『あつまれ どうぶつの森』まもなく消える「イトウ」に泣かされる釣り人たち。潮干狩りを強いられ、イエローパーチに散る

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季節の移ろいとともに島の変化を楽しめる『あつまれ どうぶつの森』。北半球ではまもなく春が訪れ、桜の花が咲こうとしている頃合いだ。そんなうららかな時期にあって今、一部のプレイヤーは必死の様相を呈している。その原因はとあるサカナ。島で釣れるレア魚「イトウ」のシーズンが3月で終わりを迎えようとしているのだ。これを逃せば次の機会は12月までやってこない。図鑑や博物館のコンプリートを目指すむらびとたちは、このチャンスを逃すまいと血眼で魚影を探し求めている。太公望たちの、悲喜こもごもの様子を紹介しよう。

イトウは12〜3月にかけて出現する淡水魚で、非常に大きな魚影が特徴だ。遭遇できるのは極めて珍しく、売却すればその価格は1万5000ベルにもおよぶ。夕方の16時から翌朝にかけて見られるため、イトウハンターは夜もすがら釣り場に張り込むことがしばしばだ。また厄介なことに、その棲息域は「崖の上の水辺」に限られている。狭い範囲ではランダム出現する魚影の数に限界があるため、「まきエサ」をまいて効率的にサカナを出現させるのが基本戦略といえる。3月も終わろうという夜、大量のエサを懐に高台へ上るむらびとが各島で見られたという。そして数多のプレイヤーが何十ものストックを溶かし、「爆死」していった。

万人に等しく時は流れ、イトウもまた平等にやってこない。下記2つのツイートはそれぞれ国籍すら異なるプレイヤーたちのつぶやきだが、酷似した画像を投稿している。釣りの女神の国境なき無情を感じさせるポストである。よく似たサイズのイエローパーチの魚影に泣かされるのは、万国共通のようだ。

先述のとおり、レア魚ハントには大量のまきエサが欠かせない。エサは自分でクラフトすることが可能なのだが、1つにつき材料としてアサリが1匹必要となる。すなわち100回釣りたいのなら、先にアサリを100匹確保しなくてはならない。貝は浜辺に埋まっていることがあり、その出現頻度は憎きサカナに比べればはるかに多い……ものの、イトウを狙う前にまず延々と潮干狩りをせねばならないハードルが苦行に拍車をかけているようだ。

あっさり とれたなぁ~! あっさり とれたなぁ~!
あっさり とれたなぁ~! あっさり とれたなぁ~!……

釣りは時の運。どれだけ必死でまきエサを用意しようと、終日連夜ねばろうと、結局はゲームのランダム性に身を委ねるしかない。時としてそこに人間のもろさが現れる。イトウが現れないとき、プレイヤーはただ祈るしかないのである。宗教とはそういうところに生まれるものなのかもしれない。ある釣り人は偶像崇拝に走り、別の者は身も心もイトウに捧げてしまった。

そんなものはない。

罪作りなサカナはどこまでも気まぐれらしく、思いがけないタイミングで不意に現れることも少なくない。海外メディアPolygon誌の編集者・Nicole Carpenter氏は2時間アサリを掘り続け、200個もの「まきエサ」を作り出した。それからやっと腰を下ろし、まず何もせず目に入った魚影にルアーを投げたところ、果たしてイトウを釣り上げてしまったのだという。このほかネット上を見渡せば「何の気なしに釣ったらイトウだった」という報告もちらほら見られる。案外、プレイヤーの物欲がふと途切れた瞬間にやってくるものなのかもしれない。

数々のむらびとの心を折ってきた業深きサカナ、イトウ。そのシーズンもいよいよ終焉を迎えようとしている。泣こうが喚こうが明日からイトウに悩まされることはない。……というのは少々思い過ごしだ。どうしても運に恵まれなかった人は、周囲に南半球の島でプレイしている仲間がいないか探すといいだろう。北半球のイトウシーズンが12〜3月なのに対し、南半球では6〜9月にかけてその姿を見られる。少し待てば機運はすぐに巡ってくるはずだ。慌ただしく過ぎゆく季節に追われるのもまた楽しい『あつまれ どうぶつの森』。そのカレンダーはまだ始まったばかりだ。これからの1年も、さまざまなイベントがプレイヤーたちを楽しませ、目を眩ませてゆくのだろう。

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