AmazonのMMO『New World』でトレード機能などが全面停止。「家具複製バグ」による経済崩壊への対策として

 

AmazonのMMO『New World』にて、現在トレードや商取引などが全面停止されている。運営がゲーム内の経済活動を凍結したのだ。原因は、ゲーム内家具を複製できるグリッチ(バグ)。運営側は同バグを修正後、機能を復帰させるとしている。海外メディアPC Gamerが報じている。
 

 
『New World』はAmazon Games Orange Countyが開発し、今年9月29日に配信開始したMMORPGだ。本作はリリース後に、90万人を超えるピーク同時接続者数を記録。人気を集める一方で、不具合やトラブルが相次いでいる。大規模な不具合の例としては、チャットにHTMLコードを挿入できてしまう脆弱性が発覚。運営側が対応に追われる一幕もあった。運営状況の影響か、10月末には1日のSteamピーク同時接続者数が約40万人と半減(関連記事)。以降も“右肩下がり”の減少傾向を見せている(SteamDB)。

そんな『New World』が再び、不具合に起因するトラブルに見舞われたようだ。今回問題となっているのは家具を複製できてしまう不具合。本作にはプレイヤーが所有できるハウジングがあり、家具の設置要素もある。また、家具にはプレイヤーにバフを与える「トロフィー(Trophies)」が存在する。問題となるのは、そうしたトロフィーがレアかつ高値で取引される点。つまり、稀少な資産をいくらでも複製できてしまう状況が発生してしまったのだ。

問題の深刻さに拍車をかけるのは、『New World』の経済システムだ。本作には一般的なNPC商人が存在せず、基本的にあらゆるアイテムをプレイヤーが作成・商取引するシステムとなっている。同システムに由来して、先ごろにはゲーム内での“デフレ経済”傾向も取り沙汰された(関連記事)。また、本作ではかなり自由なトレードが可能となっており、前述のトロフィーも例外ではない。従って、本作における稀少資産の複製は、ゲーム内経済に大きな影響を及ぼす一大事なのだ。

運営側は一連の騒動を受けて、『New World』公式フォーラムに対応策を投稿。ほぼすべてのゲーム内経済機能を停止すると伝えた。また、同バグを利用したプレイヤーへの制裁を示唆している。運営側は現在バグ修正に取り組んでおり、問題が解決し次第、同投稿にて知らせるとしている。
 

 
本作公式フォーラムでは、ユーザーによる家具複製バグ報告の投稿が反響を集めている。投稿では、具体的なバグ再現手段までも明らかにされた。同投稿者は後の返信にて「運営側に同バグについて先に伝えたものの、対応されなかったためオープンな場での報告に踏み切った」と主張している。また、別の公式フォーラム投稿では、大量のトロフィーが“叩き売り”される様子が伝えられている。こちらの投稿者は先だってトロフィーにかなり投資していたそうで、惨状を目の当たりにした深い悲しみを伝えている。

また、本作コミュニティも現在混迷の様相を呈している。海外掲示板Redditの/r/newworldgameでは現在、家具複製バグに関するスレッドが乱立。「バグ利用者を永久BANしろ」と訴える投稿が多く見られる。また、経済機能停止による損害を指摘する投稿もある。同投稿によれば、経済機能停止により税収などは途絶えたにもかかわらず、拠点の維持費などは差し引かれているとのこと。今回の経済停止は単に不便なだけではなく、特定ユーザーやゲーム内組織に経済的打撃を与える可能性があるようだ。

実をいえば、『New World』が経済機能を停止したのは今回が初めてではない。前述のHTMLコード挿入バグの発生時にも、同様の措置が取られている。同バグを利用しての「金稼ぎ」が可能だったためだ。Kotakuによれば、特定のHTMLコードの挿入によりゲーム内クエストを“クリア扱い”にすることが可能だった。コードを繰り返し送れば、その分のクエスト完了報酬が手に入る。つまり、実際に労することなく大量のゲーム内通貨を入手可能だった。同不具合はすでに修正済み。しかし、ユーザーを巻き込む対応が短期間に繰り返される点には、不満を感じるプレイヤーも多いだろう。はたして、今回の経済停止騒動はいつ収束するのか。今後の動向を注視したい。

『New World』はSteamにて現在配信中。