『Apex Legends』コースティック大幅弱体化へのユーザーの猛反発に、開発者が反応。主役イベントで大幅ナーフ受けるガスおじの憂鬱

 

Apex Legends』において予告されたコースティックの弱体化に対し、反発が高まっているようだ。海外掲示板では批判のスレッドが並び、開発者も反応を寄せている。Nintendo Switch版の配信が3月10日に迫る本作。同日からコレクションイベント「カオスセオリー」の開催も予定されており、これにともなってレジェンド・武器性能の調整が告知されていた(関連記事)。その中でも注目を集めているのがコースティックの大幅な弱体化だ。 

まず、アルティメットアビリティNOXガスグレネードのクールダウンが2分30秒→3分30秒に増加。さらに戦術・Ult共通の調整として、NOXガスのダメージが変更になる。従来の6〜12ダメージではなく、1ティックごとに5ダメージで固定というかたちになった。結果的に、クールタイム・与ダメージ双方において大きな弱体化を受けるわけだ。チームメイトがガス内でも比較的影響力を受けずに行動できる現状においては、多くの状況において強力すぎると判断されてのことだった。 
 

 
特に議論の的になっているのは、NOXガスダメージ仕様の大幅変更だ。実際にどれほどの影響が出るのか、海外掲示板Redditにおいてあるユーザーが検証している。まずNOXガストラップについて、ガスの持続時間は13ティック(12.5秒)。まずほとんどのプレイヤーは、ガスから脱出するまでに4ティック程度までかかる。このとき、現状のガスは相手の体力を3分の1ほど削ることが可能だ。一方、変更後のガスは5分の1までしかダメージを与えることができない。 

さらに現状のガス仕様では11ティック目で累計111ダメージを与えることができ、相手をノックダウンすることが可能。一方、弱体化後のガスにおける11ティック目の累計ダメージはわずか55。相手を倒すには遠くおよばない。それどころか、持続時間限界の13ティック目まで相手を捉えたとしても65ダメージと、わずか注射器2本分で回復可能なダメージしか与えられないのだ。 

では持続時間21ティック(20秒)のNOXガスグレネードはどうか。こちらの場合は、変更後のガスでも20ティック目で100ダメージを与えることができ、ギリギリ相手をノックダウンさせることが可能だ。ただしそれは、相手がガスの噴出開始時から終了時まで何もしなかった場合。もしグレネードを浴びている間にいちどでも注射器を使えば、ノックダウンを回避することが可能である。この性能の落差は、現状はおろかシーズン0当初のグレネードと比較しても弱体化が著しい。よって変更後のコースティックは、密室でガスによるキルを期待することがほぼ不可能となる見込みだ。さらに現状のNOXガスは視界不良効果も大幅に弱まっている。以上の比較を踏まえて、来たるコースティックの調整はゲームリリース直後を下回る悲惨な弱体化である、との批判が挙がっているのだ。 
 

 
この批判に対しても、多くのユーザーから反応が寄せられた。あるプレイヤーは、コースティックのガスによる威力は単純なダメージではなく、50%の移動速度低下・スプリント不可のデバフにあると主張。これに乗じてRespawn Entertainmentにてライブバランスデザイナーを務めるJayBiebsことJohn Larson氏が反応を寄せている。Larson氏としても、10ティック目以降のガスによる殺傷能力の比較はあまり有用ではないとの見方だ。というのも、移動速度デバフ等の付加効果を考えれば、その時点までにコースティックないしチームメイトが相手にとどめを刺すと考える方が現実的だからだという。 

あわせて、Larson氏は改めて今回の調整の意図を説明した。弱体化にあたっては、相手チームがガスにはまっても反撃できる猶予を与えることが目指された。ただしダメージが低下させられたといっても、いまだにNOXガスによる脅威は大きい。完全とはいわないまでもある程度まで視界が見えにくくなり、ワットソンやランパートのアビリティと違ってグレネードは破壊不可能。相手がガスを避けるに足る理由は残存しており、進入忌避については依然として無類の強さを誇る、というのがLarson氏による見立てだ。 

したがって、「移動速度低下等の効果には着手せず、与ダメージだけ低下させる」という修正が、現状のコースティック使いの戦略にもっとも影響を出しにくい調整との判断がとられたという。またLarson氏がテストプレイしたところ、今回の変更によりコースティックとしてプレイする場合も、コースティックを相手に戦う場合も、立ち回りに大きな変化は出なかったという。 
 

 
ただしLarson氏は大幅修正の根拠を提示しつつ、「やりすぎであれば状況に応じて元に戻す」との姿勢も明らかにしている。別のスレッドでもやはりコースティックの弱体化が批判されると、今後も注視しながら様子を見て揺り戻しも検討する構えを示した。同氏は説明に際して、アルティメットアビリティはクールタイム増加による手痛いナーフを受けたものの、戦術のNOXガストラップについてはいまだに高い有用性があると強調している。くわえて、弱体化の案としてグレネード使用時には未発動のガストラップを無効にするアイデアもあったが、コースティック使いのプレイヤーの戦略を大きく破壊する可能性があるとして没になった経緯を明かした。このように、現状でコースティックをメインに使用しているユーザーのプレイフィールをいかに崩さずに調整するかに開発チームとして苦慮しているようだ。 

総ダメージ量や視界不良効果などの観点を踏まえれば、今回のコースティック弱体化は「シーズン0当時以下」との見方が強く、不安と不満を寄せるユーザーの声は根強い。運営としては、いちど調整を実施したのち様子を見て改善を重ねたいようだが、当分はガスおじ不遇の季節が続きそうだ。そんなコースティックが主役のコレクションイベント「カオスセオリー」は3月10日より開催である。