Amazonの人気MMO『New World』が約1か月でプレイヤー数半減。お騒がせMMOは人口流出を止められるか


AmazonがSteamで運営するMMO『New World』の人口が急激な推移を見せている。依然として多数の同時接続者数を誇っているものの、減少傾向は明らかだ。リリースから約1か月となる同作に、いま何が起きているのだろうか。

『New World』はAmazon Games Orange Countyが開発し、今年9月29日にSteamで配信開始されたMMORPG。同作はリリース直後に、90万人を超えるピーク同時接続者数を記録。MMO期待の新星としてのデビューを飾った。しかし、リリースから時を経るにつれて、プレイヤー数に陰りが見えているようだ。

『New World』における現地時間31日のピーク接続者数は、約40万人(SteamDB)。依然として多数のプレイヤーを抱えている一方で、リリースから約1か月で半分以上のプレイヤーが同作を離れてしまった。もちろん、リリースから時間を経てプレイヤー数が減少していくのは自然だ。しかしながら、割合として見ればプレイヤー数の半減は気になる点。また、MMOは基本的にプレイヤーあってこそのゲームジャンルだ。そのため、ほかのジャンルと比較して同時接続者数は大きな意味合いを持つ。

Image Credit: SteamDB


なぜ、約50万人ものユーザーが『New World』を離れてしまったのだろうか。本作に不評を投じるSteamユーザーレビューを眺めてみると、バグの多さに言及するプレイヤーが数多く見られる。また、海外掲示板Redditの本作コミュニティ/r/newworldgameでもバグに関する投稿が散見される。特に先ごろ目立つのは、戦闘にまつわるバグを訴える書き込みだ。

現在本作では、一部武器について異常なダメージを叩き出せる不具合が生じているようだ。「弓/銃/槍/レイピアにも不具合が欲しい」と題したスレッドでは、ユーザーが「高ダメージが出せる不具合がすぐ直る気がしないので、いっそ不具合のない武器にもバグを追加してほしい」とやけくそ気味に語っている。同投稿のコメント欄には「次のバグ修正パッチでバグが追加されるから心配ない」とするやや冷笑的な意見が見られる。また、逆に敵を攻撃してもダメージが出ない現象の報告もある。同コミュニティの『New World』プレイヤーにとって、バグの存在は常態となってしまっている様子だ。


本作では上述の戦闘関連のバグのほかにも、ゲームプレイに重大な影響をもたらしうるバグが発生している。先ごろには、チャットにHTMLコードを挿入できてしまうバグが発見された。悪意のあるコードを送信して、ほかプレイヤーのクライアントを終了させることもできたという。同バグは瞬く間に話題となり、海外各メディアに報じられるに至った(Kotaku)。ほかにもSNS上などでは、本作リリース直後からバグ報告が多数見られる。大規模ゲームにバグは付き物とはいえ、重篤なバグが頻発している感は否めない。“もうひとりの自分”を預ける場所としても、心もとない。こうした面も、多くのプレイヤーが『New World』を去った理由のひとつと考えられる。

ほかにも、『New World』は話題が尽きない作品だ。例としては、通報システムを悪用したプレイヤーの締め出しの疑いや、ゲーム内での詐欺行為がコミュニティやメディアに取り沙汰された。また、「ゲーム内でデフレ経済が発生した」との報道もあった(関連記事)。リリース初期のドタバタ劇や、人と人が織りなす混沌は一種MMOの楽しみではある。ただ、そうした出来事が新規プレイヤーに参入を戸惑わせたり、既存のプレイヤーが同作を離れる理由になった可能性はある。


前述の通り、『New World』は依然としてSteam全体でもトップクラスのプレイヤー数を集めている。プレイヤー数が半減したとて、即座にサービス存亡の危機には繋がらないだろう。それでも人口の流出はMMO作品にとって特に重大な問題だ。『New World』のプレイヤー数減少に歯止めがかかるのは、いつになるだろうか。そして、どれだけの人が『New World』に根強く残り、同作の文化を繋いでいくのだろうか。