『Destiny 2』開発元Bungieにおいて、パワハラ被害があったと告発される。CEOは即座に謝罪し説明

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米IGNは現地時間12月11日、ゲーム会社Bungieにおける職場環境の問題を報道した。内容としては、同社においてリーダー格従業員による、セクハラやパワハラなどの実態があったと報じている。同報道を受けてBungieのCEOが、従業員への謝罪と同社の対応について声明を発表している。


Bungieは、米国を拠点とするデベロッパーだ。人気FPSゲーム『Halo』シリーズを世に出したことで知られ、現在は『Destiny 2』を開発・運営している。同社は多様性・包括性を高めるための取り組みに熱心だ。例としては多様性委員会の再編や、「[email protected]」をはじめとする、多様な人種・性別・性指向の従業員によるインクルージョンクラブの設立などに取り組んでいる。また、女性や性的少数者の雇用および重役登用にも積極的だ。しかし、高い理想を掲げる同社も、社内でのセクハラやパワハラなどの問題と無縁ではなかったようだ。

米IGNの報道では複数の元・現従業員が、かつてBungieで発生していた有害な職場環境について証言している。まず、作品の物語を司るナラティブチームについて。同チームでは過去5~6年間の間に、リーダー格の人物が強権を振るうなどの出来事があったそうだ。ある人物は、怒りを“爆発”させて周囲のメンバーに当たっていたという。この人物は『Destiny』リリース後に退社したものの、『Destiny 2』の開発契約のために再び同社と関わることとなった。その際にも、業務範囲を超えるディレクションへの口出しや、怒りをあらわにして女性開発者を激しく叱責するなどの行為が見られたそうだ。


多くの従業員が匿名で証言しているなか、Bungie元従業員のCookie Hiponia氏は実名で多くの証言を提供している。2016年から2019年にかけて、Bungieにてナラティブ関係の業務などに携わっていた人物だ。同氏はあるリーダー格の従業員について語っている。この従業員は「会議中に怒鳴り散らす」「女性への差別的な言及をする」などの行動のほか、土壇場での原稿の変更など業務上の問題行動も見られたとのこと。同従業員は解雇されたものの、後任の2名の従業員たちにも性差別や従業員への不当な扱いなどの問題が見られたそうだ。

また、ナラティブチームではいわゆる「クランチ」と呼ばれる長時間勤務が常態化。Hiponia氏は人手不足解消のため、契約社員のフルタイム雇用を求めるも断られてしまったそうだ。そんな中リリースされた、『Destiny 2』のDLCである「オシリスの呪い」は、海外掲示板Redditにて一部ユーザーからストーリー面の批判を受けた。また、同DLCに携わったライターへの殺害予告なども投じられたとのこと。こうした攻撃を受けた従業員に対して、Bungieからのサポートはなかったそうだ。。また、現在もBungieに在籍する重役が、Redditでの批判コメントを根拠としてナラティブチームを“潰そうとした”との証言も出ている。

そして、人事による従業員への“贔屓”に関する証言も出ている。現在もBungieに在籍するある人事部ベテラン従業員は、問題のある特定従業員を積極的に保護するような対応を見せているそうだ。ある人物は、Bungieの出世作となった『Halo』に携わっており、問題を重ねながらも長年在籍。最終的には解雇されたが、同社の上層部ポストを務めるまでなっていたとのこと。ほかにも、性差別や長時間労働の強制など、問題行動を起こすベテラン社員が在籍していたとされている。複数証言者が、人事部や重役にこうした問題について訴えても適切な対応が得られなかったと伝えた。


米IGNによる報道を受けて、Bungie側は即座に声明を発表した。同社CEOのPete Parsons氏は、Bungie公式サイトにて、被害を受けた現・元従業員たちに向けて謝罪。現状と改善の取り組みについて説明した。まず同氏は、不当な差別などをおこなう悪意ある従業員は断固として処罰する旨を改めて表明。解雇が妥当な者については処分を受けているとの見解を示ししつつ、今後新しい情報が提供された場合には調査し対応すると伝えた。

また、Parsons氏は2018年よりBungieが取り組んでいる対策について言及。取締役会や重役陣の40~50%が、女性または社会的に不利とされる人々で構成されているとのデータを示した。また、従業員全体でも女性が20.5%、社会的に不利とされる人々が18.6%を占めているとコメント。数字とデータによって、多様性を重視した人材雇用の実績を示した。過去のあやまちを悔いながら、告発される以前から、同社が女性に配慮するなどし改善に動いていることを説明しているわけだ。

ゲーム業界では昨今、従業員や関係者による不当な扱いへの告発の声が上がり続けている。例としては、Activision Blizzardが現在、相次ぐ性差別問題の告発と抗議の渦中にある(関連記事)。同社は7月の問題浮上当時、すぐさま告発や報道について反論し、問題を否認する姿勢を示していた。また、改善へ取り組むとしたものの、現在においても透明性は十分とはいえない。こうした対応はコミュニティや関係者からの反発を招き、改善を絶望視した従業員の退職などを招いている(関連記事)。

一方で、Bungieの対応は対照的だ。CEOは素早く謝罪して報道を認め、告発前から続く取り組みについて伝えている。また、ここ数年でBungieから問題のある従業員が多数退職する、“静かながらも大きな変化”が実際に起きていたとの証言もある。こうした取り組みがあるためか、同社の改善を信じている従業員もいるようだ。米IGNの報道には、Bungie上層部の改善への取り組みを評価する声も寄せられている。告発を受けてからの後手の対応ではなく、内部で問題を認識しすでに改善へ動いていた点が従業員の反応にも繋がっているのだろう。

多様性と包括性を全面に押し出すBungieは、今まさに“生まれ変わり”のプロセスにあるようだ。『Destiny 2』プレイヤーの筆者としては、同社の今後は懸念の対象でもある。これからも同作が末永く続くよう、Bungieには信頼を寄せる従業員たちの期待に応えてほしい。

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