都市開発シム『Cities: Skylines II』開発元「コミュニティで暴言が増えている」と苦言。健全な議論の場にすべくユーザーに協力をお願い

 

Cities: Skylines II』の開発元Colossal Orderは、公式フォーラム上に声明を投稿。今年のアップデート予定が明かされたほか、本作コミュニティ上での「有害な言動」の増加について言及されている。


『Cities: Skylines II』は、高い評価を得た都市開発シミュレーションゲーム『Cities: Skylines(シティーズ:スカイライン)』の続編だ。プレイヤーは居住区やインフラなどを整備し、さらに産業を活性化させながら街を一から建設。市民の生活や経済などが複雑にシミュレーションされ、それらのニーズや状況変化に対応しながら街を発展させていく。

本作は発売前に「目標とするベンチマークに達しないまま」リリースされることが告知されていた。結果として本作は最適化不足という課題を抱えたままPC版のみが発売されるかたちとなり、PS5/Xbox Series X|S発売は2024年春に延期。PC版発売後にはパフォーマンス問題や不具合の報告が寄せられた。

そうした状況を受けてColossal OrderのCEOを務めるMariina Hallikainen氏は昨年10月、「Word of the Week」という取り組みをおこなうと発表。透明性を確保するためスタジオの取り組みや計画を公式フォーラム上で毎週明かしていくことを表明した。以来、各フォーラム上ではユーザーとのやり取りもおこなわれている。


コミュニティでの暴言増加


今回の「Word of the Week」はホリデーシーズンを経て2024年最初の投稿となった。先月12月12日の投稿で伝えられていたとおりModエディターの実装は現状の最優先事項とのこと。まずはMod開発者向けのテスト実装がおこなわれるそうだ。なおコード改変機能を含まないもののコンソール向けにもModエディターはリリース予定となっている。コンソール向けには安定性・パフォーマンスの最適化も進められており、できるかぎり早くリリースできるように取り組まれているという。

また並行してPC版の本作不具合修正も取り組まれていたといい、Modエディターのリリースに先がけてパッチが配信予定。ユーザー報告および開発チーム内で確認された不具合に対処され、シミュレーション面とグラフィック面の双方の不具合修正がおこなわれる見込みだそうだ。


そして今回のMariina氏の投稿では、本作コミュニティにてこれまでにないほど「有害な言動(toxicity)」が投じられる傾向が強まっていることが伝えられた。そうした言動の矛先は開発者だけでなくユーザーにも向けられているといい、コミュニティとの関わりを控えるユーザーも見られるとのこと。コミュニティ内のユーザーの気分や幸福度が損なわれるだけでなく、長期的に見ればコミュニティがもつ創造性やMod開発の意欲が削がれうる状況にあると見ているそうで、チームは非常に残念に感じているそうだ。

またMariina氏は、これまで開発チームは各種SNS上でコミュニティと直接対話することを重視してきたと言及。しかし一方で、開発元にはスタッフたちがモチベーションと生産性を維持しながらベストを尽くして働ける安全な環境を守る責任があるとしている。コミュニティのモデレーション強化のほか、開発チームのコミュニティとの関わりを減らすといった方法も対応例として示された。


建設的なフィードバックのために

一方でMariina氏は、開発チームが継続してユーザーとのコミュニケーションを継続するために互いに協力できることを望んでいるようだ。同氏は続けてユーザーが考えや要望を共有できる安全なコミュニティにするための考えをいくつか共有。まず、フィードバックや反対意見を具体的かつ詳細に述べ、建設的におこなうことを求めている。ユーザーそれぞれが建設的なフィードバックを示すことでほかのユーザーにもそうした振る舞いが広まり、コミュニティがより良い場所になっていくことが期待されているそうだ。

またMariina氏は、多様な人々を擁するコミュニティ内では意見や体験が常に異なると言及。そのため、自分の意見をほかの人がどう思うかは気にしないようにしてほしいとも伝えている。さらに同氏は文章では口頭のように真意が伝えにくい点を忘れないようにしてほしいとも説明。コミュニティ内の意見は人々が良かれと思って書いた内容だと考えてほしいようだ。こうした考えの共有は、コミュニティ内のやり取りでユーザーたちがすれ違ったり傷つけあったりことがないようにする配慮かもしれない。


本作は先述のとおり課題を抱えたままのスタートとなり、最適過不足や不具合に関する報告が寄せられた。アップデートを重ねてきたものの課題点は残されており、公式フォーラムには問題報告も寄せられている。さらにそうした状態で本作を発売した点などを巡ってColossal Orderを非難し、攻撃的な発言を投じるユーザーも一部見られる状況だ。

そうした背景もあり、今回の投稿でもMariina氏はコミュニティ内の有害な言動の増加傾向について言及したかたちだろう。同フォーラム内にはさまざまな反応が見られ、ゲームの内容に関する要望や不満もある一方で、開発元への感謝も寄せられている。なおあるユーザーは本作と同じく発売当時に抱えていた課題から批判を受けた『No Man’s Sky』や『サイバーパンク2077』について言及。両作のようにコミュニティからのフィードバックや報告を受けて改善を続ければ、有害な言動は称賛に替わるだろうとの見方を示した。

一方でこれに返答したMariina氏は、本作開発チームは称賛を求めているわけではないと説明。また攻撃性や脅し、悪意をはらむ有害な言動は、ゲームの問題報告や改善要望を含む正当な批判とは異なるものであると強調している。開発チームとしては、コミュニティに有害な言動が投じられることなく、健全にゲーム内容についてのフィードバックをプレイヤーと議論できる場となることを望んでいるようだ。


なお開発チームがユーザーとコミュニケーションをとりながら開発される作品において、一部ユーザーの攻撃的な言動が問題となった事例は過去にも見られ、コミュニティとの対話が減らされる例もあった(関連記事)。『Cities: Skylines II』でも同様にコミュニティ内に有害な言動が寄せられているようで、今回開発元CEOの声明として健全なコミュニティづくりに向けたユーザーたちへの協力が呼びかけられたかたち。Colossal Orderとしてはコミュニケーションを閉ざすことなく、プレイヤーとの議論を続けたい方針があるようだ。

昨年は波乱の船出となった『Cities: Skylines II』ながら、すでに複数回のアップデートを重ねて課題点の解消も進められている。今春にはコンソール版のリリースも予定されており、2024年も本作がどのような歩みを見せていくのかは注目されるところだろう。

『Cities: Skylines II』は、PC(Steam/Microsoft Store)向けに発売中。PC Game Pass向けにも提供されている。またPS5/Xbox Series X|S向けには今春発売予定だ。