『FF14』ゲームUIデザイナー・小田切慧氏スペシャルトークセッションの質問回答を総まとめ。「できるかできないかで言えばできる」を実現することの難しさ

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スクウェア・エニックスは10月9日に「第60回FFXIVプロデューサーレターLIVE」(以下、PLL)を放送し、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)の新情報公開を行った。放送前半では12月上旬に実装予定のパッチ5.4「もうひとつの未来」の情報が公開され、新規コンテンツや調整項目が発表された。(関連記事

また、後半では『FF14』のゲームUIデザイナーである小田切慧氏のスペシャルトークセッションが放送され、プレイヤーから事前に寄せられていた質問や要望への回答がおこなわれた。本記事はスペシャルトークセッションで発表された新情報のほか、寄せられた質問・要望への回答について取りまとめたものである。
 

 
『FF14』のゲームUIデザイナーである小田切氏は「グループポーズ」や「コンテンツリプレイ」の立ち上げ役としても知られる人物だ。トークセッション冒頭では自己紹介を兼ねてゲームUIデザイナーの仕事内容が語られた。『FF14』におけるゲームUIデザイナーは、コンテンツやシステムの企画担当がやりたいことを実際にプレイヤーが遊ぶ画面に落とし込む作業をおこなっている。どうすれば遊びやすく、操作しやすくなるかを担当者とすりあわせ、『FF14』のシステムで可能なことを提案していくのがUI班の担当だ。ゲームコンテンツとプレイヤーの操作をつなぐ役割を果たしているともいえるだろう。また、グループポーズなど、自らが主体となって企画を提案することもある。
 

 
まずは「グループポーズやコンテンツリプレイのような、撮影が捗る機能の追加はあるか」という質問について、パッチ5.4で新たに「自由探索」という機能が実装されることが発表された。自由探索はコンプリート済みのダンジョンを自由に探索する機能で、クリア後にダンジョンを探索したいというプレイヤーからの要望に各セクションが応えるかたちで実装されるシステムだ。まずはパッチ5.Xで実装されたダンジョンから対応され、今後も段階的に探索できるダンジョンが増えていく予定のようだ。

突入はコンテンツファインダーからおこなうことができ、ダンジョン突入時の設定項目に新たに「自由探索」の項目が追加されるとのこと。自由探索中、モンスターは出現せず、ギミックなどの仕掛けは解除された状態でダンジョン内を探索することができる。また、通常のダンジョン攻略では使用できなかったマウント・ミニオン・ファッションアクセサリーを呼び出すことが可能だ。
 

 
アクションを使うために自由に木人を設置することができるほか、通常のダンジョンであれば制限のあるリミットブレイクも1から3まで自由に撃つことが可能。アクションやリミットブレイクの大盤振る舞いからもわかるように、グループポーズでの撮影をもっと楽しくするための側面が大きい機能だ。スクリーンショットを撮影する遊びが好きな層にはたまらない機能となるのではないだろうか。
 

 
「パッチごとにUI関連のアップデートがたくさん追加されるが、どのように開発を進めているのか」という質問に小田切氏は、1つの企画にUI担当者を割り振り、企画担当者のやりたい企画の要素を細かく分解していくのが主な進め方だと回答。他のセクションはゲームデザイナーやアーティスト、プログラマーなどがそれぞれの分野ごとに固まって在籍しているが、『FF14』のUIセクションは少し特殊で、ゲームデザイナーとプログラムアーティストが20人ほどのチームとして動いている。1つのゲームを開発するような規模で動いているため、手が空いたタイミングでフォーラムに寄せられた要望に少しずつ対応する作業もおこなっているそうだ。

「UIデザインをする上で特に心がけていること」についての質問には、「あくまで自分視点ではあるが、コンテンツの内容解釈をしっかりして、そのうえで上流の仕様どおりではなく、UI視点でプラスの要素を付け加え、システムとして破綻する場合には指摘や提案ができるように心がけている」と回答していた。UI表示の間などのちょっとした演出はUI班で付け加えており、任せてもらえるとありがたい部分であるとも話していた。

「これまで実装したUIや設定でお気に入りのもの」についての質問には、テキストコマンドの「/bgm」という細かな項目を挙げていた。トグルでミュートできる部分や、数値を入力することでボリュームが切り替わる部分を気に入っているそうだ。
 

 
「敵の攻撃が物理か魔法かをフライテキストで判断できるようにしてほしい」という要望には、小田切氏は「やれるかどうかで言えば、機能が入ればやれる」という回答。フライテキストのUIはゲームの最終出力部分だが、現在その出力部分に物理か魔法かという情報が含まれていないため実装できないようだ。UI班だけでは対応できないし、その情報が入るとサーバーとクライアントがやりとりするパケット量が増えてしまう。この質問には吉田直樹氏もコメントし、自身が実装にストップをかけていると回答。高難易度のコンテンツになるほどギリギリまでバランス調整を行っており。直前まで物理属性でやっていた攻撃が魔法属性に変わることもある。そうなると最終出力部分でQAチームが確認するチェック項目が増えてしまうため、実装していないとのことだ。

「パッチ5.3でターゲット情報に自身が付与したデバフなどが優先表示されるようになったが、これをフォーカスターゲットにも適用することは可能か」という質問には、小田切氏から「実装できるかどうかという話なら可能」という回答。しかし実装していない理由もきちんとあり、現在フォーカスターゲットにはバフやデバフは5件までしか表示できないことが要因としてあるようだ。自身のデバフを優先的に表示すると、敵についたバフ/デバフを見なければならないギミックが発生しても、それがフォーカスターゲットに表示されなくなってしまう。今後のコンテンツの幅を狭めることにもなってしまうため、この点が解決されないと実装はできないとのことだ。
 

最大5件としているのはあくまでサポートの役割を果たすシステムだからだそうだ

「HUDレイアウトでHPとMPを分割して表示するオプションは追加できるか」という質問には、「できるかできないかでいえばできる」という回答だった。挙動がおかしくなることが想定されるため、既存のHUDの分割オプション実装には慎重になっている側面があるそうだ。HP/MPの分割を実装するとPTリストなどの分割要望も増えてくることが想像できる。そうなると全プラットフォームでの安定した挙動を保証することができないため、基礎UIを取り替えるような設計になってくる。

これまであったUIを分割するのは新しく専用のウィジェットを作るようなものなので、新規でUIを作成するほうが話は早い。そのため、おいそれとは取りかかれない……といった状況だ。しかし、これまでの『FF14』の歴史を振り返ると、「コストの兼ね合いで実装できない」としていたものの準備が整った結果、突然実装されるといったケースも存在する。そのため吉田氏と小田切氏は、今後UIの分割ができるように設計を変えていく可能性も話していた。

「HUDの大きさをもっと細かく設定したい。60~80%の間を10%刻みにするなどの対応は可能か」という質問にも、小田切氏は「できるかできないかでいえばできると思う」との回答。実装していない理由としては、大きさを調整するためのコマンドループの個数がどんどん増えていくことになるので、ゲームパッドプレイヤー向けのフォローが難しいという現状があるようだ。また、以降は5%、1%と刻み幅の要望が細かくなってくるところが想像される。対応が追いつかなくなるので、現在の仕様までを実装ラインとしたようだ。また、吉田氏もこの件について、今後、高解像度対応をしていくなかで比率の項目数が増えると、比率ごとのチェック項目が増えていってしまうことを挙げていた。
 

 
「HUDレイアウトで各UIの幅をぴったり揃えたいので、グリッドスナップ機能を追加してほしい」という要望には、小田切氏から「やれるかもしれないが難しい」という回答が。もともとUI同士が吸着するようなシステムを考えて途中まで作業を進めていたものの、さまざまな問題から見送った背景があるそうだ。『FF14』のUI配置座標は画面上の比率で保存され、小数点以下の部分は切り捨てられている。そのため、保存したものをロードするとUIにほんの少しだけズレが生まれることがあり、グリッドスナップを実装しても同様のズレが発生することが想定される。グリッドスナップを作っても意味がなくなってしまう可能性があり、実装は難しいという結論に至ったようだ。

「ミニオンやオーケストリオン譜、カードについて、マーケットボードの表示やロットインのときに自分が取得済みかどうかわかるシステムがほしい」という要望には、吉田氏ができない旨を回答。プレイヤーのアイテム保有状況は専用のデータベースサーバーに保存されており、要望されたようなシステムを作るためにはアイテムの数だけ取得状況をサーバーに問い合わせなければならない。しかし、数百万人のプレイヤーがシステムから自動的に問い合わせを行うとサーバーがパンクしてしまう。プレイヤー個人のPCやPS4にアイテムデータをローカル保存しておけば可能ではあるものの、アイテム数が尋常でないため現実的でないようだ。

「コンテンツファインダー申請中に頭上に出るアイコンのモチーフは何か」という質問も寄せられていた。小田切氏いわく、このアイコンはチケットや整理券をモチーフにしているそうだ。コンテンツファインダーに申請してチケットを受け取り、順番待ちをしているイメージとのこと。
 

確かにチケットのように見える。

 
「ジョブアイコンをネームプレートの横に表示できる機能がほしい」という要望には、厳しいという回答が。現在ネームプレートに付けられる画像アイコンは、名前の左側に表示されるオンラインステータスなどの部分と、上部に表示されるターゲットマーカー部分の2つ。新たにアイコンを追加するとなるとどちらかを上書きするか新たにもうひとつ表示できるようにしないといけないが、そうなると今度は描画負荷が重くなってしまうのだ。ネームプレートは単純な表示に見えて、キャラクターの3D座標を参照してUIを配置するという複雑な処理を行っている。吉田氏は旧『FF14』から新システムに移行した際も描画バグが発生しやすかったと語っており、デリケートな部分もあるようだ。

「アイテムを捨てる際に複数選択でまとめて捨てられるようになる機能がほしい」という要望には、吉田氏はNGを即答。アイテムの保有状況を保存しているデータベースサーバーとの負荷が莫大となり、セーブデータの保全性や安全性が下がってしまうので不可能なようだ。

今後のスキン追加予定についての質問には、小田切氏が画像つきで回答。青ウィンドウに白枠のクラシックな『FF』スタイルのものを開発中とのことだ。選択ボタンがドット風にアレンジされており、バイザーのON/OFFなどの細かいボタンまでひとつひとつドット風に変更されている。
 

 
また、コンテンツファインダーの申請画面の開発中画像では新機能のお披露目もあった。これまでは右側の詳細表示部分に表示されていた不足ロールボーナスが左側の一覧表示部分に可視化され、一定時間でリアルタイム変動する。この機能はクラシックスキンだけでなく、既存のスキンにも適用されるようだ。
 

 
「ボスエリアの外周のラインや脱出地点の光の玉をグループポーズ中に消したい」という要望には小田切氏も同意を示し、苦心している様子を見せていた。これらはオブジェクト扱いで、非表示にする場合は同じ属性の全てのオブジェクトが消えてしまうのだそうだ。コンテンツの中にはあえてオブジェクトで目隠しをしているものもあり、消えてはいけないものまで消えてしまうことになる。なんとか抜け穴を探しているそうだが、何年も考えている状況とのこと。

「グループポーズ中にパーティメンバーにも自身に任意のエモートを指定したい」という要望については、吉田氏が個人的なポリシーとして強めのNG回答を出していた。自分の手塩にかけて育ててきたキャラクターが外部からコントロールされてしまうのは、その瞬間の絵作りという意味であっても、「何かされているのではないか」という感覚になるのではないかと考えているとのこと。ちなみに、グランドカンパニー小隊員だけはグループポーズ中に任意のエモートを指定することができる。これはプレイヤーキャラクターではないためであるという理由があるようだが、吉田氏は「あまり無茶な命令はしないであげてほしい」と苦笑交じりに話していた。

「バトルアクションを撮影する際にモーションをスクロールバーのように細かく停止できるようにしたい」という要望には、小田切氏と吉田氏それぞれが回答。小田切氏は実装面から、スローモーションの検証を長い時間をかけてやっていることを話した。しかし、モーション上の不具合なども多数あり、その修正コストがなかなか確保できないため保留している状況だそうだ。一方で吉田氏はやりたくないと明言。『FF14』はレーティングの限界に挑戦している部分があり、モーションによってはあまり止めてほしくないタイミングというのがあるようだ。もちろん、何度も再生と停止を繰り返せばそのタイミングで止めることもできるが、機能追加によって簡単に再現できるようになってしまうのはよろしくないという考えだ。特にSNSで拡散されてしまうことを危惧しているようで、レーティング面でギリギリを戦っている状況について発言に熱がこもる様子もみられた。
 

 
「グループポーズに今後実装しようと思っている機能について教えてほしい」という質問には、初心者向けのサポート機能の充実を挙げていた。グループポーズは機能が増えすぎて煩雑になっている部分があり、初心者にはとっつきにくいという意見も多いようだ。その対応として小田切氏は、プリセットを選択するだけでカメラやライティングが設定され、見栄えのするスクリーンショットが簡単に撮影できるような機能についての構想を語った。吉田氏もこの点について思うところがあるようで、せっかくアイデアと情熱をかけて作ったからこそ入り口をシンプルにして、PrintScreenキーを押すだけで撮れるようなシステムに仕上げてほしいようだ。そのためのシステムを実装するためにどうすればいいのか、現在は検討している段階のようだ。

最後に小田切氏は、UIセクションはプレイヤーにとってはできて当たり前の機能を作っているチームなので、基本的に減点方式だと考えていると語っていた。褒められることはあまりない部門ではあったものの、『FF14』のUIについては褒められる機会が多いそうだ。プレイヤーのフィードバックと開発側のキャッチボールができたからこそ成し遂げられたことだと話しており「今後もキャッチボールをしつつ、一緒にFF14を育てていければありがたい」という言葉でトークセッションは締めくくられた。
 


プレイヤーからの意見は、全体を通して質問よりも要望の方が多かった今回のトークセッション。小田切氏のコメントは「できるかできないかで言えば、できる」と前置きしたうえで、なぜ実装できないのかを細かく解説しているものが多かった。逆に言えばプレイヤーからの要望には基本的に目を通し、可否を検討しているケースが多いということだろう。プレイヤーとの「キャッチボール」の結果が内容に如実に現れている、と思わせるトークセッションだった。

『FF14』では現在、UIデザイナーとUIプランナーをはじめとした開発スタッフを募集している。特にUI班では『FF14』のUIを熟知しているプレイヤーにぜひ名乗りを挙げてほしいとのことだ。我こそは、という方は応募してみよう。

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