なおこうした家具は、家具屋だけでなく、電気店やペットショップなど街中のさまざまな店で購入できる。しかも同じ店名であっても、地域ごとに品ぞろえが異なる。一度の買い物ですべてを揃えられない点は好みが分かれるかもしれないが、目当ての家具を探して各地を巡り、それを家に持ち帰って配置するという流れは充実感がある。

目当ての家具を探して各地を巡り、それを家に持ち帰って配置する。ガチャガチャで手に入れたフィギュアを棚に並べ、異象家具で車を修理し、また別の店へ向かう。『NTE』のハウジングでは、街歩きと家づくりがひとつづきになっている。家があることで街へ出る理由が増え、街へ出ることで家に置きたいものも増えていくのだ。

“ほとんど同居人”のキャラ招待

最後に訪れたのは「シルヴァ邸苑」。高級住宅が並ぶ丘の頂上に建つ大邸宅で、都会の喧騒から離れた場所にある。奥には夜景が広がり、手前には自然も見える。巨大な屋外プールや屋上のヘリポートまで備えており、まさに最高級の暮らしを体現した物件だ。

この家で試したのは、キャラクターの招待要素。一部のプレイアブルキャラクターは、絆レベルが上がると家へ招待できる。シルヴァ邸苑は最大5名まで招待可能で、先行プレイ時点で招待できたミント、ナナリ、九原、ファルディーヤ、ちぃちゃんを全員呼ぶことができた。

まず目を引くのは、招待キャラたちの遠慮のなさだ。キャラは専用のルームウェア姿で家の中を歩き回る。自然なオフ感のある服装のキャラもいれば、寝巻きのような無防備な格好のキャラもいる。しかも、彼女たちはただ所定の位置に立っているわけではない。室内を気ままに移動し、まるで我が家のようにくつろいでいる。

説明を見る限り、このシステムは単なる「招待」というより、キャラが家に「入居」する仕組みに近いようだ。遊びに来たというより、一緒に暮らしている感覚に近い。推しキャラが招待可能なメンバーの中にいるなら、それだけで家へ帰る理由になるだろう。

招待したキャラとは会話できるほか、さまざまなインタラクションも可能だ。ソファに座る、プールで遊ぶといった単独アクションのほか、じゃんけんやハグなどの触れ合いも用意されている。絆レベルに応じて新たなインタラクションが解放され、親密度が高くなるほど、より距離の近い行動を取れるようになる。

興味深いのは、キャラごとに専用のインタラクションが用意されている点だ。たとえばナナリの単独アクション「天井歩き」を選ぶと、重力を操る異能を使って天井に張り付いて歩く姿を見せてくれる。ほかにも、銀行員のちぃちゃんに「記帳」をしてもらったり、猫のような尻尾を持つミントにケアスプレーをかけたりと、それぞれのキャラに合った行動が存在する。

昨今ではキャラクターとの交流要素を重視する作品は珍しくない。だが本作では、その交流が家という空間に組み込まれている。街で絆を深めたキャラクターが、自分の家でルームウェア姿になり、勝手にくつろいでいる。ストーリー上の会話や戦闘での連携とはまた違う、一歩踏み込んだ関係性を見る特別感がある。

家があることで、ヘテロシティは“自分の街”になる

『NTE』のハウジングは、単に豪華な部屋を買い、内装を眺めるだけの要素ではなかった。窓の外には生活が息づく街があり、街で買ったアイテムの多くが自由に配置できる。暴走して壊した車を直し、プレゼントを通じて親しくなったキャラクターたちが部屋の中でくつろぐ。街で積み重ねた行動が、きちんと家へ戻ってくる。

そのため本作の家は、探索の合間に休息するだけの拠点とは少し違う。街を歩き、戦い、買い物をし、誰かと親しくなり、その成果を家へ持ち帰る。ヘテロシティを歩き回るほど、家に置きたいものが増え、家に帰る理由も増えていく。その循環が、ハウジングを日々のプレイの中に自然に組み込んでいる。

都会的なオープンワールドでありながら、そこに自分の居場所があると思えること。これは、『NTE』の街をただ広いだけのマップに見せないための重要な要素だろう。家を持つことで、ヘテロシティはただ訪れる都市ではなく、少しずつ“自分の街”になっていく。

NTE: Neverness to Everness』はPC/PS5/iOS/Android向けに配信中。

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