インタラクティブホラーADV『Simulacra』iOS版無料、PC版は1ドル。行方不明の女性のスマートフォンを探り、謎を追いかけるホラー作品


マレーシアのインディーゲームデベロッパーKaigan Gamesは3月27日、『Simulacra』iOS版の無料配布を開始した。App Store内で入手でき、無料でプレイ可能になっている。また、PC版もゲーム販売サイトHumble Bundleにて「Humble Award Winners Bundle」の1ドル枠に設定されている。「Humble Award Winners Bundle」の期間は、日本時間で4月10日2時まで。1ドル以上を支払うと、同じく1ドル枠に設定されたアンチADV『Diaries of a Spaceport Janitor』と共にSteamキーが入手できる。

『Simulacra』は、行方知れずの女性アナのスマートフォンを探るインタラクティブホラーADV。Kaigan Gamesが開発し、Steam/iOS/Androidにて配信中の作品だ。英語と中国語(簡体字)に対応しており、日本語には対応していない。

本作におけるプレイヤーは、ある日玄関先に落ちていた誰かのスマートフォンを見つけた人物。落とし物のスマートフォンを起動してみると、端末の調子が悪いのか、画面の表示がおかしい。パスコードのロックが半自動的に解除されいて、ホーム画面も表示が乱れており、ギャラリーのアイコンが一面に表示。ギャラリー内にはノイズの入った1本の自撮り動画があり、動画ではアナと思われる女性が、酷く怯えた様子で私を探さないでと叫ぶ。動画の再生が終了された後、自動的にシステムが修復されて、スマートフォンが自由に捜査可能になる、というのが本作の序盤の流れである。

スマートフォンを操作し、アナの行方や安否、彼女の身に何が起こったのか、どうしてスマートフォンが落ちていたのかといった謎に迫るのが、本作の目的だ。アナのスマートフォン内には、メール、電話、チャットアプリ、ギャラリー、ブラウザ、Twitter風のJabbr、出会い系アプリなどがインストールされている。これらのアプリは中身までしっかり作られており、実施にメールを読んだり、チャットアプリで連絡を取ることも可能。連絡先には、アナの元恋人グレッグ、アナの友人アシュリー、母などが並ぶ。誰かがアナと共に居たり、アナの居場所を知っていれば落とし物を届けられるが、誰も彼女の行方を知らず、登場人物たちはどこか怪しげな行動を取り、信用できない。

また、メールやSNSを見る際にはログインが求められ、アカウント名とパスワードが要求される。それでもログインしようと試みると、誰かの誕生日や趣味といった現実でもありがちなヒントが表示されるので、ヒントを元にソーシャルハッキングを仕掛けるわけだ。こうした演出はスマートフォンを題材にしたADVではお馴染みのもので、『Replica』『A Normal Lost Phone』においても採用されているが、本作では『Simulacra 2』同様に実写を使った動画や再生できるボイスメッセージを採用。膨大なログと実写の演出により、誰かのスマートフォンを操作し、プライバシーを覗き見ているような体験が展開されていく。

本作を開発したKaigan Gamesは、マレーシアを拠点に2016年に設立されたインディーゲームスタジオである。国内向けには3月29日に配信予定の、死んだインフルエンサーのスマートフォンを探るホラー・サスペンスADV『Simulacra 2』は、日本語に対応。一方、本作は前述のとおり、英語と中国語(簡体字)だけに対応しており、膨大なチャットログやSNSの投稿を日本語以外で読むことになる。バンドルや無料配布の対象となっているとはいえ、プレイしづらいのは間違いないだろう。しかし、『Simulacra 2』が日本語に対応したことを考えると、本作に日本語が追加される未来もあるかもしれない。


なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。